上 下
145 / 296
黒猫王子は狼騎士に溺愛される🎃(ハッピーハロウィン)

1

しおりを挟む
 ☆第一部終了一週間後ぐらいのお話ですので、第一部をご覧になってからお読みください~
  ひたすらいちゃラブなハッピー番外編です
 
  さて、柚希と和哉が番になったのは10月の半ば。
  発情期直後の仕事復帰したあとの土日が商店街のハロウィンイベントでしたので、その際のエピソードです。


 柚希が和哉と番になり、発情期の休暇を経て復帰した後の週末。柚希の勤め先のある商店街はちょうどハロウィンのお祭りに当たっていた。
 地元の子供達中心の仮装行列や、商店街の店舗を回るとお菓子が貰えるスタンプラリーが催され、各店舗がちょっとした出店も出す。 
 柚希の勤め先であるドーナツ屋も紫芋やカボチャで色付けしたハロウィンモチーフのドーナツを売るほか、大人気の揚げたてドーナツを提供するのだ。

 祭りは二日目を迎えていた。天気は快晴。時間は午後2時を回るところ。
もうすぐハロウィンの仮装行列に参加した人の仮装コンテストが開かれるとあって、商店街の中央に設けられたステージ付近の人出が増してきた。
 商店街の今年のハロウィンの仮装テーマは『おとぎの国』。テーマに沿った仮装をしてきた人が一般の部と子どもの部に分かれて事前にエントリーしている。入賞者に商店街で使える商品券がプレゼントされるとあってみなこぞって参加してくれている。
 普段は製造チームにいる柚希の今日の持ち場は子供たちのスタンプラリーのゴール、カードと交換にお菓子を渡す係になっている。
「お菓子の交換所はこちらです~」
 学生ボランティアが声掛けしている隣で、柚希はピンクのぺらっとしたドレスにおもちゃのティアラを付けた女の子の前にひざまずいた。
微笑みつつ小さな手にそっとリボンでラッピングされたお菓子を載せてあげる。

「さあお菓子をどうぞ、プリンセス」

すると女の子は柚希をうっとりと見上げながら、頭の上を指さし呟いた。

「にゃんにゃん王子様だあ。にゃんにゃん、かわいい」
「本当ねえ、猫さん王子様可愛いねえ」
 幼子とその傍らにいた母親にまで「可愛い」といわれ、柚希が白い頬を恥ずかしそうに薔薇色に染めた。ゆっくり立ち上がると頭の上で艶々とした黒い猫耳が揺れる。

(うあああ。恥ずかしいよお)


しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

孤独を癒して

星屑
BL
運命の番として出会った2人。 「運命」という言葉がピッタリの出会い方をした、 デロデロに甘やかしたいアルファと、守られるだけじゃないオメガの話。 *不定期更新。 *感想などいただけると励みになります。 *完結は絶対させます!

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

僕の追憶と運命の人-【消えない思い】スピンオフ

樹木緑
BL
【消えない思い】スピンオフ ーオメガバース ーあの日の記憶がいつまでも僕を追いかけるー 消えない思いをまだ読んでおられない方は 、 続きではありませんが、消えない思いから読むことをお勧めします。 消えない思いで何時も番の居るΩに恋をしていた矢野浩二が 高校の後輩に初めての本気の恋をしてその恋に破れ、 それでもあきらめきれない中で、 自分の運命の番を探し求めるお話。 消えない思いに比べると、 更新はゆっくりになると思いますが、 またまた宜しくお願い致します。

a pair of fate

みか
BL
『運命の番』そんなのおとぎ話の中にしか存在しないと思っていた。 ・オメガバース ・893若頭×高校生 ・特殊設定有

トップアイドルα様は平凡βを運命にする

新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。 ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。 翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。 運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。

処理中です...