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自己紹介編
いらっしゃいませ、人外コンビニです
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どこにでもあるような平凡なコンビニ。大手チェーンみたいな。強いていえば、駐車場がやたら広いところぐらいだろうか?まぁ、田舎のコンビニ何てどこもそんなもんだし、そこまで気にする必要もないと思う。
……しかしこのコンビニ、他とは少し変わっており、ここの店舗だけ、深夜帯のみの営業になっている。午前2時辺りから始めて、大体午前7時頃には閉まる。
「あら、こんばんは。御血くん」
「あ、こんばんは雪さん」
雪のような透き通った肌で、(何故か)淡い水色の和服を着たしなやかな女性が彼に声をかける。声をかけられた御血という男は、大学生ぐらいで、全天候対応の、足元まで丈のある深緑のレインコートを着ていた。特に服装について何も言われない店舗なので、皆それぞれ好きな格好をしている。
彼らのほかに、店長含めてあと三人の従業員がいる。
「他の人はもう少しで来ますかね?」
「あら?電子ちゃんはいないのかしら?」
「あ~……まぁ、瞬でくると思いますよ」
「そうねぇ…電子ちゃんの事だからね~」
従業員専用の扉を開ける。奥にはレジにつながる扉と、仮眠室(二段ベットがあるだけの部屋)へ通じる扉と、ロッカールームにつながる扉がある。この部屋には長机が一つと、椅子が5、6個。そして、店長が仕事をするためのパソコンと机がある。
「店長、こんばんは~」
「おや、御血くん。こんばんは」
店長はいつもゆったりした口調で話す。顔は若いが仕草が厳かで、年齢を推定するのが難しい……
「あれ、電子さんは?」
「あ~…寝坊ですかね?電話かけましょうか?」
「まぁ、彼女の事だからまだ大丈夫だよ。まだ出勤時間まで15分あるからねぇ」
店長はゆったりと話し終わると、再びパソコンと向かい合って作業に戻る。
「さてぇ…もう少しで時間かぁ……」
待機室でぼんやりしていると、いきなり目の前がぼやける。すると徐々にそのぼやけた物が、ピントがだんだんあっていくような感覚で人の形になっていく。
「いやはや、人助けをしていたらこんな時間になってしまった」
いきなり目の前にでてきた男はにこやかに笑う。若いが、髪の毛は白髪。顔は常に「にこり」と「ヘラヘラ」の中間ぐらいの笑顔になっている。見ていて嫌な気分にはならない笑顔だ。表現するなら「にへらぁ」っとでも表現するべきか。
「あぁ、こんばんは鏡間さん」
「うん、こんばんは御血くん」
それだけいうと、鏡間さんは再びぼやぁっと消えた。
「あ、もう1分前か。そろそろアイツ呼ばんと」
携帯電話を取り出しコールする。二、三回のコール音のあと、気の抜ける女子の声が聞こえた。
「あれぇん?ミチさんじゃないですかぁ~?めずらしいですねぇ~?どうしたんですかぁ~」
間延びした女子高生のような声が緩やかに聞こえる。
「あと、1分で出勤時刻だぞ。まだ家にいるのか?速くこい」
「ふぁ~……そんなにせかさなくても~……」
と、言葉が切れた時に、店の目の前に雷が落ちた。驚くのは雷が落ちた事ではなく、落ちた場所に女子高生が立っていた事だ。
「すぐ来れますよぉ~?」
ガチャっと従業員用の扉が開くと、そこにスマホを片手に、あくびをしている女子高生がいた。
「あら電子ちゃん。こんばんは~」
「あ~ユキさん~こんばんはです~」
電子と呼ばれた女子高生は、寝起きなのか半開きの目を擦っていた。そして、彼女の体にまとわりつくように、雷が小さくスパークしていた。
「お、みんな揃ったかな?」
店長が全員に対して話かける。
「え~っとね、とりあえず昨日の反省からしようか」
店長は何枚かの報告書のような物を片手に、一人一人に話しかけていく。
「えっとね~、まず雪さん。アイス類を吐息で冷やさないように。凍っちゃうから」
「あら、それはごめんなさい…私が冷やした方が早いようなきがして……」
「うん、ちゃんと規定の位置に出してね。じゃあ次、電子さん」
店長はぺらっと一枚紙をめくる。
「え~っと、放電してお客様の機械機器を壊さないように」
「いやぁ~かってにアッチがこわれちゃって~こまりますよぉ~…さいきんのマシンはコンジョーないですねぇ~」
「いや、根性とかの問題じゃないからね~。はい次、鏡間さん」
店長はまた紙を一枚ぺらりとめくる。
「え~、お客様の心臓に悪いので店内でなるべく増えない事」
「あぁ、すいません。自分が増えた方が作業効率も上がると思って……」
「うん、ここはサーカスじゃないからね?なるべくやめてね?助かるけど。はい最後、御血さん」
「はい」
「え~……酔っ払ったクレーマーの方を半殺しにしない。酔ってたからいいものの、お客様の首折ろうとするのはやめようね?」
「あぁ、すいません……あ、吸血して眷属にするのは?」
「うんもっとだめ」
店長は紙をしまうと、最後に従業員全員に話しかける。
「はい、では今日も昨日の反省を生かして仕事に臨むように。以上」
深夜帯しか営業しないコンビニ。今日も賑やかなメンツとともに、お客様のご来店をお持ちしております。
……しかしこのコンビニ、他とは少し変わっており、ここの店舗だけ、深夜帯のみの営業になっている。午前2時辺りから始めて、大体午前7時頃には閉まる。
「あら、こんばんは。御血くん」
「あ、こんばんは雪さん」
雪のような透き通った肌で、(何故か)淡い水色の和服を着たしなやかな女性が彼に声をかける。声をかけられた御血という男は、大学生ぐらいで、全天候対応の、足元まで丈のある深緑のレインコートを着ていた。特に服装について何も言われない店舗なので、皆それぞれ好きな格好をしている。
彼らのほかに、店長含めてあと三人の従業員がいる。
「他の人はもう少しで来ますかね?」
「あら?電子ちゃんはいないのかしら?」
「あ~……まぁ、瞬でくると思いますよ」
「そうねぇ…電子ちゃんの事だからね~」
従業員専用の扉を開ける。奥にはレジにつながる扉と、仮眠室(二段ベットがあるだけの部屋)へ通じる扉と、ロッカールームにつながる扉がある。この部屋には長机が一つと、椅子が5、6個。そして、店長が仕事をするためのパソコンと机がある。
「店長、こんばんは~」
「おや、御血くん。こんばんは」
店長はいつもゆったりした口調で話す。顔は若いが仕草が厳かで、年齢を推定するのが難しい……
「あれ、電子さんは?」
「あ~…寝坊ですかね?電話かけましょうか?」
「まぁ、彼女の事だからまだ大丈夫だよ。まだ出勤時間まで15分あるからねぇ」
店長はゆったりと話し終わると、再びパソコンと向かい合って作業に戻る。
「さてぇ…もう少しで時間かぁ……」
待機室でぼんやりしていると、いきなり目の前がぼやける。すると徐々にそのぼやけた物が、ピントがだんだんあっていくような感覚で人の形になっていく。
「いやはや、人助けをしていたらこんな時間になってしまった」
いきなり目の前にでてきた男はにこやかに笑う。若いが、髪の毛は白髪。顔は常に「にこり」と「ヘラヘラ」の中間ぐらいの笑顔になっている。見ていて嫌な気分にはならない笑顔だ。表現するなら「にへらぁ」っとでも表現するべきか。
「あぁ、こんばんは鏡間さん」
「うん、こんばんは御血くん」
それだけいうと、鏡間さんは再びぼやぁっと消えた。
「あ、もう1分前か。そろそろアイツ呼ばんと」
携帯電話を取り出しコールする。二、三回のコール音のあと、気の抜ける女子の声が聞こえた。
「あれぇん?ミチさんじゃないですかぁ~?めずらしいですねぇ~?どうしたんですかぁ~」
間延びした女子高生のような声が緩やかに聞こえる。
「あと、1分で出勤時刻だぞ。まだ家にいるのか?速くこい」
「ふぁ~……そんなにせかさなくても~……」
と、言葉が切れた時に、店の目の前に雷が落ちた。驚くのは雷が落ちた事ではなく、落ちた場所に女子高生が立っていた事だ。
「すぐ来れますよぉ~?」
ガチャっと従業員用の扉が開くと、そこにスマホを片手に、あくびをしている女子高生がいた。
「あら電子ちゃん。こんばんは~」
「あ~ユキさん~こんばんはです~」
電子と呼ばれた女子高生は、寝起きなのか半開きの目を擦っていた。そして、彼女の体にまとわりつくように、雷が小さくスパークしていた。
「お、みんな揃ったかな?」
店長が全員に対して話かける。
「え~っとね、とりあえず昨日の反省からしようか」
店長は何枚かの報告書のような物を片手に、一人一人に話しかけていく。
「えっとね~、まず雪さん。アイス類を吐息で冷やさないように。凍っちゃうから」
「あら、それはごめんなさい…私が冷やした方が早いようなきがして……」
「うん、ちゃんと規定の位置に出してね。じゃあ次、電子さん」
店長はぺらっと一枚紙をめくる。
「え~っと、放電してお客様の機械機器を壊さないように」
「いやぁ~かってにアッチがこわれちゃって~こまりますよぉ~…さいきんのマシンはコンジョーないですねぇ~」
「いや、根性とかの問題じゃないからね~。はい次、鏡間さん」
店長はまた紙を一枚ぺらりとめくる。
「え~、お客様の心臓に悪いので店内でなるべく増えない事」
「あぁ、すいません。自分が増えた方が作業効率も上がると思って……」
「うん、ここはサーカスじゃないからね?なるべくやめてね?助かるけど。はい最後、御血さん」
「はい」
「え~……酔っ払ったクレーマーの方を半殺しにしない。酔ってたからいいものの、お客様の首折ろうとするのはやめようね?」
「あぁ、すいません……あ、吸血して眷属にするのは?」
「うんもっとだめ」
店長は紙をしまうと、最後に従業員全員に話しかける。
「はい、では今日も昨日の反省を生かして仕事に臨むように。以上」
深夜帯しか営業しないコンビニ。今日も賑やかなメンツとともに、お客様のご来店をお持ちしております。
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