214 / 493
夏休み編 7月
水原家にて 3
しおりを挟む
「ねえ涼音。いくらなんでも……これは無しだと思うわ」
「カップ麺に失礼じゃないですか?」
涼香がシャワーを浴びている最中、涼音はカップ麺用のお湯を沸かしていた。
そして、涼香がシャワーを浴び終わった時を見計らいカップ麺にお湯を注いだ涼音。もちろん涼香はシーフードラーメンだ。
お湯を入れて三分経つかぐらいに、折よく涼香がリビングへとやって来て、テーブルの上に置かれたカップ麺を見て言ったのだった。
「別にカップ麺が嫌いではないのよ。でもね、私は涼音の手料理を食べたかったのよ。それを楽しみに暑さに負けずに帰ってきたというのに!」
「えぇ……」
ダンっとテーブルを叩く涼香。あまりの迫力に涼音は申し訳ない気持ちが芽吹いてくる。
「先輩……?」
「なによ」
恐る恐る涼音が声をかけると、鼻を鳴らした涼香が返事をする。
「三分、経ちましたよ?」
「ふんっ」
しかしそっぽを向く涼香。
「えぇ……」
涼音はどうしたものかと、冷蔵庫の中を確認する。
調味料類は割と充実していたが、料理の材料になりそうな食材は殆ど無かった。
「すみません先輩……なにも作れそうにないです」
「あーんして!」
「伸びますよ」
「はーやーくー!」
「えぇ……」
渋々といった様子で、涼音は涼香の向かい側に座り、自分の分のカップ麺を食べ始める。ちなみに涼音はきつねうどんだった。
「意地悪!」
まさかそんなことをされるとは思ってもいなかった涼香。涙と共に、ラーメンを飲み込むのだった。
「カップ麺に失礼じゃないですか?」
涼香がシャワーを浴びている最中、涼音はカップ麺用のお湯を沸かしていた。
そして、涼香がシャワーを浴び終わった時を見計らいカップ麺にお湯を注いだ涼音。もちろん涼香はシーフードラーメンだ。
お湯を入れて三分経つかぐらいに、折よく涼香がリビングへとやって来て、テーブルの上に置かれたカップ麺を見て言ったのだった。
「別にカップ麺が嫌いではないのよ。でもね、私は涼音の手料理を食べたかったのよ。それを楽しみに暑さに負けずに帰ってきたというのに!」
「えぇ……」
ダンっとテーブルを叩く涼香。あまりの迫力に涼音は申し訳ない気持ちが芽吹いてくる。
「先輩……?」
「なによ」
恐る恐る涼音が声をかけると、鼻を鳴らした涼香が返事をする。
「三分、経ちましたよ?」
「ふんっ」
しかしそっぽを向く涼香。
「えぇ……」
涼音はどうしたものかと、冷蔵庫の中を確認する。
調味料類は割と充実していたが、料理の材料になりそうな食材は殆ど無かった。
「すみません先輩……なにも作れそうにないです」
「あーんして!」
「伸びますよ」
「はーやーくー!」
「えぇ……」
渋々といった様子で、涼音は涼香の向かい側に座り、自分の分のカップ麺を食べ始める。ちなみに涼音はきつねうどんだった。
「意地悪!」
まさかそんなことをされるとは思ってもいなかった涼香。涙と共に、ラーメンを飲み込むのだった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
庭木を切った隣人が刑事訴訟を恐れて小学生の娘を謝罪に来させたアホな実話
フルーツパフェ
大衆娯楽
祝!! 慰謝料30万円獲得記念の知人の体験談!
隣人宅の植木を許可なく切ることは紛れもない犯罪です。
30万円以下の罰金・過料、もしくは3年以下の懲役に処される可能性があります。
そうとは知らずに短気を起こして家の庭木を切った隣人(40代職業不詳・男)。
刑事訴訟になることを恐れた彼が取った行動は、まだ小学生の娘達を謝りに行かせることだった!?
子供ならば許してくれるとでも思ったのか。
「ごめんなさい、お尻ぺんぺんで許してくれますか?」
大人達の事情も知らず、健気に罪滅ぼしをしようとする少女を、あなたは許せるだろうか。
余りに情けない親子の末路を描く実話。
※一部、演出を含んでいます。
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる