人外の多いコンビニ

幽零

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別店舗編

シロ、クロ、ハイ。

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前回のあらすじ、敷ノ間くんは困っていた。以上!!



……どうしよう…『座れば?』って言われたから座ってるけど、もうずっと沈黙が続いてる……

先ほどから感情が薄く、ただただ淡々としている灰狐ちゃんになすすべなく、敷ノ間は隣に座っている。

(え……どうするのこれ…どうすればいいの?)

おろおろしている敷ノ間をよそに、灰狐はただ黙々と持っている分厚い本を読み続けている。

(狐白ちゃんがなんの人外かを知るために来たけど……なんでこんな事に……)

とりあえず灰狐の機嫌を悪くしないようにただただ大人しくしている敷ノ間くん。

「……飽きた……寝る……」

「……え…?」

本を読んでいたはずの灰狐は、しおりも挟まず本をそのまま閉じ、ベットに横になる。そして敷ノ間に向けて言い放つ。

「………まだいるの?」

それは『寝るから出てって』とも『寝るのにまだいるの?』とも取れる言い方だった。

「あ、えっとぉ……」

「………出てくならその時ロウソク消してって……」

「え、あ!うん!」

ボソリと一言呟くとそのまま灰狐は寝てしまった。

「………はぁ~~~~………」

敷ノ間はものすごいため息をついた後、言われた通りロウソクの火を消して仮眠室をあとにした。


「あ、敷ノ間さん……えっと、どうでした?」

控室に戻ると、狐白ちゃんが心配そうに声をかけてくれた。

「あ~、いやなんというか……圧が凄い…っていうのかな?」

敷ノ間は苦笑いしながら答える。

「あ、それで、彼女と狐白ちゃんにどんな関係が?」

そもそも敷ノ間は狐白がなんの人外かを知るために彼女に会いに行ったのだ。

「おやぁ、きみならとっくに気がつくかと思ったよ」

まったりしている行部さんがさも以外そうに言う。

「あの、私とクロとあの子……同じ顔と容姿じゃありませんでしたか?」

「え……あ!確かに!!え、三つ子?」

「ワハハ、ちょいと違うかな。狐白ちゃん、元の姿になってみて」

「はい!」

狐白は行部に言われると、その場でクルンっと一回転する。すると、なんと狐白ちゃんにケモミミと3本の尻尾が!!

「わ、わ!き、狐?」

「う~ん、ちょっと違うんですよね」

狐白は腕を組んでう~んと唸る。

「狐白、狐黒、そして灰孤。彼女たちは『九尾の狐』が三つに分離した、いわば分身なんだよ」

この店の従業員の狐白、狐黒、灰狐は『九尾の狐の分身』だった。

「まぁ、そういう感じですね」

「え、元は一つの人外だったって事?」

「そうなりますね。私たちは『九尾の狐』だった頃の記憶は『どこかの誰かの記憶』をみていたような感じで残ってます」

「元の彼女…『九尾の狐』はね、私の古い友人だったんだが、ある時瀕死の重症を負ってね、自らを新たな個体として分ける事によって生きながらえたんだよ」

行部さんは古い友人を思い出しているのか、若干涙目になっていた。

「私は『良心』を濃く受け継いでいるみたいで、クロは『悪心』が濃いみたいです……あ!でも根はいい子ですから!」

「なんとなくわかってるよ」

敷ノ間は狐黒をフォローする狐白に微笑みながら答える。

「あと、ハイちゃんは『無心』を受け継いでるみたいです」

「『無心』……?」

「まぁ、平たくいえば『感情をあんまり揺さぶられない」って事だね」

行部さんが答える。

「なるほど……だからあんな感じなんですね……」

敷ノ間は苦笑いで話す。

っとそんな時。



「なんでだよー!!!」



レジの方から狐黒が叫んでいるのが聞こえてきた。

「あれ?クロが叫んでる?珍しい……」

「え~っと今レジにいるのは狐黒ちゃんと………?」

「鏡間さんですね」




敷ノ間くんが灰孤ちゃんに苦戦していた時、レジでは何が起こっていたのか?次回もお客様のご来店をお待ちしています。













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