アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

690 特化のススメ

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 「アレクの兄貴、もう最強っすよ。誰も兄貴にゃ逆らわないっす!」

 「フレッド言い方!それじゃまるでボス猿みたいじゃんか」

 「あーいいっすねボス猿!なんかカッケーっす!」

 「カッコよくねーっうの!」



 新貴族組?あの人たちと闘りあったあとは多人数との模擬戦はなかったよ。ていうか、少人数の模擬戦もなかったんだ。残念!

 狂犬団に入団した学園生は全体の9割ほど。新貴族組と同じで、1割は参加してくれなかったよ。帝都学園と同じだね。

 でもこれからは少しずつでも参加してくれたらいいかなって思ってるよ。



―――――――――――



 「アレク君あのカチューシャ、ものすごく売れてるわよ!」

 「へぇーソウナンダ」

 「なによ?その気のない返事は」

 「だってサンデーさん。俺おしゃれにあんまり‥‥ってかぜんぜん興味ないし」

 「なによそれ!まあたしかにアレク君は‥‥いつも同じ制服着てるよね‥‥(腕のあたりが汚れるし)」

 「当然じゃん!だって楽なんだから」

 「‥‥」

 まだ元気なころ、寒い冬は制服の中にジャージ着て寝てたし、できるなら今でも風呂以外一日中制服かジャージ着てたいくらいだよ!だって楽でいいじゃん。

 「あのカチューシャ、中原中の女の子からの引き合いもすごいのよ?なのにアレク君ったら‥‥」

 「あはははは‥‥よかったデスネー」

 学園10傑の女子に作ったティアラ型カチューシャの廉価版を作ってみたんだ。学生がお小遣いでも買えるような値段のカチューシャを。



 アレク袋用の養殖スライム池。アレク袋は安定して売れまくってるから、アレク工房の養殖スライム池は今やヴィヨルドだけじゃなくって王国内の各地にあるよ。

 うちの養殖池の子たちはどこぞのスライムみたいに主役級にはなれないけど、役に立ちまくってくれてる件なんだ。

 袋を作ったあとのスライムの「端切れ」。これが大量にでてたからね。なんとか再利用できないかなって考えたんだ。だって廃棄じゃもったいないもんね。

 アレク袋(スライム袋)は俺とサミュエル学園長の2人だけは、天然ビニール袋に天然プラスチックと呼んでるよ。

 でね、アレク袋の残り(端切れ)を溶かし固めて、カチューシャのモール(金型)を作って中に入れてみたんだ。
 天然プラスチックだから色も簡単につけられたしね。

 で、販売してみたら‥‥‥‥売れるわ売れるわ、すごいことになってるらしいんだよね。

 そうだ!天然プラスチックだからプラモデルや幼児用おままごとセットを作っても面白いかも!




 サンデー商会とアレク商会(アレク工房)が合併したサンアレ商会。

 共同代表のサンデーさんは今まで以上に多忙を極めているんだ。
 
 サンアレ商会の本店をヴィヨルドの領都ヴィンランドに置いてくれてるからこれまで以上にサンデーさんと会える機会が増えた俺はうれしい限りだよ。

 そうそうサンデーさんからの信頼も厚い、シルカさんもこっちにきてくれるようなんだ。

 「あのねサンデーさん!ファンシーショップを作ればいいんだよ」

 「ふぁんしぃしょっぷ?」

 「そうファンシーショップだよ!」

 未成年者に特化したお店。うん、これはまだ世界中のどこにもない!
 


―――――――――――



 「アレク君。先代様からご依頼があったわよ」

 「ん?なにサンデーさん?」

 「あのね、領都内の治安維持のために夜間、引退した冒険者や騎士団員が誰でもできる屋台を何か考えてくれないかって」

 「なるほどねー。先代様はいいことを考えたよね」

 「そうね」

 たしかにな。領都ヴィンランドといえど、夜間は成人男性のひとり歩きは危険だもん。まして女性や子どもの夜歩きなんてダメなのは言うまでもないし。

 治安維持にもなって社会の底辺から経済が回れば、ヴィヨルド領はますます強国になるよな。

 「でもさ、俺なんかのガキの意見にも耳を傾けるヴィヨルドはいつもすごいよねサンデーさん」

 「そうねアレク君」

 「ヴィヨルドはご領主様を始め、なにより領として気概もあるし、まとまってるんだよね」

 「ええ」

 「自分たちの利益しか考えてないどったかとは大違いだよ」

 「フフフ。そうそうアレク君、うちのサンアレ商会がヴィヨルド領の筆頭御用商会になったわよ」

 「えーーー!?」

 「信じられる?」

 「うううん。信じられないよ」

 「ご領主様も含めて、それだけアレク君に期待しているのよね」

 「あははは‥‥」

 俺はね、仲間と楽しく学園生活を送れたらいいんだよ。たまにはサンデーさんの笑顔を見れたり、メロンちゃんやモモちゃんたち子どもたちと楽しく過ごせる生活ができたらそれで十分幸せなんだよ。

 (アレク君‥‥また声が漏れてるわよ。フフフ)

 「じゃあ考えてみるよ、サンデーさん」

 「ええ。お願いね」

 「それとね、アレク君は普通に学園生活を楽しんでくれたらいいんだからね。商会のことは私がきっちりやっておくから」

 「アレク本当にありがたいわよね。サンデーちゃんに感謝しなさいよ」

 「おっしゃるとおりですシルフィさん」

 サンデーさんの肩に座ったシルフィがサンデーさんに涼やかな風を送ってるよ。

 「あら涼しい!シルフィさんね。シルフィさん、いつもありがとうね」

 シルフィが見えなくてもサンデーさんにはシルフィがわかるみたい。

 「もうすぐシルカもきてくれるから、そうしたら私ももっと動きが取りやすくなるわ」

 「楽しみだね!」

 「ええ!」


 最近サンデーさんと一緒にいるときは、シルフィはサンデーさんの肩に座ったりして、サンデーさんの髪に風を送ったりしてるんだよね。シルフィ的にはサンデーさんを気に入ってるみたい。


―――――――――――


 治安維持にもなる屋台について考えてみたんだ。

 屋台は基本1人親方で賄えるから、元の世界の屋台スタイルを踏襲したものにしたんだ。

 俺の考案したリアカーをベースに、煮炊きできる厨房スペースとちょっとしてカウンターと折りたたみ式テーブル、椅子等。

 安価な食事やお酒が飲める屋台を作るんだ。

 店主は元冒険者や元騎士団員にやってもらうから元々腕っぷしも立つ。さらに何軒かの屋台が集まって屋台村を作れば野盗だって敬遠するはずなんだ。
 だから、経済の下支えもできるし、最終的に領都ヴィンランドの治安維持にも繋がるんだよ。

 このアイデアに、あとは商業ギルド長のミョクマルさんに参画してもらえば‥‥。

 「あんたまた言いっぱなしにするつもりでしょ」

 「し,失礼だなシルフィ!そ、そのとおりだよ!」

 「あんた‥‥」









 「それでアレク君、いい案は見つかったのかい?」

 「うん。これならミョクマルも納得してくれるんじゃないかな」

 「ハッハッハッハ。また奇想天外な発想で驚かせてくれるのかい!」

 「あのね屋台の小さな組合、ギルドを作るんだよ」

 「「ギルド!?」」

 「そうギルド」





























 「よいか。良くも悪くも歴史は繰り返すんじゃよ」

 昔いろいろなことを俺に教えてくれた爺ちゃんは、本当になんでもよく知っていたんだ。

 爺ちゃん曰く、中世ヨーロッパの封建社会からの脱却はギルドに寄与するところが大きいって言うんだよね。
 
 もちろん組合が自由な商いを束縛する側面は否定できないけど、まだそこまでには至っていないこの世界の人々の考え方や経済を動かすことをまずは最優先に考えなきゃね。

 「じゃあ説明するよ」

 マジックバック(極小)から屋台フィギュアや焼き鳥フィギュア、串ほかもろもろを出して、見てわかるプレゼンを始めたんだ。



―――――――――――


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