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お兄ちゃんはとうとう、二人への気持ちに気付いてしまいました。

40 ラノベがバイブルでごめんなさい ~お兄ちゃんは結局あたふたです~

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(何でまたそんな顔してるのよ!ちょ、ちょっと言い過ぎたかな?……ねえ、この後一緒にご飯食べない?お酒でも飲みながら、嫌な事をパーッと忘れちゃうぐらいにさ?わ、私が……有本を元気にしてあげるよ)



 今思えば……ほのかと葛かずらは単純に僕に合わせてくれていたのかもしれない。本やゲームの世界にワクワクして喜びを分かち合いたいと巻き込んでしまった僕に。

 そして。
 全てがそうだった。

 あの二人が僕と一緒にいて、何をするにしても……嫌がる素振りどころか、いつも楽しげに、面白そうに付き合ってくれた。

 そう。

 そんな風に小さい頃から僕の事、いっぱい大切にしてくれてた。寄り添ってくれてた。
 
 僕が悲しむ時は一緒に泣いてくれた。

 悔しい時。
 嬉しい時。

 頑張った時。
 落ち込んでいる時。

 いつもいつも、傍にいてくれた。
 どんな時でも僕に前を向く力をくれた。



(こ、コイツ!全然聞いてない!……こうなったら力技で、逃げ場のないように仕向けてあげる。ねえ、あいつらを忘れたいから、私と付き合うんだよね?……よし、聞いてない。これで後は既成事実を作っちゃえば……!)


 
 家族で、妹分で、幼なじみで。
 そして……僕の最愛の女子達。
 
 どちらが好きだなんて、選べる訳がないんだ。
 選べる、訳がない。

 同じくらい愛してる。
 
 ……ああ。
 するべき事が、分かった気がする。

 
 ●


 べしい!

 いってえ?!

「もう!いい加減にしろ!私がこんなに一生懸命誘ってるのに!有本の為に頑張ってるのに!聞けよ少しぐらい!」

 あ、頭……ぶっ叩かれた。いや、これは僕がいけない。
 また考え込んでしまってた。
 
「ご、ごめん」
「せっかく相談に乗ってやってるのに、もう!……はあ、全く。ほら、続きはあとあと!飲み行こうよ!」
「え?あと?」

 え?
 そんな話してたの?
 幸田の友達と一緒じゃなくて?

「さっき、場所を変えようって言ったよ?からいいんでしょ?随分目立っちゃったし……ほら、行くよ!」
「マジか僕。お、おい」

 手を引っ張るな。
 もげる。

 ……ま、いいか。
 外に出てから話そう。

 胸が苦しいのは変わらない。
 が。

 幸田のおかげで幾分、スッキリとした。
 お礼を言わないとな。



 こういう時は男が払った方が……?
 おっとっと。相談に乗ってもらったのは僕なんだから当たり前じゃないか。

 この前のお詫びを兼ね、伝票を幸田の手から取ってレジに並ぶ。……何でこんなに驚いてるんだ?

 あれ?ち、違った?
 ラノベがバイブルでごめんなさい。
 と、とりあえず払っちゃおう。

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