上 下
24 / 61
第二章 色彩の宝石

24.紅優と蒼愛

しおりを挟む
 気が付いたら布団の上で、蒼愛は紅優に口付けられていた。
 体がフワフワして、頭がぼんやりして、とても気持ちがいい。
 紅優の妖力の中に包まれ続けているようだった。

 仰向けで横たわる蒼愛に跨って、紅優が自分の股間を押し付けた。

「んっ……、ぁ、ぁん」

 頭はぼんやりしているのに、肌の感覚は敏感で、いつもの愛撫でもビクビクと腰が浮いた。

「ぁ……、蒼愛、可愛い、蒼愛……」

 まるで譫言のように名を呼んで、紅優が蒼愛の首に舌を這わせる。
 這う舌が胸の突起を舐め上げる頃には既に尖って、熱が快楽を押し上げる。

「んぁ! ぁ、はぁ……、もう、ほしい、こうゆぅ……」

 潤んだ視界の中の紅優が余裕なく笑んだ。

「本当は、もっとゆっくり慣らして、するつもりだったけど、ダメだね……」

 熱い吐息が耳に掛かる。
 体が震えて、それだけで達してしまいそうだった。

「蒼愛の、飲ませて。咥えるよ」

 足を開いて、紅優が蒼愛の股間に顔を埋めた。

「やぁ! ダメ、ムリ、イっちゃっ、……ぁ!」

 唇が触れるだけで、熱い舌が這うだけで、腹に溜まった快楽が吹き出しそうになる。

「いいよ、出して。いっぱい、飲みたい」

 紅優の舌が蒼愛の男根を這い舐める。
 先を強く何度も吸われて、蒼愛はあっけなく絶頂した。
 口の中の白濁を飲み込むと、紅優がうっとりと顔を上げた。

「ぁぁ、美味しい……。蒼愛の霊力はまるで命だ。甘くて、蕩けそう……」

 紅優が蒼愛の腕を引いて起き上がらせた。

「今度は蒼愛の番だよ。咥えて」

 座ったままの紅優が、自分の男根に蒼愛の顔を近づける。
 蒼愛は四つん這いになって、紅優の男根を咥え込んだ。

「おっき……、あつぃ……、こぅゆぅ、好き……」

 紅優の腰がビクリと震える。
 それが嬉しくて、大きくて硬い男根の根元から舌を這わせた。
 先をチュクチュクと吸い上げて、口の中に押し込む。
 大きすぎて全部は咥えられない。
 喉の奥まで入れようとして、顎を抑えられた。

「苦しくしたら、ダメ。根元を扱いて。先、もっと吸って」

 蒼愛の手を紅優が自分の男根に触れさせる。
 言われた通りに握って、ゆっくり扱いた。

「ん、んぅ……、紅優の、早く、飲みたぃ」

 紅優の男根がビクンと震えて、先走りが流れた。
 舌で絡めとって飲み込む。

「ぁ、おいし……」

 全身に快感が走って、紅優の男根の先を強く舐め挙げた。

「待って、まだっ」

 紅優の手が蒼愛の後ろの口に伸びた。
 解そうとする指が、いつもより性急に中に入ってくる。

「蒼愛の中、悦くする前に、出ちゃいそっ……んっ」

 普段、あまり声を出さない紅優の気持ち悦さそうな声が嬉しくて、蒼愛は懸命に舌を這わせた。

「らして……、いっぱぃ、きもちくなって……、ん、んぅ」

 ちゅくと強く吸って、紅優を目だけで見上げる。
 目が合った瞬間、温かい紅優の白濁が口の中に流れ込んだ。

「蒼愛、可愛い……、我慢できなかった……」

 蒼愛の顎を撫でながら、紅優が荒い息を吐く。
 顔を上げて、紅優の一部を飲み込んだ。

「紅優の、美味しい……、ねぇ、もっと、ほしぃ」

 紅優の首に腕を回して抱き付く。
 頬から唇まで舐め上げると、口付ける。
 差し込んだ舌を紅優が舐めて絡めてくれる。
 嬉しくて、胸が締まる。

「はぁ、蒼愛、いつもより、可愛いね。困ったな、我慢できないよ」
「しなくていいよ。うしろに、紅優の、ほしい」

 声を発した瞬間には、体が反転して、布団に押し倒されていた。

「番の契りは只でさえ興奮を煽られるのに、蒼愛が可愛すぎたら、自制できない。壊しそう」

 まだ荒い息のまま、紅優が蒼愛を腕に抱いて、腰を押し付ける。
 後ろの口に紅優の男根の先があたって、ひくりと震えた。

「壊れない、から、全力で、抱いて。いっぱい、気持ち悦くなって」

 紅優の男根の先が蒼愛の中に入ってくる。
 嬉しくて、勝手に腰が動く。
 紅優が欲しいと、太い男根を飲み込もうとする。

「蒼愛……」

 悩ましい吐息が耳に口付けた。

「いっぱい交換しよう。流し合おう。蒼愛を喰わせて」
「僕も紅優を食べたい」

 吐き出す吐息ごと飲み込んで、口付けた。
 後ろの口に紅優の熱い男根が入ってくる。
 中を否応なく擦られて、ビリビリとした快感が背中を駆け上がる。

「ぁ! ぁぁ! きもちぃの、つよぃっ、ぁぁ!」

 仰け反って逃げようとする体を引き戻された。

「逃げちゃダメだよ、蒼愛。まだ、食い足りない。もっと気持ち悦くなって、快楽に塗れて」

 紅優の男根が蒼愛の腹の奥を突く。
 腹の中に、グポグポと音が響く。同時に知らない快感が頭に突き抜けた。

「ぁぁ……、蒼愛の中、トロトロで気持ちぃよ……。何回も達してるの、気付いてる?」

 ちらりと自分の腹を眺める。
 白濁で、どろどろに汚れていた。

「俺ので何回もイけて、偉いね。もっと淫靡な体になろうね、蒼愛」

 悦楽に潤んだ紅優の瞳が、蒼愛を見下ろす。
 頷いた瞬間に、また射精していた。

「ぁ……ぅんっ」

 喘ぎ声しか漏らせない口を紅優の唇が塞ぐ。
 紅優が蒼愛の中から一気に大量の霊力を吸い上げた。
 瞬間に、腹の中に強い快感が疼いた。

「俺も蒼愛の中に出すよ。俺を喰ってね、蒼愛」

 返事をする前に、また口を塞がれた。
 霊力を吸い上げながら、紅優の体が震えた。
 腹の中が熱くなって、紅優の妖力が沁み込んでくるのが分かった。

「ぁ……、紅優、おいし……」

 ビクリと腰が震えて、またイってしまった。
 
「蒼愛、愛してる」

 口付けたまま呟いて、紅優が蒼愛の上に崩れ落ちた。
 
「紅優、僕も、愛して、る……」

 紅優の熱を嬉しく感じながら、蒼愛の意識が沈んでいく。
 何とか探り当てた紅優の手を握って、蒼愛は目を閉じた。


〇●〇●〇


 体の中が熱い。
 消化しきれない熱を持て余しているようで、フワフワする。

「……うあ、蒼愛」

 声が呼ぶ方へ意識を向ける。
 引き上げられるように目が開いた。

「……紅優?」

 紅様、と呼ぼうとした口が、勝手に新しい名前を呼んだ。
 いつもと変わらない笑みが、蒼愛を見下ろしていた。

「もう、前の名前は呼べないでしょ? 番の契り、ちゃんとできたね」

 紅優が蒼愛の隣に横になった。
 腕枕してくれる紅優は裸だ。
 よく見たら、自分も裸だった。

(そっか、僕ら、番になるために、名前を与え合って、体を、繋げたんだ)

 名前を与え合ってから、頭がぼんやりして、やけに気持ちが良かった。
 気持ち良くてフワフワぼんやりした状態のまま、紅優と繋がった。

(体を繋げたの、初めてだ。僕ら、本当に番になったんだ)

 お互いに口淫したり、指で気持ち良くしてもらったりはしていたが、繋がったのは初めてだった。

(紅優はきっと、この日のために僕の体を馴らしてくれてたんだ)

 手を伸ばして、紅優に触れる。
 確かな熱を感じられた。

「紅優、あのね、僕、今、とっても幸せだよ」

 胸に溢れる気持ちを伝えたくて、言葉が口を吐いて出た。
 蒼愛の手を摑まえて、紅優が自分の頬にあてた。

「俺もだよ。大好きな蒼愛が俺の番になってくれて、一緒に生きてくれて、幸せ」

 紅優の笑みが本当に幸せそうで、蒼愛も嬉しくなった。蒼愛が紅優と二人で見付けた幸せの一つ目だ。

「僕はちゃんと、紅優のモノになれた?」

 体をぴたりと添わせる。
 紅優の腕が蒼愛を包んでくれた。

「なれてるよ。だから蒼愛も俺を自分のモノだと思ってね。俺はもう蒼愛の紅優だよ」
「僕の……。独り占めして、いいの?」
「いいよ。これからは、蒼愛だけの紅優だ」

 紅優が蒼愛の髪に口付ける。
 出会った頃からされている仕草なのに、今日はとてもくすぐったくて嬉しい。
 蒼愛は紅優の大きな胸に口付けた。

「僕の紅優、僕の」

 口に出したら恥ずかしくて、嬉しくて、やっぱり胸が擽ったい。
 こんなに大きくて大切な自分だけの宝物を貰ったのは生まれて初めてだ。
 一日一個のお願いを一生分使い切ったら、何よりも大切な宝物になった。

(万華鏡を貰った時より、何倍も嬉しい)

 あの時だって、相当に嬉しかった。
 自分だけのモノなんて、もらったのは初めてだったから。
 そう思ったら、涙が滲んだ。

「これからは、ずっと二人でいようね。ずっとずっと、二人で生きようね」

 紅優となら二人でいるだけで幸せだ。
 生きるなんて前向きな考えを口に出す日が来るなんて、思わなかった。
 今は素直に、生きたいと思える。

「二人でいるのが当たり前な毎日を一緒に生きよう。永遠に愛してるよ、俺の蒼愛」

 紅優の口付けが言葉を吹き込む。
 まるで誓いの言葉のようで、滲んだ涙が流れた。
 誰かに愛されて、誰かを愛せる今が、たまらなく幸せだった。
 これが幸せなんだと、それはとても嬉しくて温かいのだと、初めて知った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~

クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。 いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。 本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。 誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

処理中です...