旅蛙
──僕の名前はリョーウィッヒ・ジャン・テンプレム
蛙はそう名乗った。
深夜庭から聞こえてきた笛の音の主を探しに清太が庭へ行くと、そこには大層な名前を持つ蛙が一匹いた。蛙は一晩の宿のお礼にと幾つかの旅の話を清太に聞かせ始めた。旅する蛙と小さな田舎町から出たことのない少年のたった一夜の物語。
蛙はそう名乗った。
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