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お兄ちゃんはとうとう、二人への気持ちに気付いてしまいました。

42 ほのかの膨れっ面と、葛の『んごごごごごごっ!』 ~お兄ちゃんはおままごとでも全力です~

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「ちょっと有本!立派にストーカーされてるじゃんよ!」
「心配性してくれてるだけだと思う。僕らがダウンロードしてる『見守りアプリ』は互いの了承の上だし」
「ぐぬぬ……!いい所で邪魔ばっかりしてきて!」

 今日はそんなに飲みたい気分だったのか、幸田。覚えてはいないが、飲みに行こうと言われた時に了承の生返事くらいはしてしまっているのかもしれない。申し訳ない事をした。

「チャンスだと思ってるのは貴女だけじゃないかしら?」
「私達はお姉さんの言葉、ばっちり聞いてたもんね!」
「あ、アンタ達!」

 こら、ほのかにかずら。ドヤ顔で笑わない、煽らない。だが、幸田の顔が赤くなったり青くなったりしている。

 僕が考え事をしている間に何を言ったのかは知らないが……本当に悪い事をした。土曜日みたいに険悪にならないうちに帰ろう。
 
「今日はありがとう、助かったよ。恩に着る。今日の礼と土曜日の件のお詫びを兼ねて、この前の幸田の友達と一緒にご飯でも奢らせてくれないか。今日は二人と帰るよ」
「何だよ! せっかく相談に乗ってやったのに!」
「……申し訳ない。この礼は必ずするから」

 幸田に頭を下げる横で、ほのかと葛が動く気配がした。

「な、何よアンタ達! 何か文句あるの?!」
「おい、ほのか! 葛!」

 二人が幸田の両脇に立ち、交互に何かを呟いている。

” …………逃げ場の……ように仕向け、……いう事かしら? ”
” 既成事…………、何を……………ですか? ”

 くう、全然聞こえない。
 ほのかと葛、凄く真剣な顔してどうしたんだ?
 怒ってるのか?
 幸田は俯いているし。

 またヤバいかも、割り込もう。

「ほのか、葛。幸田は元気のない僕を見かねて、声を掛けてくれたんだ。何に怒っているのか知らないが、もうそのくらいで、ごめんなさい僕が悪うございました出しゃばりましたお許し下さいほのか様葛様」

 ほのか、めっちゃ涙目になってるう!
 僕に膨れっ面してるう!

 葛、『ごごご!』どころじゃない!
『んごごごごごごごごごごごっ!』みたいな、しかめっ面ぁ?!

 ばっしい!

「あたあ?!」

 ぶっ叩かれた?!
 背中!
 僕の背中あ?!

「有本の馬鹿! もう頼まれたって彼女になんか、なってやんねーよ!」

 肩越しに……怒鳴られた。
 あ、いえそんな事言われましても。

 でも、あれ?
 あれ?

 僕もしかして……絶賛みんなに嫌われた?!

 このままパーティーから追放された僕はギルドからも追い出されて、落ち武者のように世界を彷徨さまよう羽目《はめ》に…………!

 いや待て、落ち着け。
 今はやめろ。
 本当にやめろ。
 深呼吸だ。

 すう。
 はあ。

「せいぜい三人でやってろや! 馬ー鹿!」

 あ、走ってった。
 ままごと、か。

 でも。

 恋にならなくても本気のままごとならいいと思う。それにほのかと葛となら、僕の全力で向き合いたいじゃないか。

 
 ままごと、上等さ。
 
 
 
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