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第1部 大韓の建国
【南魏国の討伐⑤】
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南魏国から書簡が届いた。内容は、「共に斉国を攻めて、その領土を二分しよう」と言うものであった。
晋では、この件について協議していた。
「これぞまさしく天の時です。斉を滅ぼすのは今を置いて無いでしょう!」
「いや、南魏国と国を名乗ってはいるが、放浪していた無頼漢共の集まりで、山賊風情が斉の様な強国と渡り合えるとでも?」
「いやいや、国と呼ぶには小さいかも知れぬが、豊かな穀倉地帯の上に、彼らを指揮するのは、あの『深花』だぞ?そう捨てた者ではあるまい」
賛成派と反対派に分かれて、舌戦が繰り広げられた。
「丞相はどう思う?」
「斉を攻めるのであれば、華北を攻めている由子を呼び戻すほか無いでしょう」
「ちょっと待ってくれ、丞相!ここに有能な将軍がいない様に聞こえるのだが?」
晋に人無しと聞こえて憤慨したのは、馮堅であった。
「人無しと聞こえたのなら謝ります。ですが、斉の国力は晋よりも上。それに、人材も豊富であり、斉を攻めるには晋の全軍を率いる必要があります。それは由子にしか出来ない。驃騎将軍である其方と、我が兄の大将軍でも心許ない」
「何と!結局は晋に人無しと言っている様なものではないか!陛下!どうか私に斉国攻めの先鋒をお任せ下さい。負ければ、斬首されても恨みませぬ!」
諸将らが口々に反論し、次第に主戦論者の声が大きくなった。
「よし分かった!もう何も言うでない。朕も腹を決めた。この一戦に全てを賭けよう!」
「陛下!」
「丞相、何も言うでない」
「いいえ、それなら私が率いましょう」
「何?丞相が自ら率いると言うのか?」
「はい」
「良し!吉日を選んで人選を発表しよう」
文帝はご機嫌で退朝した。
「丞相、本当に自ら行かれるのですか?」
「頼みがある。密かに由子に報せて呼び戻すのだ。それまで、被害を最小限に留めよう」
水姫は天下随一の智謀の持ち主であったが、兵を率いるのであれば、由子に敵う者などいないと思っていた。
「我が軍が生き残れるかどうかは、お前にかかっている。頼んだぞ」
「由子様に頼らず、我が軍が斉国を攻め滅ぼしてしまうとは考えられないのでしょうか?」
「天文を見るに斉の命数は衰えてはいない。この一戦で斉の国力を弱める事は出来るかも知れないが…」
数日後、吉日を選んで劉信は後詰として親征した。天下分け目の決戦が幕を開けようとしていた。
晋では、この件について協議していた。
「これぞまさしく天の時です。斉を滅ぼすのは今を置いて無いでしょう!」
「いや、南魏国と国を名乗ってはいるが、放浪していた無頼漢共の集まりで、山賊風情が斉の様な強国と渡り合えるとでも?」
「いやいや、国と呼ぶには小さいかも知れぬが、豊かな穀倉地帯の上に、彼らを指揮するのは、あの『深花』だぞ?そう捨てた者ではあるまい」
賛成派と反対派に分かれて、舌戦が繰り広げられた。
「丞相はどう思う?」
「斉を攻めるのであれば、華北を攻めている由子を呼び戻すほか無いでしょう」
「ちょっと待ってくれ、丞相!ここに有能な将軍がいない様に聞こえるのだが?」
晋に人無しと聞こえて憤慨したのは、馮堅であった。
「人無しと聞こえたのなら謝ります。ですが、斉の国力は晋よりも上。それに、人材も豊富であり、斉を攻めるには晋の全軍を率いる必要があります。それは由子にしか出来ない。驃騎将軍である其方と、我が兄の大将軍でも心許ない」
「何と!結局は晋に人無しと言っている様なものではないか!陛下!どうか私に斉国攻めの先鋒をお任せ下さい。負ければ、斬首されても恨みませぬ!」
諸将らが口々に反論し、次第に主戦論者の声が大きくなった。
「よし分かった!もう何も言うでない。朕も腹を決めた。この一戦に全てを賭けよう!」
「陛下!」
「丞相、何も言うでない」
「いいえ、それなら私が率いましょう」
「何?丞相が自ら率いると言うのか?」
「はい」
「良し!吉日を選んで人選を発表しよう」
文帝はご機嫌で退朝した。
「丞相、本当に自ら行かれるのですか?」
「頼みがある。密かに由子に報せて呼び戻すのだ。それまで、被害を最小限に留めよう」
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「我が軍が生き残れるかどうかは、お前にかかっている。頼んだぞ」
「由子様に頼らず、我が軍が斉国を攻め滅ぼしてしまうとは考えられないのでしょうか?」
「天文を見るに斉の命数は衰えてはいない。この一戦で斉の国力を弱める事は出来るかも知れないが…」
数日後、吉日を選んで劉信は後詰として親征した。天下分け目の決戦が幕を開けようとしていた。
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