上 下
274 / 387
涼香のお料理編 in夏休み

夏休みにて 17

しおりを挟む
 夏休みの昼のこと。

 そろそろご飯食べたいなあ、と思っていた涼音すずねに、涼香りょうかが宣言する。

「今日は私がご飯を作るわ!」
「怪我しますよ?」

 水原家の食器は涼香がドジしても大丈夫なようにプラスチック製の物ばかりだが、包丁など調理器具はそうでない。

「私に失礼ではないの? 包丁を使う時はにゃんにゃんの手というのは分かっているわ」

 いくら涼香でも、今更包丁で料理下手ヒロインみたく絆創膏まみれにはならないだろう。

「いやまあ……はいそうですか。で、なにを?」
「クリームシチューよ!」
「真夏‼」
「ルウを使えば一瞬よ! それに、あつりょくなべという物を使ってみたいのよ」
「えぇ……」

 まあそれなら大丈夫だろうか、と涼音は考える。

「いつも涼音に作ってもらってばっかりだから。たまにはお返ししたいのよ」
「そういうことなら……。あたしも手伝いますね」

 仕方なく了承する涼音であったが――。

「涼音の手は借りないわ!」

 しかし待ったと手を突き出す涼香である。

 これは涼音に対する日頃の感謝だ、手伝って貰うと感謝にならない。

「涼音は見守ってくれるだけでいいのよ」

 綺麗なウインクを決める涼香であった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

タイは若いうちに行け

フロイライン
BL
修学旅行でタイを訪れた高校生の酒井翔太は、信じられないような災難に巻き込まれ、絶望の淵に叩き落とされる…

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る

マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。 思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。 だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。 「ああ、抱きたい・・・」

ニューハーフな生活

フロイライン
恋愛
東京で浪人生活を送るユキこと西村幸洋は、ニューハーフの店でアルバイトを始めるが

処理中です...