アンダーグラウンドゲーム

幽零

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二章「シーカーゲーム」

ミツルギ団

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ある男に見捨てられた少年と少女は白く輝く軍服の男、紫月御剣に連れられ、一つの部屋に匿われた。

その部屋は、一つの大部屋から、アリの巣のように左右上下に小さい部屋が続いている、まさに秘密基地のような部屋だった。


扉を開けると、女性や自分達と同じ小さい子が割といた。みんなどこか安心したような顔をしている。

すると、部屋の隅にある机に座っていた、全身真っ黒な服装をきた女性が紫月に話しかける。

女性は黒いハットにジャンパー、赤いインナーは鬱陶しいのか、ヘソの上で結んであり、腹部が丸出しになっている。そしてチェーンのついた黒いジーパンをつけていた。髪の毛は金髪というより黄色に近く、片方は団子のように結んであるが、その横から尻尾のように長い髪が垂れていた。


「おい、ミツルギダンチョ、ま~たガキ連れてきたのかよ」

「……ここは危ない。だからこそ、私のような人がこの子たちを守るべきだ。そうでしょう?エトラさん」

「チッ……『イエロー』って呼べよ、その名前は嫌いなんだ」

エトラと呼ばれた女性はハットを深く被りながら、乱暴な口調で話す。

「全くよー、そんだけツエェのによ~、なぁ~んで人助けに使うかねぇ~」

紫月は軍服を翻しながら答える。

「君の生い立ちは不幸だ。だけど、それは他人を見捨てる理由にはならないよ。エトラさん」

紫月は少年と少女を連れて奥の部屋に入っていった。


部屋に残ったエトラは机から降りると、スタスタと扉の方へ歩いていく。

「あ、イエローちゃんどこいくの?」

部屋にいる少女に話しかけられる。

「……別に散歩だよ、ガキは寝てな」

「わかった!ミツルギだんちょ~に伝えとくね!」


……自分が乱暴なことを言っているのは自覚している。なのに、なんでガキ共が自分から離れないのかが分からない。


「……Sitクソッタレ………」


エトラはボソリと呟くと、扉を開けて迷宮に入った。





少年と少女が連れられた部屋は最低限のものが揃った、小部屋のようだった。

「ここが君たちの部屋だ。そこまで広くないけどね」

「あ、いえ…大丈夫です」

「……」


紫月は屈んで少年と視線の高さを合わせると、話す。


「さて、そろそろ君の名前を聞いてもいいかな」

「あ…っと……赤多良アカダラです」

「……無都ムト……です……」

「そうか、ありがとう。今日から君たちはここに居ていい。私ができる限りの配慮をしよう」

紫月は真顔だったが、その声はどこか安心させるような声色だった。

「あぁ、すまないね。私は表情を変えるのが苦手なんだ。無表情でも怒っている訳ではないから安心して」

紫月は立ち上がると、元の部屋へと戻っていった。



「……つ、疲れたし一旦休もうか…?」

「……うん」


しかし、ここで赤多良ベッドが一つしかないことに気がついた……


「あ…えっと!ぼ、僕は床で寝るから!!」

っと、無都から離れようとすると、無都は赤多良の腕を掴んだ。

「……無都…さん……?」

「一緒でも……いいよ…?」


思春期の男子が女子にこう言われて断れるだろうか?否、そんなわけは無い。




大部屋に戻った紫月は、そこにいた少年少女に囲まれる。


「あ、ダンチョ!みてみてダンチョの絵描いたの~!」

「ミツルギー!遊べー!」

「団長~~、見回り連れっててくれよ~」


ここにいる子たちは皆彼が助けてここに連れてきた子たちだ。彼らにとって紫月はヒーローだった。

そんな子供たちは、自らは『ミツルギ団』と名乗り、勝手に紫月を団長としていた。

彼は子供が楽しそうなので、そう呼ばせている。


紫月が子供たちの相手を全員あやし、解散し始めた頃、部屋の上の方から声が聞こえる。


「相変わらず大人気ね~?ミツルギ団長~?」

紫月は、少し上からぶら下がったハンモックに寝そべっている男に話しかけられた。


男はニット帽を目元ギリギリまで深く被り、灰色の服に、ダボダボのズボンを履いていた。

男はニヤ~っと笑っている。


「君も一応副団長なんですよ?蓮見ハスミ君」


蓮見と呼ばれた青年は名前を呼ばれると、また白い歯を見せながらニヤ~っと笑う。

「……ところで、エトラさんの姿が見えないのですが?」

「あぁ、イエローちゃんはさっき不機嫌になりながら出てったよ~、あれ?団長聞いてない?」

「私は聞いてませんが?」

「あ、じゃああの子ボクに話すだけ話して忘れちゃったんだネ」


蓮見はまたニヤニヤとする。でも彼の笑い方は不快になるような感じではない。本当に愉快そうに笑うのだ。


「ふぁ~あ、ボクも眠くなったから寝るネ。何かあったら起こしてね~団長」

「わかりました。ゆっくり休むといいですよ」

「ふぁ~い……あー、どっかにボクに似てる面白そーなヤツいないもんかネ?」

蓮見はニット帽を深く被ると、そのまま眠りについた。





「ハックショーイ!!」

「おや?風邪であるか?殺人鬼殿」

「ん~、どうかなぁ~?黄島さんそこまで病弱じゃ無いんだけどね~」

「馬鹿は風邪ひかないわよ」

「辛辣ね~土田さん~」



彼らはいつも通りだった。






「……ダンチョもお人好しだぜまったく」

彼らの前からは、真っ黒な服をきた女性が歩いて来ていた。






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