アレク・プランタン

かえるまる

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第2章 幼年編

670 半官半民

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 「これはたしかに‥‥便利なものだな」

 「若殿、これで時間の節約もかなりのものとなりますな」

 「そうだな」

 「大殿、都民の利便性も上がりますな」

 「うむ」

 「電話に領都内を巡回する馬車。ますます領都の、ひいては領全体の繁栄につながりますな」

 「「そうだな(うむ)」」

 帝国から帰って以来、ヴィヨルド領の先代様、ご領主様、政事を司る人たちと俺との関係はますます密接になっていったんだ。

 なにより、未成年者だからといってガキをガキと鼻から馬鹿にするんじゃなくて、対等の人として相手をしてくれているのは、帝国と変わらずだったから。

 てかあの件以降、腐りきったヴィンサンダー領より愛着もあるヴィヨルドの、より良くなる経営に参画している心地よさが俺にはあったんだ。


 領都ヴィンランドにも糸電話とアラートシステムを構築したんだ。アラートシステムとはいっても土魔法で発現したスピーカーの音声と鐘の音くらいのものだけどね。

 あと巡回バス(馬車)は帝国と同じスタイル。帝都ほど大きくないけど、バスがあれば領都内の人たちの移動も楽になるし、なにより犯罪は激減するからね。

 結果、経済はますます好転していくんだ。



 そんなこともあって、モーリスと俺の仲はますますよくなった。互いが親友と認め、さらに良いことも悪いことも言い合える仲になってるんだ。

 「じゃあなアレク。俺は出かけてくるからな」

 女装したモーリスが恒例の市中散歩に行こうとしてたんだ。

 「モーリス、お前ますます筋肉質になったからスカートでもバレるぞ?お前の変態具合が」

 「うるさい!お前の幼児の腹の匂いフェチよりマシだ!」

 「「いやお前だ(お前だ)」」



























 「どっちも変態だよ!」









 「「くっ‥‥セバスめ!」」

 「そうだ!帝国のミチーコ先輩に手紙送っといてやるよ」

 「ミチーコ先輩?」

 「ああ、この制服もデザインした人だよ」

 「へぇーそりやうれしいな。さすが親友アレクだ」

 「だろ。野郎が変態ってバレないスカートかなんかないか?って聞いといてやるよ」

 「アレク言い方!あとな、気持ちはめちゃくちゃ嬉しいがな‥‥お前の字、そのミチーコ先輩は読めるのかよ?」

 「へへーん。余裕でみんな読めるわ!」

 「「なぜ?ゴブリンなのに?」」

 「あのな、帝都学園の狂犬団は知られたくない手紙を送るとき、内内の暗号を作ったんだよ」

 「「暗号!?」」

 「でな、その暗号には俺の字を使ってるんだよ。たしか偉い人たちも使ってるって言ってたよ」

 「「‥‥」」

 「だから帝都狂犬団の幹部はみんな俺の字が読めるぞ」






























 「アレク、お前‥‥それ、うれしいことなのか?」

 「うれしいわけ‥‥‥‥ないだろ。うっ‥‥」

 「モーリス様、あまり変態アレクを虐めるのもどうかと‥‥」

 「言い方!セバスその言い方!」


―――――――――――――――


 「アレク君こないだぶりね」

 「うんサンデーさん!」

 今日はいよいよ田植えをするんだ。

 田んぼはサンデーさんがヴィンランド郊外に調達してくれてたんだ。
 コーカス村といって、村民100人ほどの人族主体の村の麦畑。

 コーカス村は、帝都から距離も近く、立ち位置としてヴィンサンダー領都郊外の、のんのん村みたいなものかな。

 麦と稲の2毛作。収穫に応じて年々広くできる用地をめちゃくちゃ格安に借りれたんだ。

 縁なんだよね。2年1組ヨーク君の父親がヴィンランドの農業関連の主席役人さんだったことも幸いしたんだ。

 結果として、稲作はヴィヨルド領とサンデー商会(アレク商会)で行う半官半民の事業になったんだ。

 だからね、サンデー商会がコーカス村民100人をまるごと抱えることになったんだ。給料制でね。
 サンデーさんはアレク商会だって言ってたけど、毎度俺は何もしてないからサンデー商会だよ。

 わいわい  わいわい
 ワイワイ  ワイワイ

 収穫の終えた麦畑に水を張って、今からみんなで田植えをしたんだ。

 このまま順調にいけば、5年もすれば領民全員の食もかなり安定するはずなんだ。

 「アレク君、このあと少し時間はある?」

 「もちろんだよ!」

 サンデーさんと話すのは俺大好きだからね。他人にはあまり興味を示さないシルフィもサンデーさんは好きみたいだし。

 
――――――――――――――

 【  お詫び  】

 中途半端でごめんなさいm(_ _)m

 実はスマホを水没してしまいました(爆死)
 なので、記憶を頼りに書き直していますので‥‥
 しばらく10数話分が短くなります。すみません(陳謝)
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