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二学期編 8月
模試返却の日にて 2
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次の休み時間、彩と菜々美は隣のクラスへやって来た。
「静かすぎるだろ」
いつもならそこそこうるさいクラスだが、その面影は一切無い。
みんな模試の結果にショックを受けているのだろうか? そういった生徒もいるだろうが、この学校の生徒で、そのような生徒は極一部の人間だけだ。
「あっ……菜々美ちゃん……」
菜々美が入って来たことに気づいたここねが、今にも泣き出しそうな顔でやって来る。
「ここね⁉ どうしたの⁉」
やって来たここねを抱きしめて聞く。いつもなら、こんな衆人環境下で抱きしめると爆発してしまうのだが、今は爆発する余裕なんて無い。
菜々美の問い掛けに、ここねは自分の席を向く。正確には、その隣の涼香の席をだ。
釣られて涼香を見た菜々美と彩。その視線に気づいた涼香がこちらを向く。
「あら、綾瀬彩ではないの」
こんな声も出すことができるのかと落ち着いた声音。
「気持ち悪」
いつもとなにか違う、纏っている空気というのだろうか。それに思わず本音を漏らしてしまう彩である。
涼香はそんな言葉を気にする素振りも見せず、艷めく黒髪を払う。
「珍しいではいないの。あなたが来るなんて」
涼香の言葉を聞かず、彩はズカズカと涼香の下へ歩く。
すると、菜々美と彩が入ってきた後ろのドアとは反対の、教室前のドアが開いた。
「うわヤバ、マジでお通夜じゃんウケるんだけど」
金髪に片耳ピアス、特に目元がうるさいメイクをしている生徒――大河凜空だ。派手すぎるその見た目は普段なら周りの注目を集めるのだが、みんな見慣れているため、特にこの状況下では誰もリアクションを取らない。
「お前も来たのかよクソギャル」
――彩以外は。
「あたしだって順位下がってんのー。それに、あんたもここにいるってことはそういうことなんでしょ? まあ、あたしの方が順位は上だと思うけど」
「あーしあーしうるさい。口元の強度上げろよ」
「うるさいのはその口だ今すぐその顎を握り潰して黙らせてやる許さない許さない許さない――」
彩が凜空に返した直後、まるで地獄から這い上がってきたような声が彩の耳元で聞こえる。
そして声の主の手が彩の顎に触れようとした。
「あたしから仕掛けたからねー」
凜空の声にその手が止まる。
「暑苦しい離れろ」
「ほれ真奈、戻ってこーい」
津村真奈――肩にかからない程の黒髪アシンメトリーに片耳にピアスの生徒。凜空とは違い、目元が黒いのはクマだ。
呼ぼれた真奈はいつも通り憎しみを宿した目で彩を一瞥して、消えるようにして凜空の隣に戻る。
「まあ言い合いはここまでにして、あたしらの順位が下がった理由は涼香らしいよ」
「それマジで言ってんの?」
「凜空の言ったこ――」
「はいストップー」
呪い殺す勢いで憎悪の視線を彩に向ける真奈を止め、凛空は本題に入る。
「静かすぎるだろ」
いつもならそこそこうるさいクラスだが、その面影は一切無い。
みんな模試の結果にショックを受けているのだろうか? そういった生徒もいるだろうが、この学校の生徒で、そのような生徒は極一部の人間だけだ。
「あっ……菜々美ちゃん……」
菜々美が入って来たことに気づいたここねが、今にも泣き出しそうな顔でやって来る。
「ここね⁉ どうしたの⁉」
やって来たここねを抱きしめて聞く。いつもなら、こんな衆人環境下で抱きしめると爆発してしまうのだが、今は爆発する余裕なんて無い。
菜々美の問い掛けに、ここねは自分の席を向く。正確には、その隣の涼香の席をだ。
釣られて涼香を見た菜々美と彩。その視線に気づいた涼香がこちらを向く。
「あら、綾瀬彩ではないの」
こんな声も出すことができるのかと落ち着いた声音。
「気持ち悪」
いつもとなにか違う、纏っている空気というのだろうか。それに思わず本音を漏らしてしまう彩である。
涼香はそんな言葉を気にする素振りも見せず、艷めく黒髪を払う。
「珍しいではいないの。あなたが来るなんて」
涼香の言葉を聞かず、彩はズカズカと涼香の下へ歩く。
すると、菜々美と彩が入ってきた後ろのドアとは反対の、教室前のドアが開いた。
「うわヤバ、マジでお通夜じゃんウケるんだけど」
金髪に片耳ピアス、特に目元がうるさいメイクをしている生徒――大河凜空だ。派手すぎるその見た目は普段なら周りの注目を集めるのだが、みんな見慣れているため、特にこの状況下では誰もリアクションを取らない。
「お前も来たのかよクソギャル」
――彩以外は。
「あたしだって順位下がってんのー。それに、あんたもここにいるってことはそういうことなんでしょ? まあ、あたしの方が順位は上だと思うけど」
「あーしあーしうるさい。口元の強度上げろよ」
「うるさいのはその口だ今すぐその顎を握り潰して黙らせてやる許さない許さない許さない――」
彩が凜空に返した直後、まるで地獄から這い上がってきたような声が彩の耳元で聞こえる。
そして声の主の手が彩の顎に触れようとした。
「あたしから仕掛けたからねー」
凜空の声にその手が止まる。
「暑苦しい離れろ」
「ほれ真奈、戻ってこーい」
津村真奈――肩にかからない程の黒髪アシンメトリーに片耳にピアスの生徒。凜空とは違い、目元が黒いのはクマだ。
呼ぼれた真奈はいつも通り憎しみを宿した目で彩を一瞥して、消えるようにして凜空の隣に戻る。
「まあ言い合いはここまでにして、あたしらの順位が下がった理由は涼香らしいよ」
「それマジで言ってんの?」
「凜空の言ったこ――」
「はいストップー」
呪い殺す勢いで憎悪の視線を彩に向ける真奈を止め、凛空は本題に入る。
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