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交易都市

さんじゅうななわめ

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 道中すったもんだ……いや、ずっこんばっこんしながら辿り着いたのは交易都市オラセクス。
 ここは色んな所から、色んなものが集まるという都市です。
 道中倒した魔物のあれそれをまずギルドに持って行き、お金にする。
 そして質屋で異空間収納に入れてあるセーなんちゃらとクソ王太子の所でゲットした宝石とかを換金する。
 荷台の中に敷いていた布団を仕舞い、荷物も片づける。
 そうして馬車屋さんへと向かう。
 また人数が増えたからね、今度は荷台を交換することにしました。
 ボロをちょっと補強しただけだったし、お店に並ぶいい荷台が欲しくなったのです!

「椅子はなくてもいいんだけど……広いのがいいよねぇ」
「そうだな。2頭もまだ余力があるからな」
「ねぇ、実験出来るスペース」
「そうなるとこっちかこっち?」
「いや、もう少し……せめてこれぐらい」
「ねぇ、実験……」

 安定のエルはスルーして、荷台を選ぶ。
 ちょびっと肩を落とすエルをエロフ君が頑張って宥めている。
 道中でそこそこ仲良くなったようだ。
 よかったよかった。
 せっかくこれから一緒に居るんだから、少しでも仲良くしてくれた方がいいもんね。

 本当なら4頭立て用の荷台だが、ジュークがそれがいいと言うからそれで決定。
 広さは十分なほどあって、道を走った時のガタツキも軽減される作り、らしい。
 それを2頭で曳けるのか若干心配になったけど、ジュークが大丈夫というならそれを信じよう。

「これなら実験出来るスペースあるね」
「させないけどね」

 数日この都市に滞在するから、お金だけ払っておく。
 そしてこの馬車屋さん、馬の預かりもしているらしくて、2頭を預けることにした。
 1日数時間だけだが、放牧してくれるというからね。
 厩舎に押し込められるだけじゃあストレスが溜まるからちょっとお高いけど料金を払ってお願いすることにしたのだ。
 また過酷な荷台曳きのお仕事が待ってるからね、羽を伸ばしておいで。

 そして都市をぶらつく。
 食糧を買って、エルの欲しがった薬草を買って……実験道具は却下されました、ジュークに。
 縋るように俺を見てきたけど、目を逸らして気付かなかったフリ!
 しょんぼりするエルの腰をすすーっと撫でてご機嫌取りをするのは俺です。
 夜たっぷり啼かせてあげることを約束しましたとも、ええ。
 そしたらエロフ君も寄ってきて、俺は両手に花!
 2人の腰をエロく撫でてニマニマしていたらジュークにため息を吐かれてしまったというね。
 大丈夫、ジュークも美味しくいただくから!

 そしてエロエロしながら向かった先は鍛冶屋さん。
 沢山の鍛冶屋が並ぶ道は熱気でむわーっとしていた。
 先頭はジュークで、その目を光らせて検分している。
 ジュークの剣は長いこと使ってきたもので、もし良いものがあればそれが欲しいっていうからね。
 エルもジュークの後ろを歩き、一緒に見ている。
 エルも篭手を見ている模様。
 そうなると俺とエロフ君のすることはなくて、手を繋いでその後ろをついていくだけだ。

「ねぇ、シオン様……」
「ん? どした?」
「ボク……エッチしたい……」
「あー……。そうだなぁ」

 突然の申告にさてどうしたものか、と頭を悩ませる。
 俺がヤってもいいけど、どうせなら精気を得て来てほしいものだ。
 かといってそれをお願いするには、まだ早いのではないかとも思う。

「あのね、お店だとお金かかるから……」
「うん」
「ゴロツキなら、搾り取っても怒られないよね?」
「うん?」
「あ、ボクもそれなりに力はあるから、早々殺されることはないと思うんだけど……」
「うん??」
「あの、だから……どこかに雄、落ちてない?」

 エロフ君、どうやら落ちてる雄を狙っているらしいです。
 ぽっと頬を染めてもじもじするエロフ君、可愛い。
 じゃない、ちゃんと精を搾り取って来てくれると言うのだから、それならお願いしようではないか。
 だがしかし、落ちてる雄……どう調べろというのか。

「んー……その前に確認したいことがある」
「なに?」

 小さく首を傾げる美少年にちょっとイケナイ気持ちが湧き上がってくるけど、置いとこうか。
 脳内でエロフ君に呼びかけてみる。

「えっ、えっ?」

 俺を見て口を動かしてないことを確認したエロフ君はきょろきょろと周囲を見回して、また俺を見る。
 脳内で会話が出来ることを確認した俺は、エロフ君に状況説明をさせながら見送ることにした。
 MAPでエロフ君の場所もしっかり確認して、これでもし何かあっても駆けつけられるようにしておく。
 俺もエロフ君との距離を確認しながらだから、危険は減るだろう。
 と思っていたら早々にエロフ君、路地裏で雄に跨りました。
 早すぎるだろ。

「シオン?」
「あ、ごめんごめん」
「……フェリオは?」
「俺の為に頑張ってる」
「……そうか、まあいい。いくぞ」
「はーい」

 ジュークには精気の話はしてないんだけど……いずれ言わなくちゃダメだな。
 ちょっとため息が出ちゃう、だってエロ勇者なんだもん。
 ま、後でいっか。
 とりあえず先を行くジュークを追いかけよう。

 そうして入った店はこじんまりとした所だった。
 店の中は小奇麗にしてあり、個人の店だということがすぐわかる。

「店主、いるか」
「は、はーい!」

 とたた、と現れたのは毛むくじゃらだった。
 いや、そこまで酷くはないんだけど、髪の毛もぼっさぼさで伸ばしっぱなし、髭も同様で、表情が全然見えない。
 そしてその身長が俺よりも小さい。

「剣を見せてほしい」
「あ、はい! 今お持ちしますね!」

 軽い音を立てて奥の部屋へ走って行く店主は、子供に見える。

「……子供?」
「いや、ドワーフだな。あれで成人しているはずだ」
「えっ!? ジューク知ってる人?」
「名前だけな」
「へぇー」
「お、お待たせしましたー」

 店主が持ってきた剣は3つで、それをカウンターに並べている。
 鑑定でそれを見ると、どれも説明文に最高の出来、と書かれている。
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