Perverse second

伊吹美香

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episode 1

初恋

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陸に話して自分の本心が見えた俺は、早々に部長に返事をした。



もちろん、大阪に行きます、と。



今の自分は原動力の全てが三崎。



就職を決めたのも成績を上げるのも気持ちの浮き沈みも全部、そこに三崎がいるからだ。



そう気がついた時、俺は自分が怖くなった。



もしも三崎が俺の前から消えてしまったら。



もしも三崎が他の男のものになってしまったら。



俺は何も残らないほど粉砕してしまうんじゃないだろうか。



それほどまでに今の俺は自分自身の足で立ててない。



こんなに早くこんな話が来るなんて思ってもいなかったけれど。



こんな時期だからこそいいチャンスなのかもしれない。



誰に左右されるのではなく、誰を羨むのではなく、しっかりと自分の芯を持つ。



その時間が俺には必要なのだと自然に思えた。



話が決まると早いもの。



出来れば早急に大阪へと向かってほしいという意向を汲んで、早めに準備を済ませると俺は大阪に向かうことに。



送別会では皆が俺の大阪行きを惜しんでくれたのが意外だった。



三崎以外の…だったけれど。

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