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18.来訪の理由

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「先ずはそこに掛けると良い。…リーゼの後ろにいる君も、ね」

グレン様は笑みを浮かべ、私と私の後ろにいたリオンくんをソファーに座る様促した。

「分かりました、失礼致します。…リオンくん、座ろう?」

「…あ、はい。失礼致します」

私とリオンくんがソファーに腰を掛けたのを確認すると、グレン様が足を組み直し口を開く。

「…先ずは君とは初めましてだから、簡単な自己紹介からといこうか。僕はグレン。今は冒険者としてここにいるからこれ以上は言う必要はないかな。あ、ちなみに冒険者ランクはCだよ。宜しく」

「僕はリオンです。…冒険者には先程なったばかりです。宜しくお願い致します」

「…ちょ!!グレン様!!」

「なんだい?リーゼ。あ。リーゼも僕の事はグレンと呼んでね?」

「それは不敬にならないのなら対応しますけど!その前!さっき!え?!えぇ!!?」

なんて?!!グレン様じゃなくて、グレンが冒険者?!
しかもCランクの冒険者ですって?!

学園に通っていて、王子としての執務もそれなりにあって多忙なはずなのにいつの間に…。

というか、突っ込み所が満載過ぎて言葉にならないんですけれどー?

グレンとリオンくんが挨拶を交わすのを黙って聞いていたけれど、聞き逃せない単語がグレン様の口からぽんぽんと出たものだから私が困惑したのは至って普通の反応である。

そして私の驚いた表情を見たグレンは素晴らしく楽しそうな顔をしていた。 

「あははっ、リーゼのその驚いた顔が見たくて黙っていたんだけれど成功だね!」


うわぁ、この王子、確・信・犯!!!


グレンは猫被り王様モードだと皆が憧れる王子様(はーと)なんだけれど、実際の本性がこれなのだ。

人の驚く顔を見るのが大っ好き!な王子なのである。

「もう良いです…それで、なんで冒険者としてここにいるんですか?」

なんでだろう、もう一気に気疲れが…。
さっさと用件聞いてジル、リオンくんと買い物に行きたい…。


「そうだね、僕がここにいる理由を話そうか。まず、この手紙をリーゼに渡しに来たんだ。その内容はまぁ、読めば分かるだろうけれど、テッドとリリアの処分…等だね」

……もう私の中では終った事にしたとはいえ、あのお花畑コンビの名前が耳に入るとイラッとしてしまうのは最早条件反射だ。

グレン様から渡された手紙を持った手につい力が入り、ぐしゃりと…。


「ちなみにそれは読まなくても良いし、読んでも良い。リーゼのしたい様にすると良い」

「…分かりました、ではお言葉に甘えて。…ジル、お願いしても良い?」

『はい…!』

私は手紙を読む事はせずに肩に乗ったままのジルの前へと持っていく。

言葉にしなくても私の意図を理解してくれているジルは返事と共に口を開くと、小さな炎で手紙を跡形もなく、灰の一欠片も残さずに燃やし消し去った。

「…ありがとう、ジル」

『お安い御用です』

「…相変わらず、君達の絆は変わらないようだね。それから、僕が冒険者としてここにいる理由なんだけど、こっちが本題だ」

「…はぁ、なんですか?」

「リーゼ、君は彼、リオンとパーティーを組むんだろう?」

「そうですが、それが何です?」

「…そのパーティーに、是非とも僕を入れて欲しいんだ」

「………遠慮しま、「残念ながらリーゼに拒否権はないんだ」…は??」

私の言葉を遮ったグレンは上着の内ポケットから、もう一通の手紙を差し出して来たので首をかしげつつ受け取る。

その手紙にはこの国、ラクリア王家の封蝋がされていて…。

「こ、これって…?」

「色々と理由があってね。リーゼには申し訳ないけれど、王命なんだ」



全く、これっぽっちも申し訳ないなんて思っていない飄々とした態度で、グレンは本日何度目かの爆弾発言を投下したのだった。





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