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第29話 新たな依頼
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睦樹が『蒼羽』という本当の名を思い出してから数日が過ぎた。
今もまだ、あやし亭に居る。
睦樹はまだ、思い出した事実を誰にも話していなかった。
あやし亭の面々も誰もそれを聞いてこない。
何となく居心地が悪くて、睦樹は部屋に籠っていることが多くなった。
今日も何となく部屋から出ずらくて、朝餉をすっぽかし布団の中でごろごろしていると。
「むーつーきーくぅん」
不穏な声がしてどきりとした瞬間、べりっと掛布団が剥がされて睦樹の小さな体がころころと畳の上に転がった。
「うわぁ! 何するんだ!」
見上げると、至極得意気な顔をした志念が睦樹を見下ろしている。
「こぉんなにお天道様が高い時分に寝ているのは勿体ないよぉ」
にやにやしながら真っ当なことを言われて、睦樹は呆れた顔になった。
「それ、志念さんが言うのか?」
一日の半分以上を昼寝に費やしている志念に言われると、素直に「はい、そうですね」と答える気になれない。
志念は、ははっと笑って睦樹の布団を担ぎ上げた。
「まぁまぁ。それより、布団干すから手伝ってぇや」
抱えた布団を持って庭に出ると、物干しにひょいと布団を掛ける。
「ほぅら、それも」
敷布団を指さして催促するので、睦樹は仕方なく立ち上がり布団を運んだ。
「はい、どうも。ここが終わったら全員分やるから、それも手伝ってぇや」
敷布団を物干しに掛けると、当然のように言って睦樹の襟首を掴み歩き出す。
「え⁉ なんで僕が⁉」
引き摺られながら苦言を吐くと、志念は当然とばかりに言った。
「だって、君が一番暇そうやからねぇ」
「暇そうって、他の皆は?」
歩きながら必死に抵抗するも、志念の掴む力が強くて逃れられない。
「みぃんな、お仕事に行っとるよ」
睦樹は俯き、口を閉じた。
甚八から受けた人探しの依頼は無事に終了した。
それであやし亭の仕事は終わりだ。
だが甚八から、新たな依頼を受けていたのである。
〇●〇●〇
甚八が再びあやし亭に現れたのは数日前。
伊作と惣治郎と共に店に来た。
初見と同じ部屋で三人を前に、同じように零が迎え入れた。
「零さん、この度は本当に助かった」
甚八は卓に手を付き、深々と頭を下げる。
後ろの二人も同じように、礼をした。
「これは今回の報酬だ。受け取ってくれ」
甚八は不釣り合いな程に豪華な風呂敷に包まれた桐箱を差し出した。
零は怪訝な顔をしながらもそれを広げる。
中には束になった小判の山が三つ、入っていた。
「こいつぁ、随分と豪勢だなぁ」
零が箱ごと、すっと甚八に差し戻す。
「この額は最初の契りと違う。受け取れねぇなぁ」
後ろに控えていた惣治郎が前のめりになった。
「違うのです、零さん。どうか私共の話を聞いてください」
伊作も口を開いた。
「今回の甚八の依頼分の報酬と、次の依頼分の前払いだ。どうしても引き受けてほしい」
三人の真剣な表情を見て取って、零はふぅと小さく息を吐いた。
「仕方がねぇ、話は聞く。が、依頼を受けるかどうかは、内容次第だぜ」
三人は顔を見合わせ頷くと、前に向き直る。
甚八が話を始めた。
「もう知っているかもしれねぇが、火事の跡地に作った芽吹村は完成して、村人が移住し始めている」
「ああ、それなら読売で見たぜ。かなり派手に宣伝したもんだなぁ」
里山が禿山になり村まで焼いた大きな火事、その村の再建に手を上げ総てを自己投資すると宣言した二代目近江屋佐平次、元の村人は総て、加えて新たな住人を受け入れるという触込み。
これらは総て、読売が瓦版として配っていた。
勿論、手配していたのは佐平次である。
『御料を再建し住人事情に困り果てる幕府に貢献した慈善の通人、景舎』
として二代目近江屋佐平治は一躍、時の人となった。
札差の、特に両替商としての仕事も増え、近江屋は大いにその宣伝効果にあやかったわけだ。
「俺は家族を連れて、新しい芽吹村に入ることを決めた」
甚八の言葉に、零は意外な顔をした。
「私も、今まで通り二代目の仕事の手伝いをしています。今まで以上に近くで」
惣治郎の言葉には、前にはなかった凄みがある。
「伊作さんは、どうなさる?」
ちらりと覗くと、伊作は眉間に皺を寄せ、俯いた。
「あの神社の一件以降、佐平次の対談方の追手は来なくなった。それどころか、佐平次本人が俺を訪ねてきたんだ」
あの後も例の愛宕神社に身を寄せていた伊作たち家族の元に、佐平次本人が一人、訪ねてきた。
見舞いの品を手渡すと、深々と頭を下げ、こんなことを言ったという。
「どこに居らっしゃるのかわからず、お探しするのに難儀致しました。ご家族も無事のご様子、本当に安堵致しました次第です」
まるで何事もなかったように好々した笑みで、佐平次は平然と続ける。
「火付盗賊改の中山様も、あの火事は不幸な自然発火であったと嘆いておられました。伊作さんもどうか気持ちを新たにして、再建した芽吹村に帰ってきてくださいませんでしょうか。甚八さんと共に長百姓として庄屋の与右衛門さんを以前同様お助けいただけましたら、彼の友人としましても大変に安心できるというものでございます」
豪華な見舞いの品を前に、佐平次は伊作に深々と頭を下げた。
つまり「互いに総てを水に流そう」と提案したわけである。
これには伊作も怒りを通り越し、空いた口が塞がらなかったという。
零は膝を叩いて笑いだした。
「そいつぁまた。そこまでになると悪党根性も立派なもんだなぁ」
「零、笑い過ぎですよ」
隣に立つ参太にいなされて、零は何とか笑いを収める。
「で、どうするんだい? 伊作さん」
零の問いに、伊作は緊張した面持ちで答えた。
「家族を連れて、村に、戻ろうと思う」
顎を擦りながら、零の表情が変わる。
「あのままじゃぁ、あの村は佐平次に良いようにされちまう。それを止められんのは伊作と俺だけだ。俺たちがあすこに住んで村を仕切れれば、好きなようにはさせねぇ」
甚八の言葉に伊作が頷く。惣治郎が言葉を引き継いだ。
「それに、蔵の建設は始まっていません。私は今、それを白紙に戻すため、二代目に掛け合っています」
「ほぅ」と相槌を打つ零に、甚八が身を乗り出した。
「あすこには小川の湧き水がある。水は、まだ枯れてねぇ。俺たちはあの場所に木を植えて、森を作りてぇんだ」
「削ってしまった里山をもう一度作るのは無理でも、湧き水を中心に植樹して木を増やせば川を枯らさずに済むかもしれない」
「そのために、あの場所に蔵を建てることを二代目に断念してもらおうと、私は尽力しているのです。中々聞き入れてもらえないのですが、諦めるつもりはありません」
伊作に続き惣治郎までも熱のこもった声で話す姿を、零は黙って聞いている。
「何十年も、いや、何百年も、それ以上かかる話かもしれねぇし、無駄かもしれねぇ。けど、今やらなけりゃぁ遅くなるばっかりだ。これは少しでも早く、俺たちがやらなきゃならねぇことなんだ」
甚八は、また卓に額を打ち付けるように頭を下げた。
「だから零さん、あんたらあやし亭に頼みてぇ。俺たちの用心棒を引き受けてくれ」
黙って三人の話を聞いていた零は、にやりと口の端を上げた。
「成程ねぇ、そうきたかぃ」
「確かに佐平次の今までのやり方を見れば、都合が悪くなれば殺し、という懸念は拭えませんね」
納得したように参太が呟く。
ごくりと唾を飲んで強張った表情の三人が頷いた。
零はぱん、と膝を一つ打つと、にやりと笑った。
「そういう事なら、任せて置きな。三人の用心棒は、このあやし亭が引き受けた」
桐箱の中から小判の束を一つ、取り出す。
「報酬はこれでいい。残りは持って帰んな」
ずぃと箱ごと突き返されて、甚八はたじろいだ。
「そうはいかねぇ。これは俺と伊作と惣治郎さんと、三人で搔き集めた金だ。だから、受け取ってもらわなけりゃ、困る」
「依頼の内容以上に金をもらうわけにゃぁいかねぇ。あやし亭にとっちゃぁ用心棒なんざ朝飯前だ。まぁ、そうさな。申し訳なく思うなら、この金ででっかい森を作りなよ」
手の中の小判をお手玉のように転がして、零はそれを参太に手渡す。
「報酬は確かに頂戴致しました」
丁寧に礼をする参太と零を交互に見て、甚八は目を潤ませた。
「すまねぇ。ありがとう、ありがとう」
深々と頭を下げる三人を、零は柔らかい眼差しで見送った。
今もまだ、あやし亭に居る。
睦樹はまだ、思い出した事実を誰にも話していなかった。
あやし亭の面々も誰もそれを聞いてこない。
何となく居心地が悪くて、睦樹は部屋に籠っていることが多くなった。
今日も何となく部屋から出ずらくて、朝餉をすっぽかし布団の中でごろごろしていると。
「むーつーきーくぅん」
不穏な声がしてどきりとした瞬間、べりっと掛布団が剥がされて睦樹の小さな体がころころと畳の上に転がった。
「うわぁ! 何するんだ!」
見上げると、至極得意気な顔をした志念が睦樹を見下ろしている。
「こぉんなにお天道様が高い時分に寝ているのは勿体ないよぉ」
にやにやしながら真っ当なことを言われて、睦樹は呆れた顔になった。
「それ、志念さんが言うのか?」
一日の半分以上を昼寝に費やしている志念に言われると、素直に「はい、そうですね」と答える気になれない。
志念は、ははっと笑って睦樹の布団を担ぎ上げた。
「まぁまぁ。それより、布団干すから手伝ってぇや」
抱えた布団を持って庭に出ると、物干しにひょいと布団を掛ける。
「ほぅら、それも」
敷布団を指さして催促するので、睦樹は仕方なく立ち上がり布団を運んだ。
「はい、どうも。ここが終わったら全員分やるから、それも手伝ってぇや」
敷布団を物干しに掛けると、当然のように言って睦樹の襟首を掴み歩き出す。
「え⁉ なんで僕が⁉」
引き摺られながら苦言を吐くと、志念は当然とばかりに言った。
「だって、君が一番暇そうやからねぇ」
「暇そうって、他の皆は?」
歩きながら必死に抵抗するも、志念の掴む力が強くて逃れられない。
「みぃんな、お仕事に行っとるよ」
睦樹は俯き、口を閉じた。
甚八から受けた人探しの依頼は無事に終了した。
それであやし亭の仕事は終わりだ。
だが甚八から、新たな依頼を受けていたのである。
〇●〇●〇
甚八が再びあやし亭に現れたのは数日前。
伊作と惣治郎と共に店に来た。
初見と同じ部屋で三人を前に、同じように零が迎え入れた。
「零さん、この度は本当に助かった」
甚八は卓に手を付き、深々と頭を下げる。
後ろの二人も同じように、礼をした。
「これは今回の報酬だ。受け取ってくれ」
甚八は不釣り合いな程に豪華な風呂敷に包まれた桐箱を差し出した。
零は怪訝な顔をしながらもそれを広げる。
中には束になった小判の山が三つ、入っていた。
「こいつぁ、随分と豪勢だなぁ」
零が箱ごと、すっと甚八に差し戻す。
「この額は最初の契りと違う。受け取れねぇなぁ」
後ろに控えていた惣治郎が前のめりになった。
「違うのです、零さん。どうか私共の話を聞いてください」
伊作も口を開いた。
「今回の甚八の依頼分の報酬と、次の依頼分の前払いだ。どうしても引き受けてほしい」
三人の真剣な表情を見て取って、零はふぅと小さく息を吐いた。
「仕方がねぇ、話は聞く。が、依頼を受けるかどうかは、内容次第だぜ」
三人は顔を見合わせ頷くと、前に向き直る。
甚八が話を始めた。
「もう知っているかもしれねぇが、火事の跡地に作った芽吹村は完成して、村人が移住し始めている」
「ああ、それなら読売で見たぜ。かなり派手に宣伝したもんだなぁ」
里山が禿山になり村まで焼いた大きな火事、その村の再建に手を上げ総てを自己投資すると宣言した二代目近江屋佐平次、元の村人は総て、加えて新たな住人を受け入れるという触込み。
これらは総て、読売が瓦版として配っていた。
勿論、手配していたのは佐平次である。
『御料を再建し住人事情に困り果てる幕府に貢献した慈善の通人、景舎』
として二代目近江屋佐平治は一躍、時の人となった。
札差の、特に両替商としての仕事も増え、近江屋は大いにその宣伝効果にあやかったわけだ。
「俺は家族を連れて、新しい芽吹村に入ることを決めた」
甚八の言葉に、零は意外な顔をした。
「私も、今まで通り二代目の仕事の手伝いをしています。今まで以上に近くで」
惣治郎の言葉には、前にはなかった凄みがある。
「伊作さんは、どうなさる?」
ちらりと覗くと、伊作は眉間に皺を寄せ、俯いた。
「あの神社の一件以降、佐平次の対談方の追手は来なくなった。それどころか、佐平次本人が俺を訪ねてきたんだ」
あの後も例の愛宕神社に身を寄せていた伊作たち家族の元に、佐平次本人が一人、訪ねてきた。
見舞いの品を手渡すと、深々と頭を下げ、こんなことを言ったという。
「どこに居らっしゃるのかわからず、お探しするのに難儀致しました。ご家族も無事のご様子、本当に安堵致しました次第です」
まるで何事もなかったように好々した笑みで、佐平次は平然と続ける。
「火付盗賊改の中山様も、あの火事は不幸な自然発火であったと嘆いておられました。伊作さんもどうか気持ちを新たにして、再建した芽吹村に帰ってきてくださいませんでしょうか。甚八さんと共に長百姓として庄屋の与右衛門さんを以前同様お助けいただけましたら、彼の友人としましても大変に安心できるというものでございます」
豪華な見舞いの品を前に、佐平次は伊作に深々と頭を下げた。
つまり「互いに総てを水に流そう」と提案したわけである。
これには伊作も怒りを通り越し、空いた口が塞がらなかったという。
零は膝を叩いて笑いだした。
「そいつぁまた。そこまでになると悪党根性も立派なもんだなぁ」
「零、笑い過ぎですよ」
隣に立つ参太にいなされて、零は何とか笑いを収める。
「で、どうするんだい? 伊作さん」
零の問いに、伊作は緊張した面持ちで答えた。
「家族を連れて、村に、戻ろうと思う」
顎を擦りながら、零の表情が変わる。
「あのままじゃぁ、あの村は佐平次に良いようにされちまう。それを止められんのは伊作と俺だけだ。俺たちがあすこに住んで村を仕切れれば、好きなようにはさせねぇ」
甚八の言葉に伊作が頷く。惣治郎が言葉を引き継いだ。
「それに、蔵の建設は始まっていません。私は今、それを白紙に戻すため、二代目に掛け合っています」
「ほぅ」と相槌を打つ零に、甚八が身を乗り出した。
「あすこには小川の湧き水がある。水は、まだ枯れてねぇ。俺たちはあの場所に木を植えて、森を作りてぇんだ」
「削ってしまった里山をもう一度作るのは無理でも、湧き水を中心に植樹して木を増やせば川を枯らさずに済むかもしれない」
「そのために、あの場所に蔵を建てることを二代目に断念してもらおうと、私は尽力しているのです。中々聞き入れてもらえないのですが、諦めるつもりはありません」
伊作に続き惣治郎までも熱のこもった声で話す姿を、零は黙って聞いている。
「何十年も、いや、何百年も、それ以上かかる話かもしれねぇし、無駄かもしれねぇ。けど、今やらなけりゃぁ遅くなるばっかりだ。これは少しでも早く、俺たちがやらなきゃならねぇことなんだ」
甚八は、また卓に額を打ち付けるように頭を下げた。
「だから零さん、あんたらあやし亭に頼みてぇ。俺たちの用心棒を引き受けてくれ」
黙って三人の話を聞いていた零は、にやりと口の端を上げた。
「成程ねぇ、そうきたかぃ」
「確かに佐平次の今までのやり方を見れば、都合が悪くなれば殺し、という懸念は拭えませんね」
納得したように参太が呟く。
ごくりと唾を飲んで強張った表情の三人が頷いた。
零はぱん、と膝を一つ打つと、にやりと笑った。
「そういう事なら、任せて置きな。三人の用心棒は、このあやし亭が引き受けた」
桐箱の中から小判の束を一つ、取り出す。
「報酬はこれでいい。残りは持って帰んな」
ずぃと箱ごと突き返されて、甚八はたじろいだ。
「そうはいかねぇ。これは俺と伊作と惣治郎さんと、三人で搔き集めた金だ。だから、受け取ってもらわなけりゃ、困る」
「依頼の内容以上に金をもらうわけにゃぁいかねぇ。あやし亭にとっちゃぁ用心棒なんざ朝飯前だ。まぁ、そうさな。申し訳なく思うなら、この金ででっかい森を作りなよ」
手の中の小判をお手玉のように転がして、零はそれを参太に手渡す。
「報酬は確かに頂戴致しました」
丁寧に礼をする参太と零を交互に見て、甚八は目を潤ませた。
「すまねぇ。ありがとう、ありがとう」
深々と頭を下げる三人を、零は柔らかい眼差しで見送った。
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