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5月
放課後の教室にて
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ある日の放課後。
「ポッキーゲームをしましょう」
他の生徒達が帰宅した教室で、涼香が向かいに座る涼音に言った。
「なんでですか?」
なぜか三年生の教室に呼び出された涼音はスマホをいじりながらどうでもいいといった様子で答える。
「ポッキーがあればしたくなるでしょう?」
涼香はリュックから取り出したポッキーを机に力強く召喚する。
そんな涼香の言葉になにか思うことがあったのか、少し視線を天井にやっていた涼音はやがてため息をついてスマホを机に伏せる。そして机に置いてあるポッキーを開封して数本取り出す。
案の定折れていた。
「だと思いましたよ」
一本咥えながら、涼音は自分のリュックを漁る。
涼香が咥えているポッキーを食べようとしてきたが、残りの手に持つポッキーを咥えさせる。
そうしながら涼音はリュックから目的のお菓子を取り出して机に召喚する。
「ポッキーではないじゃないの」
「別にいいじゃないですか、最後までチョコたっぷりですし」
ポッキーを摘まみながら涼音はトッポを開封する。折れていない綺麗なトッポがその姿を覗かせる。
「はい先輩、あーん」
涼香は差し出されたトッポを咥えるとそのままスタンバイ状態に移行する。
そして、涼音がそのトッポを咥えようとすると、涼香は涼音に咥えさせまいとトッポを食べ始めた。
「ごふっ」
そしてむせた。
「あーもう、急いで食べるから」
涼音はリュックから水筒を取り出して涼香に差し出す。
それを受け取って飲んだ涼香は一息つくと、なに事もなかったかのようにトッポを食べ始める。
「トッポではポッキーゲームにならない。ですか?」
半目を向ける涼音に涼香は胸を張って答える。
「よくわかっているじゃないの。さすが私検定準一級ね」
「折れていないポッキー探しましょうか」
涼香をスルーして、もう一袋ポッキーを開封する涼音。
こうしていつも通りの緩慢な放課後が過ぎていく。
「ポッキーゲームをしましょう」
他の生徒達が帰宅した教室で、涼香が向かいに座る涼音に言った。
「なんでですか?」
なぜか三年生の教室に呼び出された涼音はスマホをいじりながらどうでもいいといった様子で答える。
「ポッキーがあればしたくなるでしょう?」
涼香はリュックから取り出したポッキーを机に力強く召喚する。
そんな涼香の言葉になにか思うことがあったのか、少し視線を天井にやっていた涼音はやがてため息をついてスマホを机に伏せる。そして机に置いてあるポッキーを開封して数本取り出す。
案の定折れていた。
「だと思いましたよ」
一本咥えながら、涼音は自分のリュックを漁る。
涼香が咥えているポッキーを食べようとしてきたが、残りの手に持つポッキーを咥えさせる。
そうしながら涼音はリュックから目的のお菓子を取り出して机に召喚する。
「ポッキーではないじゃないの」
「別にいいじゃないですか、最後までチョコたっぷりですし」
ポッキーを摘まみながら涼音はトッポを開封する。折れていない綺麗なトッポがその姿を覗かせる。
「はい先輩、あーん」
涼香は差し出されたトッポを咥えるとそのままスタンバイ状態に移行する。
そして、涼音がそのトッポを咥えようとすると、涼香は涼音に咥えさせまいとトッポを食べ始めた。
「ごふっ」
そしてむせた。
「あーもう、急いで食べるから」
涼音はリュックから水筒を取り出して涼香に差し出す。
それを受け取って飲んだ涼香は一息つくと、なに事もなかったかのようにトッポを食べ始める。
「トッポではポッキーゲームにならない。ですか?」
半目を向ける涼音に涼香は胸を張って答える。
「よくわかっているじゃないの。さすが私検定準一級ね」
「折れていないポッキー探しましょうか」
涼香をスルーして、もう一袋ポッキーを開封する涼音。
こうしていつも通りの緩慢な放課後が過ぎていく。
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