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辺奈都高校編
夜に舞う、そして乱れる。
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襖や掛け軸、生花に畳。雅で粋な部屋には、白黒の和服を着た男と、現代的なデザインの和服を着た男が二人向かい合っていた。
二人の間には小皿の上に、厳かな湯呑みが2つ置いてあった。
「それでどうですか?最近の歪咲さんの様子は」
鈴のような声が和室に響く。
「えぇ、出会った当初よりはだいぶ変わりましたね。仲間も増え、満更でもなさそうです」
「それは何よりですね」
和室にいたのは、天道と九龍だった。二人は今九龍の自室で歪咲の事について話していた。
「それにしても、中々に良い部屋ですね。趣があって」
「まぁ、このような雰囲気が好きですから」
他愛のない話をした途端に、二人の表情が一瞬曇る。
二人は、何か不穏な気配を感じたのだ。
「九龍さん」
「えぇ、俺はこの感じを知っています。これは…唯我祭の時の……」
二人は早々に動き始める。
「ちぃっっ!!何がなんだというんだ!!」
「毒島さん、背中はお任せください」
「当たり前だ!さっさとやれよ!」
毒島が『右腕』保有者の情報を掴み、保有者の元へ向かおうとしていた矢先、唐突に周辺にいた生徒たちが暴れ始めた。一瞬自分達が対魔公安局の者だとバレたかと考えたが、周りを見ていると、生徒と生徒が争っている場面も見えた。身分がバレたわけではないのだろうが、ここから先は混乱が生じるだろう。
「ハァ~…またかよ。アタシは寮監であって、戦闘員じゃあないんだけどなー」
学生寮の方でも同様のようだった。看守服にガーターベルト、ヒールを履いた『碧眼の人狼』恐刻は、まともな生徒を暴れる生徒から守る為に学生寮間を奔走していた。
「うわぁぁ!や、やめろ!やめろって!」
声の方へ視線を移すと、巨体の生徒が今まさにまともな生徒を潰そうとしているところだった。
(チッ……間に合わない……かッ!)
走って間に合いそうに無いことを察した恐刻は、腰から何かをシュルリと引き抜く。
しなる黒い物体は、うねりながらも音と同等の速さで巨体の生徒の頭をガンッと揺らした。
生徒はぐらりと傾くと、その場に倒れる。
恐刻が腰から抜いたのは、鞭だった。
「お~い大丈夫かお前」
「キョッ恐刻さんッッ!」
「抱きつくなガキ。アタシを抱いていいのは天道先生だけだ。てか抱かれたいぃ~」
恐刻はこんな状況だというのに、妄想をしては顔をとろけさせている。
「は?」
生徒は呆気に取られていたが、次の瞬間には恐刻は生徒に向かって指示を飛ばしていた。
「ともかく!さっさと部屋戻って鍵を閉めろッッ!!いいな!できれば複数人でいろ!」
「は、ハヒィッ!」
叫ぶ恐刻の気迫に押されて、生徒は急いで寮の方へ戻っていった。
「全く、ガキのお守りも楽じゃないわね…」
しゅるんッと鞭をしならせて腰に収める恐刻。そこへ天道が文字通り飛んできた。
「ここも他と同様ですか」
「あらぁ、その言い分だと寮だけの問題じゃないみたいね。どうなってるの?」
「どうにも生徒の一部……いや、ほぼ半数が洗脳的に動かされているようです。厄介なのは、その生徒は他の生徒も狙うところでしょうか。一部の生徒達は持ち前の能力で抵抗できていますが……やはりここが一番大変みたいですね」
「そうねぇ、学生寮にいる子達は戦う力を持たない子が多いから」
「それに加え、相手は正気の生徒も襲う……中々骨が折れる状況です……」
「あら、大天狗様にも難しいかしらね?」
恐刻が軽くいうと、天道はフッと笑いながら赤い鼻の尖ったお面を取り出す。
「骨が折れるだけです。無理とは言ってません」
天道がそのお面を顔につけた途端、突風が発生し衣装が白装束に変わる。その様子を横で見ていた恐刻はペロリと舌を出しながら話す。
「ねぇ、これが終わったら抱いてくれないかしら?」
「ハハッ考えておきますよ」
天道は軽く返すと、空高く飛んだ。
「……あ~あ、また振られちゃったわ」
狼のような髪をガシガシとかきながら、恐刻は別の学生寮へと向かった。
「おいおいおい!どうなってんの!?」
たまたま夕飯の材料を買いに行こうとなったので、歪咲、サトリ、虫鹿、飛燕は外出していたのだが、唐突に多数の生徒が反乱したような状況になっている。
「大将…アタイの後ろに居ろ」
「歪咲さん、私の後ろにいてくださいねー?」
サトリと虫鹿は歪咲を庇うように前に立つ。
「歪咲様、とりあえず学生寮に戻りましょう。どこも変わらない喧騒のようですが、屋外よりはあの部屋にいた方が安全だと思われます。それに、小さくなってしまったとはいえ式宮さんがあそこににます」
飛燕から助言をもらうと、歪咲は頷きながら答える。
「そ、そうだな。とりあえず……」
歪咲が何か言おうとしていた矢先、飛燕は奥に見覚えのある制服を着ている人物を見る。その人物は、どうにも学生寮の方へ向かっているようだった。
(あの制服は……対魔公安局ッ…やはり中にまで侵入していた……しかもあの方向、学生寮の方向?もしや、歪咲様は連中に顔が割れているのか!?だとしたら…)
「申し訳ありません歪咲様、前言を撤回いたします。どうやら歪咲様は敵側に顔が割れている可能性が高いことがわかりました。そしてその敵は、学生寮に向かっているようです」
「敵?」
「詳しくは省かせていただきますが、腕章に制服をきた人物『対魔公安局』なる組織は『タナトスの右腕』…つまり歪咲様の腕を狙っています。私や式宮さんはあの連中などから、歪咲様を守る為に呼ばれたのです」
目の前で洗脳された生徒と交戦していた虫鹿が叫びながら答える。
「つまり制服みてーなの着てるやつに気をつければいんだな!?」
「そうで……」
飛燕が答えようとした途端、突然横から岩石のようなものが飛来し、飛燕はそれによって吹っ飛ばされる。
「飛燕ッ!」
「大丈夫です!受け身は取りました!」
普通に考えて飛んできた岩石にぶつかって無事で済む訳ないのだが、そこは流石は御三神家の血筋と言ったところだろうか。
飛燕が歪咲の元に戻ろうとするが、行手を生徒たちに囲まれる。その生徒達をかき分け、黒い中華服をきた男が出てきた。
「ヨォ、やっぱ他の護衛がいたのか。悪ぃがここでお前は足止めだ」
そう言いながら黒い中華服の男は歪咲の方を向く。その様子を見て飛燕は察する。この男は強い。
「歪咲様ッッ!!逃げてください!」
「ッッ!!」
飛燕の声に反応した虫鹿が弾かれるように動く。彼女もまた、男の危険性を感じ取ったのだろう。虫鹿は歪咲を担ぐように持ち上げると、俊敏にこの場から離脱する。
「……チッ…追うぞ…」
黒い中華服の男……戯形が操った人外達に命令するが、一向に追おうとする意志を彼らは見せない。それどころか、皆一点を集中して見ている様子だった。
「……あん?」
生徒達の視線の方を向くと、離脱する虫鹿の後ろに、目を怪しく輝かせながらサトリがこちらを向いていた。
「……あの女ァッ………精神操作能力かよっ!!」
戯形はギリッと奥歯を噛む。虫鹿とサトリが見えなくなるまで遠ざかると、生徒達はふと糸が切れたようにその場に倒れた。
「クソがッッ!!」
戯形が手を上に挙げると、倒れた生徒達は人形のように再び立ち上がる。
「あいつらは俺が追うッ!テメェらはこいつの相手をしておけ」
「待てッッ!!」
「待つかよ」
戯形はそのまま歪咲を追いかける。飛燕は人外の生徒達に囲まれ、それを止めることができなかった。
(クッ……しばしお待ちを歪咲様…すぐに追いつきます…)
飛燕は籠手の紐を締め直した。
「はぁ…ようやく着いたな…」
「えぇ、そうですね」
とある学生寮の一室。そのドアの前に毒島と麻斬は辿り着いた。
「よし、行くぞ」
「はい」
毒島はドアを蹴破る。ドタドタと遠慮なく土足で上がる毒島。麻斬は遠慮気味に仏頂面で部屋に入る。
「おい!『右腕』!……って、あぁん?」
毒島は部屋に入ったが、そこにいたのはあの黒い中華服の男からもらった情報の男ではなく、和服を着た10代かそれ以下の少年が一人お茶を飲んでいただけだった。
「んだこいつは……」
「……場所が違うのでは?」
毒島は麻斬に言われ、思考を巡らせる。
(いや……あの男の言葉の真偽を裏つけるために周辺の聞き込みをして、そういう外見の男がいるとは聞いている。場所も割り出した。だから間違っていないはずだが……)
するとここにいる子供が『右腕』の保有者?まさか、そんな馬鹿な話があるか。
「おいお前……」
っと毒島が少年に話かけた途端、毒島は事前に聞かされていた情報を思い出した。
『陰陽院が護衛を………』
………まさか!
「このガキッ!陰陽院の護衛かッッ!」
毒島がそう叫ぶと、麻斬は刀に手をかけ臨戦体制に、和服の少年はため息をつきながら答える。
「なるほど…その制服を見るに、対魔公安局の方ですね。残念ですが、ここにあなた方の求めている物はありませんよ」
「余裕振りやがって。ガキ一人に何ができる」
「……ふむ、確かにこの体になってしまい、力を充分に発揮できませんが…」
和服の少年…式宮はとても珍しく少年のように微笑むと、言葉を紡ぐ。
「あなた方から逃げることはできそうですね」
式宮は和服の袖から和紙のようなものを取り出すと、それが途端に広がり宙に浮く。式宮はそれに乗ると、蹴破られたドアの方へ勢いよく飛んでいった。
「クソッ!あのガキぃ!追うぞマキリ!」
「はい」
毒島と麻斬、少年になった式宮の追いかけっこが始まった。
二人の間には小皿の上に、厳かな湯呑みが2つ置いてあった。
「それでどうですか?最近の歪咲さんの様子は」
鈴のような声が和室に響く。
「えぇ、出会った当初よりはだいぶ変わりましたね。仲間も増え、満更でもなさそうです」
「それは何よりですね」
和室にいたのは、天道と九龍だった。二人は今九龍の自室で歪咲の事について話していた。
「それにしても、中々に良い部屋ですね。趣があって」
「まぁ、このような雰囲気が好きですから」
他愛のない話をした途端に、二人の表情が一瞬曇る。
二人は、何か不穏な気配を感じたのだ。
「九龍さん」
「えぇ、俺はこの感じを知っています。これは…唯我祭の時の……」
二人は早々に動き始める。
「ちぃっっ!!何がなんだというんだ!!」
「毒島さん、背中はお任せください」
「当たり前だ!さっさとやれよ!」
毒島が『右腕』保有者の情報を掴み、保有者の元へ向かおうとしていた矢先、唐突に周辺にいた生徒たちが暴れ始めた。一瞬自分達が対魔公安局の者だとバレたかと考えたが、周りを見ていると、生徒と生徒が争っている場面も見えた。身分がバレたわけではないのだろうが、ここから先は混乱が生じるだろう。
「ハァ~…またかよ。アタシは寮監であって、戦闘員じゃあないんだけどなー」
学生寮の方でも同様のようだった。看守服にガーターベルト、ヒールを履いた『碧眼の人狼』恐刻は、まともな生徒を暴れる生徒から守る為に学生寮間を奔走していた。
「うわぁぁ!や、やめろ!やめろって!」
声の方へ視線を移すと、巨体の生徒が今まさにまともな生徒を潰そうとしているところだった。
(チッ……間に合わない……かッ!)
走って間に合いそうに無いことを察した恐刻は、腰から何かをシュルリと引き抜く。
しなる黒い物体は、うねりながらも音と同等の速さで巨体の生徒の頭をガンッと揺らした。
生徒はぐらりと傾くと、その場に倒れる。
恐刻が腰から抜いたのは、鞭だった。
「お~い大丈夫かお前」
「キョッ恐刻さんッッ!」
「抱きつくなガキ。アタシを抱いていいのは天道先生だけだ。てか抱かれたいぃ~」
恐刻はこんな状況だというのに、妄想をしては顔をとろけさせている。
「は?」
生徒は呆気に取られていたが、次の瞬間には恐刻は生徒に向かって指示を飛ばしていた。
「ともかく!さっさと部屋戻って鍵を閉めろッッ!!いいな!できれば複数人でいろ!」
「は、ハヒィッ!」
叫ぶ恐刻の気迫に押されて、生徒は急いで寮の方へ戻っていった。
「全く、ガキのお守りも楽じゃないわね…」
しゅるんッと鞭をしならせて腰に収める恐刻。そこへ天道が文字通り飛んできた。
「ここも他と同様ですか」
「あらぁ、その言い分だと寮だけの問題じゃないみたいね。どうなってるの?」
「どうにも生徒の一部……いや、ほぼ半数が洗脳的に動かされているようです。厄介なのは、その生徒は他の生徒も狙うところでしょうか。一部の生徒達は持ち前の能力で抵抗できていますが……やはりここが一番大変みたいですね」
「そうねぇ、学生寮にいる子達は戦う力を持たない子が多いから」
「それに加え、相手は正気の生徒も襲う……中々骨が折れる状況です……」
「あら、大天狗様にも難しいかしらね?」
恐刻が軽くいうと、天道はフッと笑いながら赤い鼻の尖ったお面を取り出す。
「骨が折れるだけです。無理とは言ってません」
天道がそのお面を顔につけた途端、突風が発生し衣装が白装束に変わる。その様子を横で見ていた恐刻はペロリと舌を出しながら話す。
「ねぇ、これが終わったら抱いてくれないかしら?」
「ハハッ考えておきますよ」
天道は軽く返すと、空高く飛んだ。
「……あ~あ、また振られちゃったわ」
狼のような髪をガシガシとかきながら、恐刻は別の学生寮へと向かった。
「おいおいおい!どうなってんの!?」
たまたま夕飯の材料を買いに行こうとなったので、歪咲、サトリ、虫鹿、飛燕は外出していたのだが、唐突に多数の生徒が反乱したような状況になっている。
「大将…アタイの後ろに居ろ」
「歪咲さん、私の後ろにいてくださいねー?」
サトリと虫鹿は歪咲を庇うように前に立つ。
「歪咲様、とりあえず学生寮に戻りましょう。どこも変わらない喧騒のようですが、屋外よりはあの部屋にいた方が安全だと思われます。それに、小さくなってしまったとはいえ式宮さんがあそこににます」
飛燕から助言をもらうと、歪咲は頷きながら答える。
「そ、そうだな。とりあえず……」
歪咲が何か言おうとしていた矢先、飛燕は奥に見覚えのある制服を着ている人物を見る。その人物は、どうにも学生寮の方へ向かっているようだった。
(あの制服は……対魔公安局ッ…やはり中にまで侵入していた……しかもあの方向、学生寮の方向?もしや、歪咲様は連中に顔が割れているのか!?だとしたら…)
「申し訳ありません歪咲様、前言を撤回いたします。どうやら歪咲様は敵側に顔が割れている可能性が高いことがわかりました。そしてその敵は、学生寮に向かっているようです」
「敵?」
「詳しくは省かせていただきますが、腕章に制服をきた人物『対魔公安局』なる組織は『タナトスの右腕』…つまり歪咲様の腕を狙っています。私や式宮さんはあの連中などから、歪咲様を守る為に呼ばれたのです」
目の前で洗脳された生徒と交戦していた虫鹿が叫びながら答える。
「つまり制服みてーなの着てるやつに気をつければいんだな!?」
「そうで……」
飛燕が答えようとした途端、突然横から岩石のようなものが飛来し、飛燕はそれによって吹っ飛ばされる。
「飛燕ッ!」
「大丈夫です!受け身は取りました!」
普通に考えて飛んできた岩石にぶつかって無事で済む訳ないのだが、そこは流石は御三神家の血筋と言ったところだろうか。
飛燕が歪咲の元に戻ろうとするが、行手を生徒たちに囲まれる。その生徒達をかき分け、黒い中華服をきた男が出てきた。
「ヨォ、やっぱ他の護衛がいたのか。悪ぃがここでお前は足止めだ」
そう言いながら黒い中華服の男は歪咲の方を向く。その様子を見て飛燕は察する。この男は強い。
「歪咲様ッッ!!逃げてください!」
「ッッ!!」
飛燕の声に反応した虫鹿が弾かれるように動く。彼女もまた、男の危険性を感じ取ったのだろう。虫鹿は歪咲を担ぐように持ち上げると、俊敏にこの場から離脱する。
「……チッ…追うぞ…」
黒い中華服の男……戯形が操った人外達に命令するが、一向に追おうとする意志を彼らは見せない。それどころか、皆一点を集中して見ている様子だった。
「……あん?」
生徒達の視線の方を向くと、離脱する虫鹿の後ろに、目を怪しく輝かせながらサトリがこちらを向いていた。
「……あの女ァッ………精神操作能力かよっ!!」
戯形はギリッと奥歯を噛む。虫鹿とサトリが見えなくなるまで遠ざかると、生徒達はふと糸が切れたようにその場に倒れた。
「クソがッッ!!」
戯形が手を上に挙げると、倒れた生徒達は人形のように再び立ち上がる。
「あいつらは俺が追うッ!テメェらはこいつの相手をしておけ」
「待てッッ!!」
「待つかよ」
戯形はそのまま歪咲を追いかける。飛燕は人外の生徒達に囲まれ、それを止めることができなかった。
(クッ……しばしお待ちを歪咲様…すぐに追いつきます…)
飛燕は籠手の紐を締め直した。
「はぁ…ようやく着いたな…」
「えぇ、そうですね」
とある学生寮の一室。そのドアの前に毒島と麻斬は辿り着いた。
「よし、行くぞ」
「はい」
毒島はドアを蹴破る。ドタドタと遠慮なく土足で上がる毒島。麻斬は遠慮気味に仏頂面で部屋に入る。
「おい!『右腕』!……って、あぁん?」
毒島は部屋に入ったが、そこにいたのはあの黒い中華服の男からもらった情報の男ではなく、和服を着た10代かそれ以下の少年が一人お茶を飲んでいただけだった。
「んだこいつは……」
「……場所が違うのでは?」
毒島は麻斬に言われ、思考を巡らせる。
(いや……あの男の言葉の真偽を裏つけるために周辺の聞き込みをして、そういう外見の男がいるとは聞いている。場所も割り出した。だから間違っていないはずだが……)
するとここにいる子供が『右腕』の保有者?まさか、そんな馬鹿な話があるか。
「おいお前……」
っと毒島が少年に話かけた途端、毒島は事前に聞かされていた情報を思い出した。
『陰陽院が護衛を………』
………まさか!
「このガキッ!陰陽院の護衛かッッ!」
毒島がそう叫ぶと、麻斬は刀に手をかけ臨戦体制に、和服の少年はため息をつきながら答える。
「なるほど…その制服を見るに、対魔公安局の方ですね。残念ですが、ここにあなた方の求めている物はありませんよ」
「余裕振りやがって。ガキ一人に何ができる」
「……ふむ、確かにこの体になってしまい、力を充分に発揮できませんが…」
和服の少年…式宮はとても珍しく少年のように微笑むと、言葉を紡ぐ。
「あなた方から逃げることはできそうですね」
式宮は和服の袖から和紙のようなものを取り出すと、それが途端に広がり宙に浮く。式宮はそれに乗ると、蹴破られたドアの方へ勢いよく飛んでいった。
「クソッ!あのガキぃ!追うぞマキリ!」
「はい」
毒島と麻斬、少年になった式宮の追いかけっこが始まった。
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https://ashikamosei.booth.pm/items/6426280
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