Perverse second

伊吹美香

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episode 3

リセット

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頭が真っ白になるって、きっとこんな時のこんな状況のことを言うんだろうな。



俺は今初めてそれを身をもって経験していた。



「あー…話があるんだよ。昨日の事、ちゃんとしとかねぇと…」



「大丈夫。必要ないよ」




ちゃんと気持ちを伝えて、できることならキッチリと付き合いたくて。



話をしたかったのに、全てを言い終わる前にバッサリと切られた言葉。



「何だって?」



どんどん思考回路が鈍くなっていくのが自分でもわかって、三崎が何をどう望んでいるのか。



想像できなくなってくる。



そのくせ嫌な予感だけはどんどん色濃くなって押し寄せてきた。



「必要ないから…」



決定的拒否をくらっても、ほんの少しの期待は持っていたい。



「必要ないって…どういう意味だよ」



「………」



三崎の沈黙に願いをこめて。



精一杯の想いを込めて。



好きだと伝えたなら君はどんな顔をするだろうか。



小さく深呼吸をし、口を開きかけたその時。



「昨日はごめんなさい。酷い酔い方だったと反省してる…」



先手を切ったのは三崎の謝罪。



「は…?」



「できれば…リセットさせて…」



「……」



思いつめたような。



それでいて意志は固く、強い覚悟を持って選んだ答えなのだろうというのが見て取れる。



今俺が何を言っても、どう気持ちを伝えても、絶対に三崎には届かない。



ヤった女に対する責任だと取られてしまうのが関の山。



「……そうかよ」




不覚にも泣きそうな気持ちになって、俺は慌てて背を向けた。



「荷物取ってくる。悪いけど、ちょっと待ってて」



そういって部屋の奥へと入って、こっそりと鼻をすすった…。
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