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黒猫王子は狼騎士に溺愛される🎃(ハッピーハロウィン)

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「あー。お着替えしちゃいましたか? 記録も兼ねて写真撮りたかったんですけど」

 声を聞いたら南だと分かり、和哉はぐったりとした柚希のこめかみをねぎらうように啄み、軽い音を立ててキスを落とした。

「……30分ぐらい待っていただけますか。もう一度着ますので」
「また後できますね」

 南が遠のく時間を測りつつ、そのまま柚希の口元を手でふさぎ、残滓を注ぎ込むようにねっとりとした動きで残滓を中へ擦り付けるように腰を振る。
   柚希は息絶え絶えで、和哉に揺さぶられるがまま、気をやりかけて机の上にその身を預けた。

※※※

「……お待たせしました」

 和哉が狼騎士の扮装に着替えなおして扉を開けると差し入れ用の紙袋を両手に抱えた南が二人を見つけて嬉しそうに手を叩き、彼女特有の喜びのつまった甲高い笑い声をあげた。

「ごめんなさいね~ また着替えてもらっちゃって」

 幸い手持ちのタオルや休憩スペースとしてウェットシート等が置いてあったので、和哉はぐったりとした柚希の身を清めると元通りの恰好をさせるに至った。
しかし柚希は先ほどのやり取りの余韻が抜けず、未だにどこか呆然自失とした虚ろな表情で椅子に腰かけている。

「差し入れはここに置いて置かせてもらっていいかしら? ぎりぎりまだ日が落ちてないから屋上で写真撮ってもいい?」
「もちろんです。ね、柚希」
「はい。……よろこんで」

 最近は日の入りがどんどん早まってきている。南の後ろを歩く二人は手を繋ぎ、廊下の電気を灯しながらところどころ荷物が置かれて邪魔な階段を上がっていく。4階建ての建物だが商店街ではマンション以外ではのっぽの方だ。
 屋上の鍵はかかっておらず、出てみると大分日は傾いて頬を抜ける風も冷たい。

「どっちむきがいいかなあ。後ろのマンションが入らないそっちがいいかな。あ、でも逆光にならない方がいいか」

 南に立ち位置を決めてくれたので柚希の手を引いてたち、寄り添いながら和哉は柚希の腰に手を回した。そうでもしないとまだよろけそうになる、危なっかしい動きをしていたからだ。

(王子様、顔が色っぽすぎますよ)

 そう和哉が突っ込みたいほど、柚希は事後の余韻を引きずったほんのり赤い頬をして、ふわふわのとろとろの表情をしている。
 こんな顔誰にも見せたくないし、写真に残るのは和哉としては非常に不本意だったが南には商店街皆でお世話になっているので仕方がない。
 柚希の腰を抱いていないとよろけそうになるので密着度満点の写真が撮れてしまったが、今はまだ終始ぼんやり気味だったのであとから気がついて大騒ぎしそうだ。
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