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7月15日 涼音の誕生日編
涼音のバースデーサプライズ☆にて 2.5
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「ケーキ争奪じゃんけんを始めようと思うわ!」
涼香はバンっと教卓を叩いて、高らかに宣言する。
ケーキ争奪じゃんけん――ここねが作ってくれた涼音のケーキの残り四切れを争奪するじゃんけんのことだ。
涼音は全て食べる気でいたのだが、全て食べてしまうと、夕食が入らないし、夕食後のケーキも食べられなくなる。
もちろんここねに許可をとって争奪じゃんけんを始めたのだが、やはり少し申し訳ない気持ちになってしまう。
「ここねのケーキは私のものよ!」
「いいえ、これは涼音のケーキよ。つまり私のケーキと言っても過言ではないわ!」
「「「「「「過言だよ……」」」」」」
一番やる気の菜々美と、訳の分からぬことを言っている涼香が睨み合い火花を散らす。
「私達のことを忘れないでもらおうかっ!」
若菜がなんかそれっぽいことを言いながら、睨み合う両者の間に割って入る。
「……なにを見せられてるんですか?」
「みんな楽しそうだね」
ジト目を向ける涼音に対してここねは楽しそうに答える。
それから結構わちゃわちゃそれっぽいことを言い合って、争奪じゃんけんが始まる。
まずは人数を減らすため、涼音が前に出てじゃんけんをする。
「それでは行きますよー。じゃーんけーんぽん」
涼音はグーを出していた。
「す、涼音……⁉」
「あっ……あぁぁぁぁぁ!」
ガクりと膝を折る涼香と吹き飛ばされる菜々美。
「えぇ……」
二人は負けたのであった。
二人以外にも、かなりの人数が今のじゃんけんで負けてしまった。ちなみに若菜とここねは残っていた。
これからは残りの人でじゃんけんをして、四人に絞ってもらう。
そして――。
「わあ! やったよ菜々美ちゃん! わたし勝ったよ!」
「所詮私もその程度だったってことか……」
最後の四人に残ったここねが喜び、惜しくも敗れてしまった若菜がそれっぽいことを言う。
なにはともあれ、無事に決まってくれてなによりだった。
勝ち残った四人はそれぞれ紙皿に残りのケーキを取って、各々美味しそうに食べ始める。
「はい、菜々美ちゃん。あーん」
「こ、ここね⁉」
力尽きていた菜々美の前に、ケーキが差し出される。
「いいの? 私、負けたのよ?」
「うん! でも、やっぱり菜々美ちゃんにも食べて欲しいから」
「ここね……うっ……うぅ……」
感涙に咽び泣きながら、菜々美は差し出されたケーキを食べる。
「美味じいぃぃ……」
「よかった、そう言ってもらえて」
二人は甘い空間を創りかけるが、いまこの場所で創らせる訳にはいかない。――と思った涼香が、強引に話を進める。
「次は待ちに待ったアレよ。私も気になるのよね」
「アレってなんですか?」
「アレはアレよ。涼音は座ってなさい」
「あ、はい」
大人しく座ることにする涼音。
次は一体なにがあるのだろうか。ワクワクする涼音であった。
涼香はバンっと教卓を叩いて、高らかに宣言する。
ケーキ争奪じゃんけん――ここねが作ってくれた涼音のケーキの残り四切れを争奪するじゃんけんのことだ。
涼音は全て食べる気でいたのだが、全て食べてしまうと、夕食が入らないし、夕食後のケーキも食べられなくなる。
もちろんここねに許可をとって争奪じゃんけんを始めたのだが、やはり少し申し訳ない気持ちになってしまう。
「ここねのケーキは私のものよ!」
「いいえ、これは涼音のケーキよ。つまり私のケーキと言っても過言ではないわ!」
「「「「「「過言だよ……」」」」」」
一番やる気の菜々美と、訳の分からぬことを言っている涼香が睨み合い火花を散らす。
「私達のことを忘れないでもらおうかっ!」
若菜がなんかそれっぽいことを言いながら、睨み合う両者の間に割って入る。
「……なにを見せられてるんですか?」
「みんな楽しそうだね」
ジト目を向ける涼音に対してここねは楽しそうに答える。
それから結構わちゃわちゃそれっぽいことを言い合って、争奪じゃんけんが始まる。
まずは人数を減らすため、涼音が前に出てじゃんけんをする。
「それでは行きますよー。じゃーんけーんぽん」
涼音はグーを出していた。
「す、涼音……⁉」
「あっ……あぁぁぁぁぁ!」
ガクりと膝を折る涼香と吹き飛ばされる菜々美。
「えぇ……」
二人は負けたのであった。
二人以外にも、かなりの人数が今のじゃんけんで負けてしまった。ちなみに若菜とここねは残っていた。
これからは残りの人でじゃんけんをして、四人に絞ってもらう。
そして――。
「わあ! やったよ菜々美ちゃん! わたし勝ったよ!」
「所詮私もその程度だったってことか……」
最後の四人に残ったここねが喜び、惜しくも敗れてしまった若菜がそれっぽいことを言う。
なにはともあれ、無事に決まってくれてなによりだった。
勝ち残った四人はそれぞれ紙皿に残りのケーキを取って、各々美味しそうに食べ始める。
「はい、菜々美ちゃん。あーん」
「こ、ここね⁉」
力尽きていた菜々美の前に、ケーキが差し出される。
「いいの? 私、負けたのよ?」
「うん! でも、やっぱり菜々美ちゃんにも食べて欲しいから」
「ここね……うっ……うぅ……」
感涙に咽び泣きながら、菜々美は差し出されたケーキを食べる。
「美味じいぃぃ……」
「よかった、そう言ってもらえて」
二人は甘い空間を創りかけるが、いまこの場所で創らせる訳にはいかない。――と思った涼香が、強引に話を進める。
「次は待ちに待ったアレよ。私も気になるのよね」
「アレってなんですか?」
「アレはアレよ。涼音は座ってなさい」
「あ、はい」
大人しく座ることにする涼音。
次は一体なにがあるのだろうか。ワクワクする涼音であった。
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