不思議な巡り合わせ

romi

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結婚騒動後編

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カウンター席に座り隣どうし、距離が妙に近い。近すぎる。
「お嫁さんにして」
ひとみがそういうと彼がハンッとした態度で、
「お前と結婚しなくても他にいくらでもいるよ」
という。そんな話をしながら、彼はひとみの異常に近くに座っていた。あきらかに嫌いとかこわいとか気持ち悪いではなく、好意を感じる距離感だった。
気がつくとじっとこちらを見ている。本当に大きな目だなあ、きれいだとひとみはおもう。
そして苦悩しているかのように、
「だって、、俺とお前、趣味もあわないし」
と、うつむきテーブルにつっぷしている。
しかし嫌だったらこういう話し方になるか!?むしろ付き合うことを真剣に考えないとそういう言い方にならない気がするが?とこれも後からひとみはおもった。
「がまんして付き合うか」
彼はそんなこともいった。
ひとみはどゆこと!?と笑ったがかなりこれって私のこと好きということじゃない?とおもう。
そんなこんなでもぐもぐ二人で食べて、あっという間に時間が過ぎ、彼はひとみを駅まで送ってくれた。
気持ち悪いとかいわないでよ!とプンプンしていると、彼は、
「突然来るほうが微妙な気がするけど、、」
本当にその通りだ。しかしラインブロックされていたので仕方なかった。
しかしやさしい、妙にやさしいなあという感覚でひとみは電車に乗り、自宅近くの最寄駅に帰ってきた。

最寄駅か、家にかえってからなのか、どっちだったか、ひとみは余韻にうっとり浸りながらも友達に電話していた。
「すっごいですね、典型的な好き避けだ!よかったですねえ~」と物凄い喜んでいる。彼女とは占い師先生同士で知り合ったので、彼女はなぜかずっと敬語だ。そして彼とのことを好き避けだと決めつけている。
そうかな、両思いかなあと話すひとみに、その友達は、
「好き避けなら、物凄くひとみさんのこと、好きなはずですよ!!」
などと話していてひとみはよろこんでいる。
これでいいのかよくわからないが、確かにやさしすぎじゃないかというのは感じていた。

後日、ホワイトデーにもチョコのお返しを期待して彼の家に行ったが、チャイムを何回ならしてもでない。玄関先のブザーを押してもドンドンたたいてもでない。常識的で近所を気にする彼がこれで居留守とは考えにくいし、寒くて大変だったので、ひとみはこれ以降、彼の家に行くことはなかった。ラインはブロックされたままだし、拒否された感覚はぬぐえなく、その後ひとみは気持ちを押し殺し彼氏を作るのだが。
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