Perverse second

伊吹美香

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episode 6

決着

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デスクでパソコンを打つ手が震え、何度も何度もミスタッチを繰り返す。



そんなにも緊張と信じられないほどの喜びが大きいのだ。



早く帰りたい。



家で三崎が待っているなんて、夢のようなシチュエーションすぎるだろう。



気が逸れば逸るほど、打ち直しという余計な作業が増えていく。



仕事を終えてフロアを出たのは、それから三十分後のことだった。



会社から駅までの距離はいつもより長く感じ、飛び乗った電車の速度はいつもよりも遅く感じた。



俺って、こんなに遠いところに住んでたっけ?



そう思ってしまうほど、今日の道のりはいつもと全然違うものになった。



マンションの自動ドアをいつもは鍵で開けるのに、今日はキーケースがないということに頬が緩む。



ドクドクと鳴る鼓動さえも心地よくて、ニヤケながらインターホン鳴らした。



……けれど待っても応答がない。



間違いなく自宅の番号だし、三崎に待っててくれと伝えたのに……。



不吉なことが頭を過り、願いを込めて再びインターホンを押した。



『……はぃ』



……よかった……ちゃんといてくれた……。



「俺。開けて」



安堵の表情で小さなカメラに向かって微笑むと、『はい……』と小さな声と同時にオートロックが解除され自動ドアが開いた。



早く俺の家にいる三崎に会いたくて、エレベーターも待てずに階段を駆け上がって部屋へと向かった。
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