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 咎めるようなハモリ声はかなり大きく、麗紋はすぐさま耳を塞いで面食らった。

「二人と一緒に歩くとやたら注目されて目立つし、他校の女子からも知り合いだって思われて二人目当てで俺の方にSNSの友達申請が沢山来るし、クラスメイトで繋がってる女子からはDMでやたら二人のこと質問されるし、色々と面倒なんだよ」

 これはもう中学の頃からずっとそうなので慣れっことも言えたが二人の高校卒業を前に、さらに加熱してきていたので勘弁して欲しいと辟易していた。

「それから昼はそろそろ、空き教室で三人じゃなくて、加賀谷とかクラスメイトとかと食べたい。それから俺も二年になったらバイトしたい、加賀谷がしてるバーガー屋に誘われてるんだ。人手が足りないんだって。あと、ご褒美に焼肉奢って」

 そんな一方的な自立宣言プラスただの我儘を黙って最後まで聞いた翠と碧は、同じように顔を曇らせた。

((それ、本当に俺たちだけが目当てか?))

 双子たちから言わせれば、麗紋が双子目当てと言っているうちのきっと何割かの女子からのお誘いはきっと麗紋自身目当てだろうと想像がつく。
 麗紋はスポーツも勉強も二歳上の二人に負けじと頑張っているし、ハキハキと明るい性格で友達も多い。何事にも一生懸命で健気な姿にきゅんっと来るものは男女ともに多いだろう。
 容姿も母親達譲りのぱっちりした二重に赤茶のくりっとした瞳、細すぎないがごつくはない身体つきは女子からはアイドル的な雰囲気に、男子からはちょっと護ってあげたくなるような感じに映ってしまう。
 つまり麗紋は全方向に向けて無防備なままわりとモテる。これが麗紋を溺愛する二人には面白くない。
 その上高校に入ってから部活もクラスも一緒で麗紋と仲良くしている加賀谷という強敵が現れたから気が気ではないのだ。
 麗紋を溺愛してやまず、出来れば末永く自分たち二人だけの元に囲い込んでおきたいと常日頃から考えている双子は、むむむっと顔を見合わせた。

「加賀谷、加賀谷って。あいつやっぱ危険だな。れーちゃんにべたべたしすぎ」

 と翠が呟き、いつも落ち着いていて口数が少ない方の碧もそれに大きく頷いた。

「俺にべたべたし過ぎなのは二人の方だよ。もうすぐ高二になるのに、いつまでもちっちゃい頃と変わらない扱い方をしてくるし。それに加賀谷はいい奴だよ」
「俺たちがれーちゃんにべたべたするのはいいの。れーちゃんを誰より愛してるんだから」
「加賀谷いい奴だ。よくわかっている。だからこそ、むしろ余計に危険だ」
「なにそれ? 意味わからん」

 しかし麗紋の我儘やおねだりはいつものことなので二人は慌てることなく、顔を見合わせてから「まあ待て」と麗紋の頭を両側から軽く小突いて微笑みあう。
 こんな時二人の中では喋らずとも答えが出ているので、麗紋にとっては蚊帳の外にいるような寂しいような気持ちになるのだ。
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