香りの鳥籠 Ωの香水

天埜鳩愛

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番外編 ヒート休暇のお店番 エピローグ

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 あれから2年。
 夕べには海渡の涼しい風が吹くようになり、今年もまた海の女神祭りの季節がやってきた。

 あの晩、二人は警邏隊けいらたいにランの無事を知らせ忘れて夜会に戻った為、あの後すぐ花火そっちのけで街中ランを捜し始めた警邏隊、リアムとその友人、商店街の人々に多大なる心配とご迷惑をかけてしまったのだ。
 もう少しでキドゥにまで捜索の手が広げられる手前だったそうだ。
 その後結局夜遅くまで関係各方面に謝って歩くことになったメテオだ。

 リアムはランに告げていた通り、祭りが終わると中央に修行に出たきり2年経った今も一度もハレへに帰ってきていない。
 旅立つ前にランに謝りに来たが、あの日何があったかは頑なにランも言わないので真実はメテオも分からぬままだ。

 その後、度々ランが『したいときのキス』をしてくれるようになったかといえばそうでもない。

 真っ暗闇の中、初めてオメガとしてのフェロモンを放ち、直後愛らしくも妖艶にメテオを誘惑し虜にしたランはやはり夢幻だったのか……

 翌日にはまたいつもの初で無垢なランに逆戻りしてしまった為、今年番になるまで二人は基本非常に健全に、たまに少しは触れ合いながらも仲良く暮らしていたのだった。

 そして今。



「どおしてぇ。どおして熱が出ちゃうのぉ」

 ふかふかの布団の中で赤い顔をして目を潤ませるランの額に、メテオは冷やした布巾をおいてやる。ランはその手をとって頬にすりすりとさせ、上目遣いは恨めしげだ。

「一昨年も見れなかったのに、去年も出店の片付け大変で花火見れなかったし、今年こそはって思ってたのにぃ」

「ただの熱じゃない。本物の長い発情期が来る前兆だってお医者様がいってただろ?」

 ランの真っ白な項に残る大きな噛みあと。
 それを指でメテオはなぞると不満げにふるふる震えるランの唇をなぞるように優しく啄む。
 その唇も舌で確かめた口内も。確かに熱を帯び普段より熱い。

 今年の初夏。二人はついに念願の番同士になった。様々な思い違いや危機を乗り越えて、長年両思いのくせに遂げられぬ思いを抱いてきた二人は、義理の兄弟から恋人を飛び越して番になったのだ。

 番になったときの突発的な発情とは違い、今度こそ5日間は続く本物の発情期が始まりそうだ。

 微熱がダラダラと続いていたのが、初めての発情期の前兆と言われるが、流石にそんな身体で祭りの人混みにランを出す許可は出せなかった。

「兄さんと丘の公園で今年こそ花火、みたかったのに」

 メテオとのキスで艶かしく濡らした唇を赤い舌で舐めとる様は、すでに発情を予感させるに相応しい色っぽさだ。潤んだ瞳と目が合い、まだ、煽られまいとメテオはぐっとこらえる。

「ここからでも花火は見える。大丈夫だから」

 熱のせいかどうにも我儘になったランは、やはり発情期が近いせいか日頃のご機嫌な性格がなりをひそめて嫌に湿っぽい。

 宥めるメテオも一苦労だが、本来我を通すことの少ない優しい控えめな性格のランが素直に甘えてくれるのは中々良いなと思っていた。
 ずっとある意味ランには振り回されてきたが、それは無自覚無意識であって、こうやって愛する人から面と向かってわがままを言われるのは、どうにも小そばゆくたまらなく愛しくなる。

 そう、そしていま二人がいるここは旧領主の館の一室なのだ。
 それもかつてはラグとソフィアリの寝室だったという特別な部屋。
 彼らの甘い甘い新婚当初に使っていた海を見下ろせる素晴らしいゲストルームであり、かつての二人の愛の巣だ。

 そんなにも大切な場所なのだが、ついに先日実の叔父だと名乗り上げたソフィアリが、今までの鬱憤を晴らすかのようにランのために発情期の間この部屋を貸し与えたのだ。

『ここなら部屋から花火も見えるでしょう? 私って本当に良い叔父だよね。ねぇ、ラン。叔父さま大好きっておっしゃい』

 元よりソフィアリのことを尊敬していて大好きなランだった。しかし長年染み付いたソフィアリ様呼びはどうあっても直らず、ソフィアリはそのたびにプンプンしているのがこのところの微笑ましい光景になっていた。

 ドンッとはじまりを告げる花火が一度大きく夜空に鳴った。
 メテオは柔らかな薄手の上掛けでランを包むと抱き上げてバルコニーに出た。

「あと少ししたら始まるぞ」

 海からの潮風が二人の前髪と上掛けの裾を巻き上げ、会場からの人々の活気ある様子も伝えてきた。

 すると、大人しく抱かれていたはずのランが腕の中から意外と長くほっそりした手を伸ばしてきた。指先でスルッとイタズラするようにメテオの唇に触れる。
 ふわりと風に乗り、ランのフェロモンの薫りがメテオの鼻先をくすぐる。

 ふにっ ふにっ ふにっ。

 しつこいぐらいにランの指が唇を押してはなぞる。これは何だろうか…… 

「ランっ」

 名前を呼んだら口の中に中指と人差し指が入ってきて食んでしまった。

「ぁん……」

 小さく身震いして喘ぐランに導かれるようにそのまま形の良い爪の先から第一関節までも舐る。ゆらゆらと煙のように立ち昇る互いのフェロモン。

「いいのか? 花火見られなくなるぞ?」

 小さな貝殻のような耳朶に触れるほど耳元で囁くとランは『はぁっ』と色っぽく歎息し悩ましげに呟く。

「花火みたいの。……でもおにいちゃんに、触ってほしい」

 少しずつ理性の紐が緩み、あどけなさと触れなば落ちん程の色香が花開く。
 急速に強くなってきたランのフェロモンに、メテオはもう抗う必要はないという僥倖を噛みしめた。
 これからはいくらでも愛する番に溺れてよいのだと思うと陶然とした心地になるのだ。

 幼い頃抱き上げたのと同じような位置にある顔が、潤み欲に濡れた視線を返してくる。

 それなのに挨拶のキスを強請るときのように瞳を閉じて、口を突き出してくるのだからたまらない。

 ランはいつまでも変わらない。
 変わらず愛おしい。メテオの最愛。

 優しく下唇をはんではじまった口づけは、次第に互いの舌を絡め、口内に導きあい。
 上の口蓋をそよがせると敏感に感じきったランは、心地よさから抱かれた腰を淫らにもぞもぞとさせていやいやをした。
 煽られてさらにランの唇に貪ろうとしたその時、弾ける音とジュワっとでも言うべき火の粉の燃え尽きる音が炸裂し、ついに花火が上がり始めた。

「あぁっ、花火…… んっ あぁんっ」

 遠くに聞こえる人々の歓声、立て続けに上がる花火が夜空を明るく染め、飛び散る火の粉は海の女神が天の火の神とが抱擁するように波間に消えていった。

 花火はこれからが盛り上がるところだというのに、メテオはランの柔く蕩ける唇に夢中になりながら寝室へ踵を返した。

「おにいちゃん、はなびぃ」

 ぱしぱしと力ない手でメテオの胸を張り付けるが兄は止まらない。手早く頭の上からのシャツを脱ぎ捨て、起き上がろうとしたランに覆いかぶさってきた。

 自分が大事にランを包んでやっていた上掛けを乱暴に剥ぎ取り投げ捨てる。発熱で暑がり胸元まではだけていたランのシャツから、砂糖菓子のように淡い素肌とピンク色の頂が覗くみて喉を鳴らす。

 ランは一度身体を離してじっと舐めるように
 見てくる兄の情慾を伴った視線に、より火照り熱が上がるのを感じていた。

 もじもじと膝を合わせてヘッドライトに浮かび上がる身体は未成熟な状態から、少しずつ青年期に近づきつつも、腰つきは以前よりオメガらしい艶かしくまるい曲線を描く。熱から上気した薔薇色の頬に、呼吸のたび覗く赤い舌。
 細い眉を寄せ潤みきったダークオレンジの瞳はポロッと大きな涙を溢して苦しげなのに、それにまた唆られてしまうから始末に負えない。

 見下ろしてくる兄の身体は普段は着痩せして見えるが、ラグに鍛えられてここ数年でさらなる厚みを増した。背も体格ももはやすっかりメルトを凌いで端正でありつつもラグのような雄の魅力も溢れる良い漢になった。

 その兄が明かりに琥珀の瞳を光らせ欲望のまま嫣然と微笑を浮かべるさまに、ランは狼に食べられる小うさぎのような胸高まりが止まらなくなる。
 兄はランの目から見たら、スマートな父とワイルドなラグのいいところを一つに合わせた特別に素敵な存在なのだ。

 あれから、いつも。
 抱かれたくて、しょうがなくなる。

 背に腕を回され恭しく着ていたシャツを脱がされて、熱に侵される自分よりは少しだけ冷たい指がきゅっと頂きを摘んですりあげる。
 左側は大きな身体のメテオに乗り上げられて、身動きを封じられた。

「ああっ、あん…… あ、あぁ」

 もう片方は口の中に囚われ、舌先で潰したり弾いたりと蹂躙され、弱いところを立て続けに責められたランはほっそりと長い左足の片膝をたてて足の裏ではなんども寝台を滑るようにして見悶える。その元気の良すぎる脚はメテオの右の手に捕まって、か細い足首をぎゅっと強く戒められた。
 そのまままたしつこく攻め苛まれる。
 びくっ、びくっと腰がランの優美な陰茎の開放の前兆に揺れだし、戒められた足先だけが力がこもったり弛緩したりと忙しい。

「やあ。だめぇ。しちゃだめ。いっちゃうから、だめなの、はなびぃ」

 この後に及んでまだ花火。メテオは苦笑して
 乱暴にランを我が身の肩に押し付けるように縦に抱き上げると、寝台を蹴りつけて立ち上がりドンッドンッと足音をたててバルコニーに舞い戻った。そしてくたっとしたランの手を冷たい石のバルコニーにつかせて足を無理やり開いて立たせる。
 後ろから覆いかぶさるようにのしかかり顎の下に手のひらをおいて顔をあげさせ、手すりから守ってやる。
 終りかけの花火が夜空に広がるのをランは涙で潤むぼやけた視界でみとめた。

「ほら、花火だ、よく見てろよ」

 メテオが欲にか擦れた声を出し、ランが目をこすり夜空を見つめた瞬間、後ろを弄っていたメテオの両手がランの双丘を割開き、熱く硬い楔を一気に貫いてきた。

「あっ! ああ! あっ いゃあ」

「クっ」

 熱を出してからは2日ぶりの身体はいきなりの蹂躙を拒むように狭く、ランの小さな身体はすぐに脱力してバルコニーから手を離してしまう。想定していたようにランの顔を持っていた手はそのまま喉元を。もう片手で体すべてを支えながら腰をさらに押し付けるようにしてみちみちと犯す。

「ほら、見てろよ花火」

「くうっん、ああ、あうぅ」

 ぐりぐりと奥を苛まれながら痛いほどに喉元から下に降りた手で乳首を虐められる。
 サディスティックに耳を齧り舐め、囁きながら。どんどん濃くなる項からの芳香に触発されて番を食い尽くしたいほどの野蛮な気持ちすら誘発される。

 ランが少し苦しげに呻き始めたので一度自らを引き抜くとぬらぬらとした怒張は空気にさらされ腹にもつくほど反り返った。
 またくたっとし地面にしだれ掛かりそうな前後のないランを抱き上げて寝台にもどると、背中から柔らかな褥に押し倒す。

「まだみたい? 俺より花火がいい?」

 この後に及んでまだ花火にすら嫉妬する兄に、息も絶え絶えなランは目を細め呆れつつ。
 中途半端に煽られた身体の熱は耐え難くて、自ら白い足を鳥の両翼のように美しく広げた。

「メテオがいいよ。意地悪しないで……」

 涙声であえかに。両手を差し伸べてメテオを誘う。メテオは足の間に身体を割り込ませ、その手を指に絡めて頭の上で握り合う。
 大人気ない自分を反省しつつももう一度唇を合わせながら太ももを片手で持ち上げて腰を進めた。
 ランの蜜壺はすでにつけられた道で濡れ、鬼頭を当てるとキュンっとはんで誘ってきた。

「メテオ、いい匂い。ハァ」

 吐息のような喘ぎ声を漏らすランこそ馨しく蜂蜜を垂らしたように甘い香りを強めていった。

 今度はくいっと浅い部分の感じるところに当てようと腹の裏をなぞるように身をすすめる。
 気持ちよさだけを感じさせたい。
 上手に息を吐くランの髪を撫でて額に口づけ、軽く唇にもキスを落としたのを合図に、腰をいいところに当たるようにゆっくりと動かし始めた。

「気持ちいい…… 気持ちいよぉ。 メテオもぉ?」

 ランは没頭しても片時も兄のことを忘れることはないのだ。大きくゆったりと揺さぶられながらも指を絡められた手をまた強く握り返す。

「俺も…… 気持ちいいよ。ラン。好きだ」

「ランも、大好き」

 そう気持ちを伝えあったら、メテオは更に大きくなり、ランはキュンっとメテオをはんで。

 そんな変化にお互い笑いがこみ上げるが、ゆるゆるとした動きに顔を赤くしながら焦れたランが兄の腰に足を絡めると、本格的な中挿がはじまって。

「メテオすき、すきぃ。あぁっ あんっ」

 兄の大きな身体に小舟のように揺さぶられながらランは絶頂の予兆に身体を震わせる。
 小さな花火のように細かな快感が弾け飛びやがて大きな火花が広がるように。

 兄が欲望をぐりっと突起を押し付けてきた時、ランは前を極めつつ、後ろは兄をうねりながらはんだまま絶頂を迎えた。

 ぐったりと両手を広げて目をつぶり、大きく息を吐き続けるランだが、兄は素知らぬ顔でランを腹の上に載せ抱え直すと両腕で掴むようにしてから腰を使い始める。

「だめっあぁ」

 極まったばかりの身体を思う様蹂躙されて、がくがくと揺さぶられる。
 容赦のない兄の動きにランは腹についていた手の爪を立て、子猫のように引っ掻いた。

 その痛みにすら興奮したメテオはぐりぐりっと最奥に身体を進めようとする。

「やあっ 深いの」

 まだいやいやをするランに、メテオは明確な意思をもって自分のαフェロモンを開放する。
 ランは日頃よりも性的な魅力に溢れた濃厚な香りを真正面から浴びた。
 電撃に打たれたかのようにランの身体が腹の上でびくっと揺れ弛緩し、メテオの立てた両膝に仰向けに身体を預ける。

 ランの中は灼熱の熱さを伴って意志とは真逆の生き物になったかのように、蠕きなぎらメテオを捉えて律動を繰り返す。
 そのあまりに過ぎる快感は今でにないほど鮮明にメテオの余裕さえじわじわと奪っていった。

 意識を手放したかに見えたランは、緩慢な動作で身体を起こすと、腹に力を入れて上半身をあげたメテオに視線を合わせて、にいっと雌の顔をして嗤う。

 妖艶、淫蕩…… 
 見開かれた朱赤の瞳はまるで伝説にきく淫魔のように妖しく光輝いた。

 ランのオメガとしての開花。
 発情期の扉をついにこじ開けたようだ。

 大きな瞳を煌めかせながら月齢の低い月のように細め、ぴんっと乳首の立ち上がる滑らかな胸を擦り付けるようにして兄の身体を這い上がると舌を大きく突き出し、兄の口元をぴちゃぴちゃと音を立てて舐めだした。

 メテオも舌を差し出し、二人は会話するように密に長く貪りあうと二人の間に水の糸が伝って垂れる。

 直後ランが大きなグラインドで腰を回すように動かしてきた。
 兄への責め立ては容赦なく、日頃の交接では恥ずかしがって動きはしない騎乗位でも淫れた顔すら見せつけるように腰をふる。

「ラン!」

 余裕をなくして情けなくも弟を咎めるように声を上げた兄の口元に、しぃっと言いながら指を押し当てて、ランは花の精霊の如き愛らしい顔をして、しかし魔性のように微笑んだ。

 ランの看病やここに連れてくるために遅い昼のあと抑制剤を少しだけ飲んでしまった。そのせいかフェロモンを感じ、自分からも漏らしているがどうにもまだ、本調子でなくランに押され気味だ。こんなことならば飲まずに自分もすぐに理性を飛ばせばよかった。

 ランは野生的に両足の平を寝台につけて屈むような姿勢をとると、激しく上下に身体を動かす。繋がった部分の水音は室内に響き渡るほどで、顔つきは麗しさも可憐さも歪めていないのにどこか苦しげで、しかし悦の極みに口元は緩むというメテオの想像する欲望の極みのような様だ。
 きゅうきゅうと屹立を休みなく締め付け擦りあげられて、メテオはついに動かないでいられなくなり、繋がったまま器用に軽いランの身体を抱き込みつつ上下を入れ替わった。

 顔を真っ赤にして完全にイキリたち、兄は荒い息を吐く。

「ラン、俺をこんなふうにして…… 」

 はちきれんばかりの欲望がランの腹を内側からみちみちと膨らませたが、ランは蕩けるような笑顔を浮かべ、陶然と薄い腹の膨らみを撫ぜて一言。

「うれしぃ♡」

 メテオはやはりランにかなうことなど何一つないと心の中で白旗をあげつつ、再び二人で悦楽の縁へ落ちていった。



 水平線から朝日がゆっくりとのぼってくる。
 のたりのたりと柔らかな波立つ海も、朝焼けに染まって胸に迫る美しさだ。

 メテオは子どもの頃からこの色をいつでも見られるところにいた。
 朝焼けの色はランの瞳の色だ。

 赤ん坊のランはその頃から真っ直ぐにメテオを見つめ返してメテオの世界はその時色づいた。

 番を翻弄し、愛を一身に浴びて微睡む。
 その美しい人はまだ乱れた寝台の上で静かに眠っていた。
 無理もないだろう。愛し合う二人が身体を離したのはつい先程で、興奮冷めやらぬメテオは目が冴え眠る前だというだけなのだから。

 一説には番の身を守るために発情期に五感が研ぎ澄まされるのは、アルファの本能とも言われているが、確かにあれだけ交わったというのにむしろ身体の底から力が漲るような気持ちになった。

 この感覚をもってランの先程の香りを香水に起こしたらどんなに素晴らしいものが出来上がるだろううか。

 調香師の怜悧な顔を取り戻したメテオは、潮風を全身に浴びて大きく深呼吸をした。

 (そうだな。香水の名前は……)

 サンライズ。
 いつでも昇り明るく照らし導く、
 力漲る運命の香り。



 
 終


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