上 下
11 / 493
5月

昼休みにて

しおりを挟む
 ある日の昼休み。

「先輩、今日弁当忘れてましたよ」
 
 三年生の教室にひょこっとやって来た涼音すずねが言った。

「どうやらそのようね」
 
 すました顔でそう言う涼香りょうかの目線は涼音の手に向いている。
 
 いつもなら涼音が迎えに来た時に確認するのだが、今日の涼香は用があり、涼音よりも早く登校していたのだ。
 
 涼音は前日に連絡をしていたのだが、登校前に涼香の家に確認しに行くと、案の定弁当を忘れており、呆れていた涼香の母親から弁当を受け取って登校したのだった。
 
 涼音は持ってきた涼香の弁当を渡すと、涼香の前の席に腰掛ける。

「ありがとう、涼音」
「先輩のお母さんが言ってましたよ。お父さんみたいにしようかしら、って」

 涼香の父親も会社に弁当を持って行っていたのだが、度々弁当を忘れて行くため、涼香の母親は弁当を作るのをやめたのだ。その代わり、前日に昼食代(五百円)を渡している。

「それは……困るわ」
「じゃあ気をつけてくださいね」

 素直に頷いた涼香は受け取った弁当を広げる。

 五百円なら別に困りはしないが、昼食が弁当ではなくなると、涼音とおかず交換ができなくなってしまう。だから涼香は弁当を忘れないようにしようと肝に銘じるのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)

婚約破棄ですか。別に構いませんよ

井藤 美樹
恋愛
【第十四回恋愛小説大賞】で激励賞を頂き、書籍化しました!!   一、二巻、絶賛発売中です。電子書籍も。10月8日に一巻の文庫も発売されました。  皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。  正直、こんな形ばかりの祝賀会、参加したくはありませんでしたの。  だけど、大隊長が参加出来ないのなら仕方ありませんよね。一応、これでも関係者ですし。それにここ、実は私の実家なのです。  というわけで、まだ未成年ですが、祝賀会に参加致しましょう。渋々ですが。  慣れないコルセットでお腹をギュッと締め付けられ、着慣れないドレスを着せられて、無理矢理参加させられたのに、待っていたは婚約破棄ですか。  それも公衆の面前で。  ましてや破棄理由が冤罪って。ありえませんわ。何のパーティーかご存知なのかしら。  それに、私のことを田舎者とおっしゃいましたよね。二回目ですが、ここ私の実家なんですけど。まぁ、それは構いませんわ。皇女らしくありませんもの。  でもね。  大隊長がいる伯爵家を田舎者と馬鹿にしたことだけは絶対許しませんわ。  そもそも、貴方と婚約なんてしたくはなかったんです。願ったり叶ったりですわ。  本当にいいんですね。分かりました。私は別に構いませんよ。  但し、こちらから破棄させて頂きますわ。宜しいですね。 ★短編から長編に変更します★  書籍に入り切らなかった、ざまぁされた方々のその後は、こちらに載せています。

【ショートショート】ほのぼの・ほっこり系

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。 声劇用だと1分半〜5分ほど、黙読だと1分〜3分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

UNTITLED

にんにく
青春
綾瀬瑠奈 高二!転校生です! 友達できるかなー?

拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~

ぽん
ファンタジー
⭐︎コミカライズ化決定⭐︎    2024年8月6日より配信開始  コミカライズならではを是非お楽しみ下さい。 ⭐︎書籍化決定⭐︎  第1巻:2023年12月〜  第2巻:2024年5月〜  番外編を新たに投稿しております。  そちらの方でも書籍化の情報をお伝えしています。  書籍化に伴い[106話]まで引き下げ、レンタル版と差し替えさせて頂きます。ご了承下さい。    改稿を入れて読みやすくなっております。  可愛い表紙と挿絵はTAPI岡先生が担当して下さいました。  書籍版『拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』を是非ご覧下さい♪ ================== 1人ぼっちだった相沢庵は住んでいた村の為に猟師として生きていた。 いつもと同じ山、いつもと同じ仕事。それなのにこの日は違った。 山で出会った真っ白な狼を助けて命を落とした男が、神に愛され転移先の世界で狼と自由に生きるお話。 初めての投稿です。書きたい事がまとまりません。よく見る異世界ものを書きたいと始めました。異世界に行くまでが長いです。 気長なお付き合いを願います。 よろしくお願いします。 ※念の為R15をつけました ※本作品は2020年12月3日に完結しておりますが、2021年4月14日より誤字脱字の直し作業をしております。  作品としての変更はございませんが、修正がございます。  ご了承ください。 ※修正作業をしておりましたが2021年5月13日に終了致しました。  依然として誤字脱字が存在する場合がございますが、ご愛嬌とお許しいただければ幸いです。

「学校でトイレは1日2回まで」という校則がある女子校の話

赤髪命
大衆娯楽
とある地方の私立女子校、御清水学園には、ある変わった校則があった。 「校内のトイレを使うには、毎朝各個人に2枚ずつ配られるコインを使用しなければならない」 そんな校則の中で生活する少女たちの、おしがまと助け合いの物語

今日も君の心はハカれない

本田ゆき
青春
私、葵遥です。 「あおいはるか」と呼びます。 名前は普通ですが、漢字のみで書くとよく中国人みたいだねと言われます。 現在、芸能科もある都立小鳥遊学園「普通科」に通う高校1年生です。 顔面偏差値だけが取り柄の平凡な私だったのですが、この度めでたく青い春がやってきました!! 私の意中の人は今をときめくスーパースター東陽太……の双子の弟、東静夜くん!! 東くんの何処がいいかと言うととても言葉では語り尽くせないんだけど……。 強いて言うなら、まず笑った顔が可愛くて軽く人が死ぬレベルで本が好きで本読む姿が様になっててもう彼のために読書という行為があるのかと実感するし身長が低い事気にしてて牛乳頑張って飲んでる努力が微笑ましくて尊いしときおり見える八重歯がちょっとエロティシズムを感じてそれだけでご飯3杯余裕でいけるし彼が生きてくれているという事実だけで普段宗教とか興味のない私にも人類を生み出してくれた神様に感謝せざるを得ないし彼を生み出した全ての軌跡に感激し……「ストップ、遥」 「え? ユウちゃん何で止めるの? まだ東くんの事100万分の1も語れてないのに……?」 友達のユウちゃんこと河合優希は普段の美形を歪める様に眉間に皺を寄せ、頭を押さえながら答えた。 「真顔で答えるのやめて。怖いから。 遥が東の事好きなのはよぉーく分かったから、もういい」 「ごめんね、私が理由を聞いたばかりにルカちゃんを暴走させちゃって……」 ユウちゃんの横でしゅんとなっているのがもう1人の友達のハル、もとい天江春香だ。 漢字は違うけど私と同じく名前は「ハルカ」なので私は「ハル」と呼び、ハルは私のこと「ルカちゃん」と呼んでいる。 「え? 私何か悪い事しちゃった?」 「いや、遥は悪くないよ。いつも通り中身が残念なだけで--」 ……これは、そんな残念な美少女、葵遥の前途多難な恋物語である。 ※この様に主人公が時々バグります。 何でもオッケーな方のみご覧下さい。 ※他サイト様にも掲載しています。

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

処理中です...