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第三章
手駒の足音
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昨晩の頭を悩ませた事柄も、一度PCに向かえば頭の中から綺麗に消え去った。
新しい企画に着手し始めた依舞稀にとって、光星の存在はその程度の存在なのだ。
遥翔と結婚する前までは、どんなに忙しくとも、どんなに企画書の締め切りに追われていても、上司のためにお茶やコーヒーを淹れていた。
最先端のイベントを考える企画部であっても、お茶くみは女性の仕事だという昔ながらの風習はなかなか消えないものだ。
しかし依舞稀が遥翔と結婚するや否や、それはあっさりと璃世の仕事になってしまった。
璃世は依舞稀と同等、もしくはそれ以上に仕事を抱えているほどのやり手であるため、かなりの覚悟を持って上司にお茶くみ廃止を嘆願したところ、まるで今までのことに対して手のひらを反すかのようにあっさりと了承されたのだ。
しかも『今まで手を煩わせてしまって申し訳なかったね』という謝罪付きで。
「そりゃ副社長夫人が廃止と言ったら廃止せざるを得ないじゃない。ホント助かったわ。依舞稀が副社長夫人で良かったって思ったの、初めてだわ」
そういって璃世はお茶くみ解放に歓喜した。
依舞稀が遥翔と結婚しても態度を全く変えないのは、同課二人と同期組みくらいだ。
しかしその数少ない人たちのおかげで、本当に充実した日々を送れているというわけだ。
ランチ時間のたわいのないお喋りでパワー充電し、三時お茶の時間に持ち寄ったおやつを交換すると、後は終業時間までひたすら仕事に打ち込んだ。
新しい企画に着手し始めた依舞稀にとって、光星の存在はその程度の存在なのだ。
遥翔と結婚する前までは、どんなに忙しくとも、どんなに企画書の締め切りに追われていても、上司のためにお茶やコーヒーを淹れていた。
最先端のイベントを考える企画部であっても、お茶くみは女性の仕事だという昔ながらの風習はなかなか消えないものだ。
しかし依舞稀が遥翔と結婚するや否や、それはあっさりと璃世の仕事になってしまった。
璃世は依舞稀と同等、もしくはそれ以上に仕事を抱えているほどのやり手であるため、かなりの覚悟を持って上司にお茶くみ廃止を嘆願したところ、まるで今までのことに対して手のひらを反すかのようにあっさりと了承されたのだ。
しかも『今まで手を煩わせてしまって申し訳なかったね』という謝罪付きで。
「そりゃ副社長夫人が廃止と言ったら廃止せざるを得ないじゃない。ホント助かったわ。依舞稀が副社長夫人で良かったって思ったの、初めてだわ」
そういって璃世はお茶くみ解放に歓喜した。
依舞稀が遥翔と結婚しても態度を全く変えないのは、同課二人と同期組みくらいだ。
しかしその数少ない人たちのおかげで、本当に充実した日々を送れているというわけだ。
ランチ時間のたわいのないお喋りでパワー充電し、三時お茶の時間に持ち寄ったおやつを交換すると、後は終業時間までひたすら仕事に打ち込んだ。
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