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6月
夢の中にて 3
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ある日の夢の中のこと。
「オハヨウ、スズネ」
「えぇ……」
登校するため、涼音は涼香を迎えに行った。いつも通りインターホンを押して、涼香が出てくるのを待つ。いつもなら中からドタバタ音が聞こえてくるのだが、今日はガシャンガシャンガシャンとメカニカルな音が聞こえてきたのだ。
そしてドアが開くと。涼香――とは言い難いロボットが出てきた。頭身は涼香と全く同じだが、まず違うのは髪の毛だ。艶のあるまっすぐな黒のロングヘアーは、画用紙のような、海苔のようなよく分からない、固そうな素材でできている。風が吹いても全くなびかない。
そして肌も全然違う。シミひとつない、日焼け知らずの涼香の肌が、くすんだ銀色になっていた。
口は腹話術人形のような、縦に開閉する仕様。目は温度が無くてちょっと怖い。最後に左の目尻にあるホクロが黒色のネジで再現されていた。
「チコクスルワヨ」
そんな明らかに涼香ではない涼香みたいなロボットが涼香の制服を纏い涼香の家から出てきた。
――ということは、このロボットは涼香では?
「そんなこと言うんだったらもっと早く準備してくださいよ」
夢の中特有の謎の納得で、違和感がお亡くなりになった涼音。いつも通りに涼香と駅へと向かう。
しかし先日起こった大規模な地割れが交通に大打撃を与えていて電車が動いていなかった。もちろん車で行くこともできない。
「今日は遅刻したくないんですよね……」
困り果てた涼音を安心させるように、涼香が優しく涼音の頭に手を乗せる。
「ワタシニマカセナサイ」
そう言った涼香が、涼音をお姫様抱っこをする。
「シッカリツカマッテナサイ」
涼音がしっかり涼香にしがみつく。硬かった。
涼音が掴まったのを確認すると、涼香がゆっくりと走り出す。ガシャンガシャンガシャンガシャンと徐々にスピードを上げていき、やがて風を切る音が聞こえだす。その瞬間、涼香が思いっきりアスファルトを踏み込んで跳躍――するはずだった。
「アッ」
自分で自分の脚に引っかかった涼香が、上にではなく真横に飛んでいく。
涼香に抱えられたままの涼音にはどうすることもできない。
気づいたころにはものすっごい衝撃が涼音の身体を襲っていた。
「おはよう。……涼音?」
いつも通り涼音が迎えに来たため、涼香が家を出ると、なぜか体中ペタペタと触られた。
「どうしたの?」
ひとしきりペタペタ触った後、涼香の肌の感触が残る手に、目を落としながら涼音が答える。
「いえ、特に理由は無いです」
「あらそう」
理由は無いと言っておきながらなぜかホッと息を吐く涼音に涼香は首を捻る。
「遅刻するわよ」
なにかあったのだろうがそれはさておき、とりあえず学校へ向かおうと声をかけるのだった。
「オハヨウ、スズネ」
「えぇ……」
登校するため、涼音は涼香を迎えに行った。いつも通りインターホンを押して、涼香が出てくるのを待つ。いつもなら中からドタバタ音が聞こえてくるのだが、今日はガシャンガシャンガシャンとメカニカルな音が聞こえてきたのだ。
そしてドアが開くと。涼香――とは言い難いロボットが出てきた。頭身は涼香と全く同じだが、まず違うのは髪の毛だ。艶のあるまっすぐな黒のロングヘアーは、画用紙のような、海苔のようなよく分からない、固そうな素材でできている。風が吹いても全くなびかない。
そして肌も全然違う。シミひとつない、日焼け知らずの涼香の肌が、くすんだ銀色になっていた。
口は腹話術人形のような、縦に開閉する仕様。目は温度が無くてちょっと怖い。最後に左の目尻にあるホクロが黒色のネジで再現されていた。
「チコクスルワヨ」
そんな明らかに涼香ではない涼香みたいなロボットが涼香の制服を纏い涼香の家から出てきた。
――ということは、このロボットは涼香では?
「そんなこと言うんだったらもっと早く準備してくださいよ」
夢の中特有の謎の納得で、違和感がお亡くなりになった涼音。いつも通りに涼香と駅へと向かう。
しかし先日起こった大規模な地割れが交通に大打撃を与えていて電車が動いていなかった。もちろん車で行くこともできない。
「今日は遅刻したくないんですよね……」
困り果てた涼音を安心させるように、涼香が優しく涼音の頭に手を乗せる。
「ワタシニマカセナサイ」
そう言った涼香が、涼音をお姫様抱っこをする。
「シッカリツカマッテナサイ」
涼音がしっかり涼香にしがみつく。硬かった。
涼音が掴まったのを確認すると、涼香がゆっくりと走り出す。ガシャンガシャンガシャンガシャンと徐々にスピードを上げていき、やがて風を切る音が聞こえだす。その瞬間、涼香が思いっきりアスファルトを踏み込んで跳躍――するはずだった。
「アッ」
自分で自分の脚に引っかかった涼香が、上にではなく真横に飛んでいく。
涼香に抱えられたままの涼音にはどうすることもできない。
気づいたころにはものすっごい衝撃が涼音の身体を襲っていた。
「おはよう。……涼音?」
いつも通り涼音が迎えに来たため、涼香が家を出ると、なぜか体中ペタペタと触られた。
「どうしたの?」
ひとしきりペタペタ触った後、涼香の肌の感触が残る手に、目を落としながら涼音が答える。
「いえ、特に理由は無いです」
「あらそう」
理由は無いと言っておきながらなぜかホッと息を吐く涼音に涼香は首を捻る。
「遅刻するわよ」
なにかあったのだろうがそれはさておき、とりあえず学校へ向かおうと声をかけるのだった。
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