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1.瑠璃の章
3.元帥と中将
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カイルは城を出たその足で本営へと向かった。
軍指令本部は、皇城から少し離れた場所にある、そこまでは車での移動となる。
車窓から見る戦時中の首都は、どこか閑散として見える。
平時に比べ、車通りは少なく、行き交う人の表情も曇って見えた。
今年に入って年中行事である国を挙げての祭りも中止され、ますます賑やかさが失われつつあるようだった。
「早く終わらせなければ……」
車はゆっくりと、石造りの本部へと入って行った。
その車止まりで、彼の到着を心待ちにしている者がいた。
その姿は遠くからでもよく分かる程の巨漢で、まるで『熊』を思わせる。
無精髭を生やし、とても異性受けするとは思えない風貌の彼は、しかし同姓にはすこぶる人気が高かった。齢25。
カイルよりも3つ年上なだけの彼は、その姿から10は上に見られるが、彼自身はまったく気にしていないらしい。
指摘されれば「これが俺のスタイルだし!」とかえって胸を張るという、愛すべき人物ではあった。
中将である彼は一個師団を指揮しており、今現在は前線にいるはずだった。
それがどうしてここにいるのか。
カイルは車が停車するとすぐに自らドアを開け飛び降り、彼の元へ足早に近付いた。
「中将、何か変わったことでも?」
足早に近づいてくる年下の若き元帥に、熊の中将は微笑みかけた。
そして「グハハハ」と笑いながら片腕を伸ばし、ぐわしっとカイルの肩を抱いたのだ。
「ちゅ、中将?」
熊の中将の難点は、スキンシップが濃厚なところ。
勢いあまって首を絞められ、卒倒寸前に陥った将校もいるらしい。
「グレン中将!お手を離してください!」
カイルも常日頃から鍛錬してはいるものの、いかんせん体格差がありすぎた。
「お?そうか、すまん、すまん」
悪びれる様子もなく、熊の中将、もといゲルシュ・グレン中将は腕を解くと、また豪快に口を開けて笑っている。
「いったい、どうされたと言うのです?」
カイルはそんな中将を尻目に表情を引き締め直すと、建物の入り口を目指して歩き始めたするとゲルシュ・グレンはぴたりと口をつぐんだかと思うと、上司の背に向かって囁くように言った。
「シド・フォーンに動きがある」
カイルの胸がドクリと波打った。
けれどゆっくりと振り向いたカイルの顔には、何の表情も浮かんではいなかった。
「ガルーダの旗艦に奴が乗り込んだと言う話だ」
「……その話をどこから?」
まだ軍の諜報部も掴んでいない事を。
「まあ、俺にもいろいろツテがあるわけよ」
ゲルシュ・グレンは事も無げに言って、今度はカイルと肩を並べて歩き始めた。
「奴は本気だって訳だ」
本気でこの帝国をぶっ潰そうと考えている。
苦虫を噛み潰したような顔でそう言うゲルシュ・グレンの横顔をちらりと見やってから、
「いずれにせよ、我々が選ぶ道はひとつしかありません」
と、カイルは言い切った。
「まあ、そうなんだけど、さ」
納得する素振りを見せながら、
「カイルっちはなんでも真剣に考え過ぎるから心配なんだ」
と、口の中でごにょごにょ言い続けているのを聞き流しながら、カイルは(それでも心のどこかで信じていた)と思う。
(私は、それでも友だと思っていたかったのだ……)
胸にぽっかりと空いた穴がある。親友である男が、こうも鮮やかに過去を切り捨てたことに対する哀愁の念が、その穴に満ちていく。
それでいっぱいになっていく穴を、カイルはまるで他人事のようにじっと見つめていた。
「おい、カイル!カイルっちってばっ!!」
ハッとして顔を上げると、ゲルシュ・グレンの心配そうな顔がそこにあった。
その風貌に似合わぬ、澄んだ黒い瞳が、じっとカイルを捕らえている。
「グレン中将……」
いつも沈着としている青年の、思わぬ動揺を目にして、ゲルシュ・グレンは内心哀れんだ。この若い元帥が実のところ非情になりきれない男であることをよく分かっていたからだ。
「まあ、なんだ。奴に対してお前さんがひとかたならぬ想いを抱いているっていうのは、俺も良く知っているつもりだ。だからって言うんじゃないが、ちょっと言わせてもらうとだな。奴には奴なりに思う所があってこんなことになったんだろうし、カイルっちにはカイルっちの思いがあるだろうし、こうやって目指す道が分かたれたっていうのも、運命って言やあ、運命だと俺は思う訳なんよ。だから、ここは仕方ないことだと諦めてだな」
「分かっていますよ」
その声に笑いが含まれている事に気付いて、ゲルシュ・グレンは横を歩く青年を見下ろした。
「分かって……た?」
熊のような風貌が見る間に柔らかくなっていく。
「はい。重々承知です」
「そっか、なら良かった……」
心底ほっとしている様子の中将に微笑み返しながら、カイルはこの気の優しい熊が、なぜ許可も得ず前線を離れたのかを理解していた。
(いち早く、シドの情報を私に教えるため)
彼は、彼らが親友であったことを知っている。だからこその気遣いだった。
「まあ、なんだな。いつかきっとお互い笑って肩を抱ける日が来ると思うしさ。だからあんま気に病まないで、素敵な未来を夢見てだな・・・」
まだまだゲルシュ・グレンの独り言は続きそうである。
指令本部室では、将校たちが慌しく動き回っていた。
そこにカイルとゲルシュ・グレンが入って行くと、一人の高級士官がこちらに近付いて来て敬礼した。
「ハウレン少将」
(なぜここに熊が?)と訝るような顔をしながらも、ハウレン少将はカイルに向かって
「先程、第5師団と敵軍が交戦し、村のひとつが壊滅、占拠されたとの報告が入りました
「あ~あ、ったく。ハンス大将も詰めがあめえんだよな」
隣でぶちぶち言っている中将を残して、カイルは本部室の中央に据えられている円卓へと近付いていき、そこに映し出される立体映像に見入った。
南部の村のひとつに敵軍の印が付けられている。
その地域一帯は、帝国軍が要衝と位置づけている場所である。
そこから一直線上に首都があり、その間には山岳などの障害もなく、容易に首都攻撃を窺える場所となっていた。
「さて、どうしたものかな、元帥閣下」
ひとしきり愚痴を言い終えたゲルシュ・グレンが横に立った。
カイルは映像を見つめたまま動かない。
そこから情報を引き出すように、一心に見つめ続けている。
ゲルシュ・グレンはそれを見守るようにして佇んでいた。
「グレン中将」
ややしてカイルが固い声で呼んだ。
「はいよ」
「中将の師団をこの地域に移動するのに、どれくらいの時間が必要ですか?」
「え?ああ、そうだな、早くて2日」
「半日でどうにかなりませんか?」
「半日?!」
う~んと考え込む中将を尻目に、カイルは傍らに控えていたハウレン少将に次の指示を与えている。
「ま、なんとかなっかな」
と軽い調子で言って、手をパンと打ち合わせたかと思うと、
「じゃあ、俺早速帰るわ」
と言う言葉を残して、さっそうと本部室を出て行った。
「相変わらず神出鬼没な方ですねえ」
カイルが再び映像に目を移した時、ハウレン少将が感心しているというよりはむしろ、呆れたように呟くのが聞こえた。
「だが、あの人ならやってくれるだろう」
普段は茶目っ気たっぷりのお調子者で通っているゲルシュ・グレンも、戦場に立つと、人が変わったように有能な指揮官となる。
人としても、軍人としても、カイルがもっとも信頼を置いている人物なのだ。
「さて、半日でグレン中将の移動が完了し、敵軍と対峙する。そして第1師団が海上より展開。第6師団が右翼より敵側面を攻撃。第2・第4師団は引き続き東西の敵軍と交戦。」
机上では、これで中央突破を目論む敵の包囲網が完了する。
あくまでも机上では。
『シド・フォーンが旗艦に乗りこんだという話だ』
「ふー」
カイルは珍しく溜息をつき、皮製の椅子に倒れこむように座った。
「お疲れですね、閣下」
そう言われ、部下の前で疲労の色を見せてしまったことに苦笑した。
「いや、大丈夫だ」
「あまりお休みではいらっしゃらないのでしょう。閣下にもしものことがあれば……」
帝国は終わりです。
少将の心の声が聞こえたような気がした。
けれどカイルは頭を振って立ち上がる。
「心配は無用だ。休んでいられる時ではない。これから神殿に向かう。何かあればすぐに連絡するように」
「はっ」
不満そうなハウレン少将を安心させるように微笑んで、カイルは指令本部室をあとにした。
策が功を奏するか分かるまで、今少しの時間が必要だった。
軍指令本部は、皇城から少し離れた場所にある、そこまでは車での移動となる。
車窓から見る戦時中の首都は、どこか閑散として見える。
平時に比べ、車通りは少なく、行き交う人の表情も曇って見えた。
今年に入って年中行事である国を挙げての祭りも中止され、ますます賑やかさが失われつつあるようだった。
「早く終わらせなければ……」
車はゆっくりと、石造りの本部へと入って行った。
その車止まりで、彼の到着を心待ちにしている者がいた。
その姿は遠くからでもよく分かる程の巨漢で、まるで『熊』を思わせる。
無精髭を生やし、とても異性受けするとは思えない風貌の彼は、しかし同姓にはすこぶる人気が高かった。齢25。
カイルよりも3つ年上なだけの彼は、その姿から10は上に見られるが、彼自身はまったく気にしていないらしい。
指摘されれば「これが俺のスタイルだし!」とかえって胸を張るという、愛すべき人物ではあった。
中将である彼は一個師団を指揮しており、今現在は前線にいるはずだった。
それがどうしてここにいるのか。
カイルは車が停車するとすぐに自らドアを開け飛び降り、彼の元へ足早に近付いた。
「中将、何か変わったことでも?」
足早に近づいてくる年下の若き元帥に、熊の中将は微笑みかけた。
そして「グハハハ」と笑いながら片腕を伸ばし、ぐわしっとカイルの肩を抱いたのだ。
「ちゅ、中将?」
熊の中将の難点は、スキンシップが濃厚なところ。
勢いあまって首を絞められ、卒倒寸前に陥った将校もいるらしい。
「グレン中将!お手を離してください!」
カイルも常日頃から鍛錬してはいるものの、いかんせん体格差がありすぎた。
「お?そうか、すまん、すまん」
悪びれる様子もなく、熊の中将、もといゲルシュ・グレン中将は腕を解くと、また豪快に口を開けて笑っている。
「いったい、どうされたと言うのです?」
カイルはそんな中将を尻目に表情を引き締め直すと、建物の入り口を目指して歩き始めたするとゲルシュ・グレンはぴたりと口をつぐんだかと思うと、上司の背に向かって囁くように言った。
「シド・フォーンに動きがある」
カイルの胸がドクリと波打った。
けれどゆっくりと振り向いたカイルの顔には、何の表情も浮かんではいなかった。
「ガルーダの旗艦に奴が乗り込んだと言う話だ」
「……その話をどこから?」
まだ軍の諜報部も掴んでいない事を。
「まあ、俺にもいろいろツテがあるわけよ」
ゲルシュ・グレンは事も無げに言って、今度はカイルと肩を並べて歩き始めた。
「奴は本気だって訳だ」
本気でこの帝国をぶっ潰そうと考えている。
苦虫を噛み潰したような顔でそう言うゲルシュ・グレンの横顔をちらりと見やってから、
「いずれにせよ、我々が選ぶ道はひとつしかありません」
と、カイルは言い切った。
「まあ、そうなんだけど、さ」
納得する素振りを見せながら、
「カイルっちはなんでも真剣に考え過ぎるから心配なんだ」
と、口の中でごにょごにょ言い続けているのを聞き流しながら、カイルは(それでも心のどこかで信じていた)と思う。
(私は、それでも友だと思っていたかったのだ……)
胸にぽっかりと空いた穴がある。親友である男が、こうも鮮やかに過去を切り捨てたことに対する哀愁の念が、その穴に満ちていく。
それでいっぱいになっていく穴を、カイルはまるで他人事のようにじっと見つめていた。
「おい、カイル!カイルっちってばっ!!」
ハッとして顔を上げると、ゲルシュ・グレンの心配そうな顔がそこにあった。
その風貌に似合わぬ、澄んだ黒い瞳が、じっとカイルを捕らえている。
「グレン中将……」
いつも沈着としている青年の、思わぬ動揺を目にして、ゲルシュ・グレンは内心哀れんだ。この若い元帥が実のところ非情になりきれない男であることをよく分かっていたからだ。
「まあ、なんだ。奴に対してお前さんがひとかたならぬ想いを抱いているっていうのは、俺も良く知っているつもりだ。だからって言うんじゃないが、ちょっと言わせてもらうとだな。奴には奴なりに思う所があってこんなことになったんだろうし、カイルっちにはカイルっちの思いがあるだろうし、こうやって目指す道が分かたれたっていうのも、運命って言やあ、運命だと俺は思う訳なんよ。だから、ここは仕方ないことだと諦めてだな」
「分かっていますよ」
その声に笑いが含まれている事に気付いて、ゲルシュ・グレンは横を歩く青年を見下ろした。
「分かって……た?」
熊のような風貌が見る間に柔らかくなっていく。
「はい。重々承知です」
「そっか、なら良かった……」
心底ほっとしている様子の中将に微笑み返しながら、カイルはこの気の優しい熊が、なぜ許可も得ず前線を離れたのかを理解していた。
(いち早く、シドの情報を私に教えるため)
彼は、彼らが親友であったことを知っている。だからこその気遣いだった。
「まあ、なんだな。いつかきっとお互い笑って肩を抱ける日が来ると思うしさ。だからあんま気に病まないで、素敵な未来を夢見てだな・・・」
まだまだゲルシュ・グレンの独り言は続きそうである。
指令本部室では、将校たちが慌しく動き回っていた。
そこにカイルとゲルシュ・グレンが入って行くと、一人の高級士官がこちらに近付いて来て敬礼した。
「ハウレン少将」
(なぜここに熊が?)と訝るような顔をしながらも、ハウレン少将はカイルに向かって
「先程、第5師団と敵軍が交戦し、村のひとつが壊滅、占拠されたとの報告が入りました
「あ~あ、ったく。ハンス大将も詰めがあめえんだよな」
隣でぶちぶち言っている中将を残して、カイルは本部室の中央に据えられている円卓へと近付いていき、そこに映し出される立体映像に見入った。
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そこから一直線上に首都があり、その間には山岳などの障害もなく、容易に首都攻撃を窺える場所となっていた。
「さて、どうしたものかな、元帥閣下」
ひとしきり愚痴を言い終えたゲルシュ・グレンが横に立った。
カイルは映像を見つめたまま動かない。
そこから情報を引き出すように、一心に見つめ続けている。
ゲルシュ・グレンはそれを見守るようにして佇んでいた。
「グレン中将」
ややしてカイルが固い声で呼んだ。
「はいよ」
「中将の師団をこの地域に移動するのに、どれくらいの時間が必要ですか?」
「え?ああ、そうだな、早くて2日」
「半日でどうにかなりませんか?」
「半日?!」
う~んと考え込む中将を尻目に、カイルは傍らに控えていたハウレン少将に次の指示を与えている。
「ま、なんとかなっかな」
と軽い調子で言って、手をパンと打ち合わせたかと思うと、
「じゃあ、俺早速帰るわ」
と言う言葉を残して、さっそうと本部室を出て行った。
「相変わらず神出鬼没な方ですねえ」
カイルが再び映像に目を移した時、ハウレン少将が感心しているというよりはむしろ、呆れたように呟くのが聞こえた。
「だが、あの人ならやってくれるだろう」
普段は茶目っ気たっぷりのお調子者で通っているゲルシュ・グレンも、戦場に立つと、人が変わったように有能な指揮官となる。
人としても、軍人としても、カイルがもっとも信頼を置いている人物なのだ。
「さて、半日でグレン中将の移動が完了し、敵軍と対峙する。そして第1師団が海上より展開。第6師団が右翼より敵側面を攻撃。第2・第4師団は引き続き東西の敵軍と交戦。」
机上では、これで中央突破を目論む敵の包囲網が完了する。
あくまでも机上では。
『シド・フォーンが旗艦に乗りこんだという話だ』
「ふー」
カイルは珍しく溜息をつき、皮製の椅子に倒れこむように座った。
「お疲れですね、閣下」
そう言われ、部下の前で疲労の色を見せてしまったことに苦笑した。
「いや、大丈夫だ」
「あまりお休みではいらっしゃらないのでしょう。閣下にもしものことがあれば……」
帝国は終わりです。
少将の心の声が聞こえたような気がした。
けれどカイルは頭を振って立ち上がる。
「心配は無用だ。休んでいられる時ではない。これから神殿に向かう。何かあればすぐに連絡するように」
「はっ」
不満そうなハウレン少将を安心させるように微笑んで、カイルは指令本部室をあとにした。
策が功を奏するか分かるまで、今少しの時間が必要だった。
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