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アサシン
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「で、他の人はローリーの話に感化されて戻るのを止めたら案外簡単にこっちの世界に居残れた……って事なんだろうか?」
僕は3人の顔を見回して聞いた。
「一言で言えばそうです。実際にここに居残ってもいつものダイブしている感覚と全く変わらないです」
さっきまで僕に対して距離を置こうとしてたローリーが答えてくれた。
「ステイタス画面にログアウトのボタンはあるの?」
「ありますよ」
そう言ってローリーは自分のステータス画面を見せてくれた。
そこには確かにログアウトの表示があった。
「でも今ヘッドギアを被っていないから戻れないだろう?」
「はい。なので押しても反応しません」
「なんだ?押したの?」
「はい」
「ヘッドギアをつけてない事を知って?」
「はい」
ローリーははっきりと答えた。
「だってヘッドギアをつけてログアウトボタンを押したら戻ってしまうじゃないですか?」
ああ、そうだった彼女は戻りたくないんだった。だから、平気でボタンを押せたんだ……でも、それって結構危ない行為だと僕は彼女の返事を聞きながら思った。
結果は何事もなかったのが不幸中の幸いだったが。
「さて、問題は戻る方法よりも、どうやってここに居残った人間を元の世界に戻る気にさせるかだな……。ローリーはやっぱり帰る気はないの?」
「……」
さっきまでハキハキと僕の質問に答えていた彼女は俯いて返事をしなかった。
その代りシュートが答えた。
「いえ、帰らします。帰って貰います。他の人達も説得します」
ローリーは唇を噛んでシュートを見上げた。
「彼女とは何度も話をしました。彼女とずっと一緒に居たいとは思いますが、それは出来ません。彼女には帰るべき家も待ってくれている家族も友人もいます。なので彼女にはここから帰る事を納得してもらいました」
「そうか……君は強いな」
「いえ、単なるやせ我慢です」
そう言うとシュートは笑った。
「だからジュリー、後は頼むね」
シュートはジュリーの肩を軽く叩いて言った。
「お前はずっとここに居るんだろう?」
「ああ、いるよ。でもこんなに騒ぎが大きくなったらもうこのサーバーに人は誰も入れないだろう……」
「かもしれないな……でも、このサーバーの運営会社の技術者は姉貴の後輩だからたまには来れるかもしれない」
「本当か?!」
「多分……大丈夫だろう……その時はローリーも一緒に連れてくるよ」
ジュリーはそう言うとローリーの顔を見た。
ローリーは硬い表情で小さく頷いただけだった。
その時、空間に光の球が現れてそれが大きくなったかと思うと人の形となって、黒服ずくめの男が現れた。
どうやら彼はダイブして来たゲーマーのようだ。
「アサシン……?」
ジュリーが呟いた。
男は僕達を見つけると近づいてきた。
「天田さん、安達です」
「おお、殺し屋となって登場ですか?」
僕は驚いた。まさかここに安達がやって来るとは微塵も思ていなかったから。
「これは篠崎先輩の趣味です。これが嫌なら道化師にさせられそうだったのでアサシンにしたんですよ」
と口惜しそうに呟いた。
「いや、案外似合ってますよ」
と言った見たが、よく見たら本当に似合っていた。
「で、どうしたんですか?安達さんまで来るなんて?」
「システムは他の人間に任せました。このサーバーの仕組みが分かっている僕が一緒に居た方が良いだろうという事でやって来ました。勿論、篠崎先輩の命令です」
「このゲームを作った人間は来ないんですか?」
僕はふと思った事を聞いてみた。
「いえ、どうやらこの現象が起きているのは我々側……つまりサーバー側に原因がある可能性が大きいようです」
「ええ?そうなんですか?」
僕は3人の顔を見回して聞いた。
「一言で言えばそうです。実際にここに居残ってもいつものダイブしている感覚と全く変わらないです」
さっきまで僕に対して距離を置こうとしてたローリーが答えてくれた。
「ステイタス画面にログアウトのボタンはあるの?」
「ありますよ」
そう言ってローリーは自分のステータス画面を見せてくれた。
そこには確かにログアウトの表示があった。
「でも今ヘッドギアを被っていないから戻れないだろう?」
「はい。なので押しても反応しません」
「なんだ?押したの?」
「はい」
「ヘッドギアをつけてない事を知って?」
「はい」
ローリーははっきりと答えた。
「だってヘッドギアをつけてログアウトボタンを押したら戻ってしまうじゃないですか?」
ああ、そうだった彼女は戻りたくないんだった。だから、平気でボタンを押せたんだ……でも、それって結構危ない行為だと僕は彼女の返事を聞きながら思った。
結果は何事もなかったのが不幸中の幸いだったが。
「さて、問題は戻る方法よりも、どうやってここに居残った人間を元の世界に戻る気にさせるかだな……。ローリーはやっぱり帰る気はないの?」
「……」
さっきまでハキハキと僕の質問に答えていた彼女は俯いて返事をしなかった。
その代りシュートが答えた。
「いえ、帰らします。帰って貰います。他の人達も説得します」
ローリーは唇を噛んでシュートを見上げた。
「彼女とは何度も話をしました。彼女とずっと一緒に居たいとは思いますが、それは出来ません。彼女には帰るべき家も待ってくれている家族も友人もいます。なので彼女にはここから帰る事を納得してもらいました」
「そうか……君は強いな」
「いえ、単なるやせ我慢です」
そう言うとシュートは笑った。
「だからジュリー、後は頼むね」
シュートはジュリーの肩を軽く叩いて言った。
「お前はずっとここに居るんだろう?」
「ああ、いるよ。でもこんなに騒ぎが大きくなったらもうこのサーバーに人は誰も入れないだろう……」
「かもしれないな……でも、このサーバーの運営会社の技術者は姉貴の後輩だからたまには来れるかもしれない」
「本当か?!」
「多分……大丈夫だろう……その時はローリーも一緒に連れてくるよ」
ジュリーはそう言うとローリーの顔を見た。
ローリーは硬い表情で小さく頷いただけだった。
その時、空間に光の球が現れてそれが大きくなったかと思うと人の形となって、黒服ずくめの男が現れた。
どうやら彼はダイブして来たゲーマーのようだ。
「アサシン……?」
ジュリーが呟いた。
男は僕達を見つけると近づいてきた。
「天田さん、安達です」
「おお、殺し屋となって登場ですか?」
僕は驚いた。まさかここに安達がやって来るとは微塵も思ていなかったから。
「これは篠崎先輩の趣味です。これが嫌なら道化師にさせられそうだったのでアサシンにしたんですよ」
と口惜しそうに呟いた。
「いや、案外似合ってますよ」
と言った見たが、よく見たら本当に似合っていた。
「で、どうしたんですか?安達さんまで来るなんて?」
「システムは他の人間に任せました。このサーバーの仕組みが分かっている僕が一緒に居た方が良いだろうという事でやって来ました。勿論、篠崎先輩の命令です」
「このゲームを作った人間は来ないんですか?」
僕はふと思った事を聞いてみた。
「いえ、どうやらこの現象が起きているのは我々側……つまりサーバー側に原因がある可能性が大きいようです」
「ええ?そうなんですか?」
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