百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常

真夏のお小遣い探し編

水原家にて ２７

　涼香りょうかがソファに沈みこんでいると、不意にスマホが鳴った。

　一体誰だと確認すると、母からメッセージが来ていた。今は昼休みなのだろう。

『お小遣いを隠したわ』
「涼音すずね！　ボーナスタイムよ！」

　その言葉だけで涼音にも通じたのだろう、隣で沈んでいた涼音が瞬時に立ち上がる。

「探しましょう‼」

　涼香の手を引き立ち上がらせる。すると追加でメッセージが来た。

『封筒に入っているわ』
『ちょちょいのちょいよ‼』

　それだけ返信して、スマホをポケットに入れる。

「涼音、封筒よ！」
「いつものやつですね！」

　涼香の母がお小遣いを渡す時は、封筒に隠して、それを二人が見つけるということをよくやるのだ。今回もそれと同じ、封筒には大きな文字で『お小遣い』の文字が書いてあるため、間違えることは無い。

　突如始まったお小遣い探し、今回はいくら入っているのか、二人はこの夏一の機敏さで、家の中を探し回るのだった。