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第2章
第28話 現れたXNUMX人
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ゴブリン達の案内で森の中に入って進むと、木々が折り重なって馬車では通り抜け出来なくなった。馬の手綱を解いて放して自由にさせ、私達は獣道を徒歩で進んだ。
「殺して生き返らせたコイツらは、言わば瑞稀の眷族みたいなものだろう?裏切るとは思えないけど、敵地の奥深くに誘い出されてるみたいで危なくないか?」
「そうだね。用心するに越した事は無いね。コイツらに裏切りの意思は無くても、コイツらの仲間が突然襲って来る可能性があるからね」
『自動書込地図』
地図を表示すると、私達を取り囲む様に辺り一面、赤いランプが点灯していた。
「もうこっちに気付かれてる!囲まれてるよ、気を付けて!」
『武闘気感知UP』
巧を中心に気の膜の様なものが半径5mくらいに広がると、森の中にいた鳥達が一斉に飛び立って逃げた。
「来るよ!」
連続で矢が飛んで来たが、紙一重で避け、あるいは拾い上げた木の枝で払った。巧は、武闘気の範囲内に矢が入った時点で回避行動を取り、避け切れない矢は手刀で打ち払っていた。巧は武闘家AAA(トリプルエー)ランクだから、この程度なら余裕がある。
矢が止むと、集団でゴブリンが斬りかかって来た。ひらりと躱して剣を奪い取り、ユラユラと左右に揺れながら敵に的を絞らせず間合いを詰め、右に左に斬り伏せた。此方が手練と見ると、遠巻きに離れた。
「へぇ~逃げないんだ?」
魔力の反応を感じて、咄嗟に巧を突き飛ばした。
「あぐうっ」
テニスラケットくらいの大きさの氷柱が5本、私の身体を貫いた。
「ゴブリンメイジか…」
身体に突き刺さった氷柱を、右手で叩き折る様にして払った。私には常に『自動回復』がかかっている為、受けた傷はすぐに修復されて行く。
「そんな攻撃、効かないわねぇ。私はアンデッド系のヴァンパイアでも無いから、誤解しないでね?」
『光矢雨連撃』
光の矢がゴブリン達に降り注ぐと、死体の山を築いた。盾で防ごうとした者もいたが、貫通効果のある光矢の前では意味が無い。
『黄泉還反魂』
殺したばかりのゴブリン達を全員生き返らせると、手下に加えた。
「凄まじいな、瑞稀…」
「えへへ、チートでしょう?この力があれば世界征服なんて楽勝よ。面倒くさいから、やらないけど」
あははは、と笑った。巧も笑ってたけど、引いちゃったみたいだ。私が怖いのかな?私は天道神君だよ。唯一神ヤハウェにだって勝ったんだよ。私より強い者なんていない、いるはずがない。母アシェラの強さは未知数だけど、私が油断しただけだと思っている。私が1番強いんだから、巧が私を恐れても仕方が無いと思う。
ゾロゾロとゴブリン達を引き連れて森の奥へ向かうと、開けた場所に、超近代的な建物が建っていた。
「何なのコレ?」
全てが白い建造物だった。軽く叩いて見たが感触は、コンクリートでも金属でも無い。
『光之神槍』
壁に向かって唱えたが、擦り傷一つ付いていなかった。
『腐食酸毒』
全てを溶かす腐敗の瘴気を帯びた毒ガスでさえも、効果は無かった。
「何なのコレ?」
不意に殺気を感じて飛び避けると、ゴブリン達は一瞬で全滅していた。巧は、剣帝の剣技を放って、かろうじて無事だったが、重傷を負っていたので自ら回復していた。
「ほぉう?ゴミ屑がやって来たのかと思えば、お前もXNUMX人じゃないか?この星の監視者の一族か?」
「父YHWH(ヤハウェ)の事を言っているの?父なら健在よ。だからこの星から出て行きなさいよ!」
「そうはいかん。お前の父親がちゃんと管理していないから、俺らが派遣されたのだ。行く所が無いお前らを温情で残してやるから感謝しろよ。尤もお前は俺らの交尾相手として、慰みものにしてやろう」
「何言ってんの、冗談じゃないわ!」
「別にお前の母親を弄んでも良いんだがな」
カッとなって殴りかかろうとした時、XNUMX人が指を向けて正体不明の攻撃を繰り出した。ボシュッ。音にすると、そんな音が聞こえた気がした。振り返ると顔に血を浴び、何が起こったのか理解出来ずにいて、巧に声を掛けると、巧の頭は吹き飛んでいて噴水の様に血を流していた。
「嘘っ!」
「お前、そう言うのが好みだったか?」
そう言うとXNUMX人は、巧の姿を形どった。
「貴様、どこまで私の気持ちを逆撫でにする!」
我を失って巧の姿をしたXNUMX人に攻撃しようとした瞬間、女性のXNUMX人に脇腹を横蹴りされて吹き飛んだ。
「くそっ、コイツ!」
転がって素早く跳ね起きながら、呪文を喰らわした。
『光之神槍』
女性型のXNUMX人の胸と腹を貫通すると動かなくなった。そこへ太めのXNUMX人から体当たりを受けた。
「舐めた真似をしてくれる」
「痛いわねぇ~」
女性型のXNUMX人が起き上がると、風穴の空いた身体が塞がって行くのが見えた。
「化け物めっ!」
「人の事が言えるのか?お前も大概だぜ?」
コイツら1人1人が私とほとんど同じくらいの強さだ。3体1では勝ち目が無い。
「こんな事もあろうかと用意してて正解だったわ」
『異空間転移召喚』
空間に魔法陣が浮かび上がると、次々と神々が現れた。大魔王ルシファー、蝿の王ベルゼブブ(実はアナトの実兄で元夫のバァル・ゼブル)、大天使長ミカエルの姿も見える。
「ほぉ?創造物の分際で中々に強そうだな。久々に楽しめそうだ」
「私の身体に風穴を開けてくれた、あの女を斬り刻むのは私だよ」
どうやら私の相手は女性型のXNUMX人になる様だ。
「我杀你(殺してやる)!」
アナトは虞美人だった影響からか、興奮すると時々、中国語になる癖がある。それぞれが暗黙のうちにターゲットを決めると、睨み合い構えた。
「殺して生き返らせたコイツらは、言わば瑞稀の眷族みたいなものだろう?裏切るとは思えないけど、敵地の奥深くに誘い出されてるみたいで危なくないか?」
「そうだね。用心するに越した事は無いね。コイツらに裏切りの意思は無くても、コイツらの仲間が突然襲って来る可能性があるからね」
『自動書込地図』
地図を表示すると、私達を取り囲む様に辺り一面、赤いランプが点灯していた。
「もうこっちに気付かれてる!囲まれてるよ、気を付けて!」
『武闘気感知UP』
巧を中心に気の膜の様なものが半径5mくらいに広がると、森の中にいた鳥達が一斉に飛び立って逃げた。
「来るよ!」
連続で矢が飛んで来たが、紙一重で避け、あるいは拾い上げた木の枝で払った。巧は、武闘気の範囲内に矢が入った時点で回避行動を取り、避け切れない矢は手刀で打ち払っていた。巧は武闘家AAA(トリプルエー)ランクだから、この程度なら余裕がある。
矢が止むと、集団でゴブリンが斬りかかって来た。ひらりと躱して剣を奪い取り、ユラユラと左右に揺れながら敵に的を絞らせず間合いを詰め、右に左に斬り伏せた。此方が手練と見ると、遠巻きに離れた。
「へぇ~逃げないんだ?」
魔力の反応を感じて、咄嗟に巧を突き飛ばした。
「あぐうっ」
テニスラケットくらいの大きさの氷柱が5本、私の身体を貫いた。
「ゴブリンメイジか…」
身体に突き刺さった氷柱を、右手で叩き折る様にして払った。私には常に『自動回復』がかかっている為、受けた傷はすぐに修復されて行く。
「そんな攻撃、効かないわねぇ。私はアンデッド系のヴァンパイアでも無いから、誤解しないでね?」
『光矢雨連撃』
光の矢がゴブリン達に降り注ぐと、死体の山を築いた。盾で防ごうとした者もいたが、貫通効果のある光矢の前では意味が無い。
『黄泉還反魂』
殺したばかりのゴブリン達を全員生き返らせると、手下に加えた。
「凄まじいな、瑞稀…」
「えへへ、チートでしょう?この力があれば世界征服なんて楽勝よ。面倒くさいから、やらないけど」
あははは、と笑った。巧も笑ってたけど、引いちゃったみたいだ。私が怖いのかな?私は天道神君だよ。唯一神ヤハウェにだって勝ったんだよ。私より強い者なんていない、いるはずがない。母アシェラの強さは未知数だけど、私が油断しただけだと思っている。私が1番強いんだから、巧が私を恐れても仕方が無いと思う。
ゾロゾロとゴブリン達を引き連れて森の奥へ向かうと、開けた場所に、超近代的な建物が建っていた。
「何なのコレ?」
全てが白い建造物だった。軽く叩いて見たが感触は、コンクリートでも金属でも無い。
『光之神槍』
壁に向かって唱えたが、擦り傷一つ付いていなかった。
『腐食酸毒』
全てを溶かす腐敗の瘴気を帯びた毒ガスでさえも、効果は無かった。
「何なのコレ?」
不意に殺気を感じて飛び避けると、ゴブリン達は一瞬で全滅していた。巧は、剣帝の剣技を放って、かろうじて無事だったが、重傷を負っていたので自ら回復していた。
「ほぉう?ゴミ屑がやって来たのかと思えば、お前もXNUMX人じゃないか?この星の監視者の一族か?」
「父YHWH(ヤハウェ)の事を言っているの?父なら健在よ。だからこの星から出て行きなさいよ!」
「そうはいかん。お前の父親がちゃんと管理していないから、俺らが派遣されたのだ。行く所が無いお前らを温情で残してやるから感謝しろよ。尤もお前は俺らの交尾相手として、慰みものにしてやろう」
「何言ってんの、冗談じゃないわ!」
「別にお前の母親を弄んでも良いんだがな」
カッとなって殴りかかろうとした時、XNUMX人が指を向けて正体不明の攻撃を繰り出した。ボシュッ。音にすると、そんな音が聞こえた気がした。振り返ると顔に血を浴び、何が起こったのか理解出来ずにいて、巧に声を掛けると、巧の頭は吹き飛んでいて噴水の様に血を流していた。
「嘘っ!」
「お前、そう言うのが好みだったか?」
そう言うとXNUMX人は、巧の姿を形どった。
「貴様、どこまで私の気持ちを逆撫でにする!」
我を失って巧の姿をしたXNUMX人に攻撃しようとした瞬間、女性のXNUMX人に脇腹を横蹴りされて吹き飛んだ。
「くそっ、コイツ!」
転がって素早く跳ね起きながら、呪文を喰らわした。
『光之神槍』
女性型のXNUMX人の胸と腹を貫通すると動かなくなった。そこへ太めのXNUMX人から体当たりを受けた。
「舐めた真似をしてくれる」
「痛いわねぇ~」
女性型のXNUMX人が起き上がると、風穴の空いた身体が塞がって行くのが見えた。
「化け物めっ!」
「人の事が言えるのか?お前も大概だぜ?」
コイツら1人1人が私とほとんど同じくらいの強さだ。3体1では勝ち目が無い。
「こんな事もあろうかと用意してて正解だったわ」
『異空間転移召喚』
空間に魔法陣が浮かび上がると、次々と神々が現れた。大魔王ルシファー、蝿の王ベルゼブブ(実はアナトの実兄で元夫のバァル・ゼブル)、大天使長ミカエルの姿も見える。
「ほぉ?創造物の分際で中々に強そうだな。久々に楽しめそうだ」
「私の身体に風穴を開けてくれた、あの女を斬り刻むのは私だよ」
どうやら私の相手は女性型のXNUMX人になる様だ。
「我杀你(殺してやる)!」
アナトは虞美人だった影響からか、興奮すると時々、中国語になる癖がある。それぞれが暗黙のうちにターゲットを決めると、睨み合い構えた。
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