105 / 229
episode 3
誰も知らない彼の秘密
しおりを挟む
「ところで平嶋課長」
カジュアル系からファンシー系まで幅広い品揃えの雑貨店で、何気に目に付いたマグカップを眺めながら平嶋課長を振り向いた。
「ん?」
「ペアの食器って持ってます?」
「は?」
そんなに悪いことを聞いてしまったのかと思ってしまうほど、平嶋課長は思いっきり眉間に皺を寄せた。
「なんで一人暮らしなのにペアの食器が必要なんだよ」
「いや、彼女とのペアでおウチごはんとか……」
「ありえない」
言い終わる前にバッサリと言葉を切り捨てられ、私は内心『アンタの方が有り得んわ』と突っ込んでしまった。
しかしよくよく考えれば、平嶋課長が家で彼女の手作りご飯を食べている光景は思い浮かばない。
やっぱり外でオシャレなもの食べてるに違いない。
「カゴ、持ってきてください」
そう告げて私はいろいろと食器を物色し始める。
そそくさと戻って来た平嶋課長が手にしている買い物カゴに、私は自分の好きな食器を次々と入れていった。
カップ、皿、お茶碗、お碗、お箸……。
セット売りしてあった可愛らしいプレート皿とコップやカトラリーなどもカゴに入れ込むと、平嶋課長の表情がどんどん困惑していく。
「おうちには多めの食器を常備しておくものです。買ってきても宅配頼んでも、お皿が充実してないと食べれないでしょ?」
「それはそうだが……」
「それに」
有無を言わせず言葉を被せ、私は白地に水色の大小重なったハートがワンポイントになっている、シンプルかつ可愛いマグカップを2つ平嶋課長の目の前にかざす。
「ひとつくらいペアがあってもいいと思いません?こういうカップで並んでコーヒーを飲むなんて、恋人っぽいじゃないですか」
まだ足を踏み入れたことのないリビングを想像しながら胸を踊らせると、平嶋課長は私のペースに慣れてきたのか、やれやれと言うように眉を下げてはにかんだ。
カジュアル系からファンシー系まで幅広い品揃えの雑貨店で、何気に目に付いたマグカップを眺めながら平嶋課長を振り向いた。
「ん?」
「ペアの食器って持ってます?」
「は?」
そんなに悪いことを聞いてしまったのかと思ってしまうほど、平嶋課長は思いっきり眉間に皺を寄せた。
「なんで一人暮らしなのにペアの食器が必要なんだよ」
「いや、彼女とのペアでおウチごはんとか……」
「ありえない」
言い終わる前にバッサリと言葉を切り捨てられ、私は内心『アンタの方が有り得んわ』と突っ込んでしまった。
しかしよくよく考えれば、平嶋課長が家で彼女の手作りご飯を食べている光景は思い浮かばない。
やっぱり外でオシャレなもの食べてるに違いない。
「カゴ、持ってきてください」
そう告げて私はいろいろと食器を物色し始める。
そそくさと戻って来た平嶋課長が手にしている買い物カゴに、私は自分の好きな食器を次々と入れていった。
カップ、皿、お茶碗、お碗、お箸……。
セット売りしてあった可愛らしいプレート皿とコップやカトラリーなどもカゴに入れ込むと、平嶋課長の表情がどんどん困惑していく。
「おうちには多めの食器を常備しておくものです。買ってきても宅配頼んでも、お皿が充実してないと食べれないでしょ?」
「それはそうだが……」
「それに」
有無を言わせず言葉を被せ、私は白地に水色の大小重なったハートがワンポイントになっている、シンプルかつ可愛いマグカップを2つ平嶋課長の目の前にかざす。
「ひとつくらいペアがあってもいいと思いません?こういうカップで並んでコーヒーを飲むなんて、恋人っぽいじゃないですか」
まだ足を踏み入れたことのないリビングを想像しながら胸を踊らせると、平嶋課長は私のペースに慣れてきたのか、やれやれと言うように眉を下げてはにかんだ。
0
お気に入りに追加
398
あなたにおすすめの小説
推活♡指南〜秘密持ちVtuberはスパダリ社長の溺愛にほだされる〜
湊未来
恋愛
「同じファンとして、推し活に協力してくれ!」
「はっ?」
突然呼び出された社長室。総務課の地味メガネこと『清瀬穂花(きよせほのか)』は、困惑していた。今朝落とした自分のマスコットを握りしめ、頭を下げる美丈夫『一色颯真(いっしきそうま)』からの突然の申し出に。
しかも、彼は穂花の分身『Vチューバー花音』のコアなファンだった。
モデル顔負けのイケメン社長がヲタクで、自分のファン!?
素性がバレる訳にはいかない。絶対に……
自分の分身であるVチューバーを推すファンに、推し活指南しなければならなくなった地味メガネOLと、並々ならぬ愛を『推し』に注ぐイケメンヲタク社長とのハートフルラブコメディ。
果たして、イケメンヲタク社長は無事に『推し』を手に入れる事が出来るのか。
シングルマザーになったら執着されています。
金柑乃実
恋愛
佐山咲良はアメリカで勉強する日本人。
同じ大学で学ぶ2歳上の先輩、神川拓海に出会い、恋に落ちる。
初めての大好きな人に、芽生えた大切な命。
幸せに浸る彼女の元に現れたのは、神川拓海の母親だった。
彼女の言葉により、咲良は大好きな人のもとを去ることを決意する。
新たに出会う人々と愛娘に支えられ、彼女は成長していく。
しかし彼は、諦めてはいなかった。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
【完結】つぎの色をさがして
蒼村 咲
恋愛
【あらすじ】
主人公・黒田友里は上司兼恋人の谷元亮介から、浮気相手の妊娠を理由に突然別れを告げられる。そしてその浮気相手はなんと同じ職場の後輩社員だった。だが友里の受難はこれでは終わらなかった──…
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
冷血弁護士と契約結婚したら、極上の溺愛を注がれています
朱音ゆうひ
恋愛
恋人に浮気された果絵は、弁護士・颯斗に契約結婚を持ちかけられる。
颯斗は美男子で超ハイスペックだが、冷血弁護士と呼ばれている。
結婚してみると超一方的な溺愛が始まり……
「俺は君のことを愛すが、愛されなくても構わない」
冷血サイコパス弁護士x健気ワーキング大人女子が契約結婚を元に両片想いになり、最終的に両想いになるストーリーです。
別サイトにも投稿しています(https://www.berrys-cafe.jp/book/n1726839)
出会ったのは間違いでした 〜御曹司と始める偽りのエンゲージメント〜
玖羽 望月
恋愛
親族に代々議員を輩出するような家に生まれ育った鷹柳実乃莉は、意に沿わぬお見合いをさせられる。
なんとか相手から断ってもらおうとイメージチェンジをし待ち合わせのレストランに向かった。
そこで案内された席にいたのは皆上龍だった。
が、それがすでに間違いの始まりだった。
鷹柳 実乃莉【たかやなぎ みのり】22才
何事も控えめにと育てられてきたお嬢様。
皆上 龍【みなかみ りょう】 33才
自分で一から始めた会社の社長。
作中に登場する職業や内容はまったくの想像です。実際とはかけ離れているかと思います。ご了承ください。
初出はエブリスタにて。
2023.4.24〜2023.8.9
【完結】その男『D』につき~初恋男は独占欲を拗らせる~
蓮美ちま
恋愛
最低最悪な初対面だった。
職場の同僚だろうと人妻ナースだろうと、誘われればおいしく頂いてきた来る者拒まずでお馴染みのチャラ男。
私はこんな人と絶対に関わりたくない!
独占欲が人一倍強く、それで何度も過去に恋を失ってきた私が今必死に探し求めているもの。
それは……『Dの男』
あの男と真逆の、未経験の人。
少しでも私を好きなら、もう私に構わないで。
私が探しているのはあなたじゃない。
私は誰かの『唯一』になりたいの……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる