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5月
休日の朝にて
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ある休日の朝。涼香はスマホのアラームの音で目が覚める。なぜアラームの音はこんなにも不快な気分にさせられるのか。
毎朝聞きすぎて、目覚ましのアラームとしてではなく、タイマーとしてこの音を聞く度に胸がキュッとなる。カップ麺用に砂時計でも買おうかしらと涼香は考える。そう思うとアラームとして鳴る分にはダメージが少ないな、などと納得しながらのそりのそりと布団から這いずりでる。
今日は涼音と出かけるのだ。そのため、涼香は休日にもかかわらず、アラームをかけて朝早くに目を覚ましたのだった。
「身体が……重いわ……」
目を覚ますため、声を発しながらベッドから転げ落ちた涼香は、ほふく前進で部屋から出ようとする。その体勢だと当然ドアノブに手が届かないわけで立ち上がらなくてはならないのだが、立ち上がる気力など休日の朝の涼香は持ち合わせていなかった。
ドアの前で横たわる涼香はスマホのホームボタンを押して時間を確認する。ちなみに待ち受け画面は涼音との教室でのツーショットだ。
時刻は六時三十七分。予定では八時頃に涼音が迎えに来てくれるという。早く朝食を食べて準備をしなければ、涼音を待たせるわけにはいかない、強い気持ちで涼香は身体を持ち上げる。
なんとか起き上がれた涼香はドアノブを捻って部屋から出ていく。
朝食を摂って、洗顔や歯磨きなどの用意を済ませた涼香は自室に戻り、着ていく服を選んでいた。選ぶといっても選ぶほどの種類は無いのだが。
少し前、涼音に選んでもらった服を広げる。涼香はよくドジっ子と称されているが、涼香自身はそこまで自分がドジっ子だとは思っていない。服のタグを切りながらフッと笑う涼香。
(ドジっ子というのはタグが付いたまま着てしまう人のことを言うんでしょう? それは天然だったかしら?)
なんてことを考えながら袖に腕を通す。
するとタイミングよくスマホから通知音が鳴る。涼音からのメッセージだった。
『念のため折りたたみ傘持って行きましょう』
今日は天気が優れないのだろうか? カーテンを開けて外を確認する。少し曇り空だが雨が降る気配は無い気がする。しかし涼音がそういうのなら、雨が降る可能性があるのだろう。
『分かったわ』『準備できたわよ』
少し予定より早いが涼音は大丈夫だろうか?
『それじゃあ向かいますね』
涼音も準備は終えているようだ。涼香はスタンプで返信して玄関に向かう。
涼香が玄関に下りた時、丁度インターホンの音が鳴る。ドアを開けると、私服姿の涼音の姿があった。
「おはようございます」
「おはよう」
涼音の笑顔に涼香も自然と笑みがこぼれる。
「忘れ物はないですか?」
「ええ、大丈夫よ」
首を傾げる涼音に胸を張る涼香。言われた通り、バッグの中に折りたたみ傘を入れている。財布も持ってスマホも持ったのでたいていのことはなんとかなる。
「行きましょうか」
休日の住宅街はまだ静かだ。落ち着いた時間が流れる空間を二人は並んで歩く、自然と歩幅を合わせて、登校時のような速足ではなくゆっくりと。
たまには休日の朝から外出するのも悪くないな、と、同時に思う二人だった。
毎朝聞きすぎて、目覚ましのアラームとしてではなく、タイマーとしてこの音を聞く度に胸がキュッとなる。カップ麺用に砂時計でも買おうかしらと涼香は考える。そう思うとアラームとして鳴る分にはダメージが少ないな、などと納得しながらのそりのそりと布団から這いずりでる。
今日は涼音と出かけるのだ。そのため、涼香は休日にもかかわらず、アラームをかけて朝早くに目を覚ましたのだった。
「身体が……重いわ……」
目を覚ますため、声を発しながらベッドから転げ落ちた涼香は、ほふく前進で部屋から出ようとする。その体勢だと当然ドアノブに手が届かないわけで立ち上がらなくてはならないのだが、立ち上がる気力など休日の朝の涼香は持ち合わせていなかった。
ドアの前で横たわる涼香はスマホのホームボタンを押して時間を確認する。ちなみに待ち受け画面は涼音との教室でのツーショットだ。
時刻は六時三十七分。予定では八時頃に涼音が迎えに来てくれるという。早く朝食を食べて準備をしなければ、涼音を待たせるわけにはいかない、強い気持ちで涼香は身体を持ち上げる。
なんとか起き上がれた涼香はドアノブを捻って部屋から出ていく。
朝食を摂って、洗顔や歯磨きなどの用意を済ませた涼香は自室に戻り、着ていく服を選んでいた。選ぶといっても選ぶほどの種類は無いのだが。
少し前、涼音に選んでもらった服を広げる。涼香はよくドジっ子と称されているが、涼香自身はそこまで自分がドジっ子だとは思っていない。服のタグを切りながらフッと笑う涼香。
(ドジっ子というのはタグが付いたまま着てしまう人のことを言うんでしょう? それは天然だったかしら?)
なんてことを考えながら袖に腕を通す。
するとタイミングよくスマホから通知音が鳴る。涼音からのメッセージだった。
『念のため折りたたみ傘持って行きましょう』
今日は天気が優れないのだろうか? カーテンを開けて外を確認する。少し曇り空だが雨が降る気配は無い気がする。しかし涼音がそういうのなら、雨が降る可能性があるのだろう。
『分かったわ』『準備できたわよ』
少し予定より早いが涼音は大丈夫だろうか?
『それじゃあ向かいますね』
涼音も準備は終えているようだ。涼香はスタンプで返信して玄関に向かう。
涼香が玄関に下りた時、丁度インターホンの音が鳴る。ドアを開けると、私服姿の涼音の姿があった。
「おはようございます」
「おはよう」
涼音の笑顔に涼香も自然と笑みがこぼれる。
「忘れ物はないですか?」
「ええ、大丈夫よ」
首を傾げる涼音に胸を張る涼香。言われた通り、バッグの中に折りたたみ傘を入れている。財布も持ってスマホも持ったのでたいていのことはなんとかなる。
「行きましょうか」
休日の住宅街はまだ静かだ。落ち着いた時間が流れる空間を二人は並んで歩く、自然と歩幅を合わせて、登校時のような速足ではなくゆっくりと。
たまには休日の朝から外出するのも悪くないな、と、同時に思う二人だった。
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