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サラ・ローゼトーテ
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迷宮層主を倒したリルファナ・ダンパは6層まで降りていた。公道という少し整備された-といってもモンスターは普通にわんさかでるが-の橋に差し掛かったが、見事に橋は途切れていた。
「うわあ…めんどくさいなあ…まっ私には関係ないけど!」
「自慢になんねーぞ、ティルナ~冒険者はこれぐらい余裕だぞー身体強化だぞー風妖精だけの特権じゃねーぞー竜人でも行けるぞー」
「わかってる!ちねちねうるさあなぁ」
などいいながら軽々と飛び越えていく。余裕で。そこらの小川を飛び越えるかのように。
橋があるのだからもちろんそこは地面からかなり離れている。地面にいる人なぞまるで米粒のようだ。
だが、目のいい亜人たちは地面にいる人影を目敏く見つけた。
「誰かいますね…それに戦っている様です。」
「あー相手はあれだ、えーと…」
「うわ、馬鹿だ。さすが脳筋…」
「黙れ!」
「あれはレアモンスターじゃなかったっけ…?それも馬鹿みたいに強い。」
「俺は馬鹿じゃねえ?!」
「別に、ギンダルの事言ったんじゃない」
「あ、はい」
「あれはバーンスネークだ。口から爆発する玉を吐きやがる。」
キルアご名答。
「ねえ、誰ー?!誰が戦ってるのー?」
「おい、押すな?!俺が落ちるっ?!」
「キルア、支えなさい。女子に怪我をさせるつもりですか」
「黙れ、セシル!力が強いのは認めるが-」
「「「「「あっ」」」」」
見事にバランスが崩れ、全員もろとも落ちる。
「ほらぁー!キルアが支えなさいからーっ!」
「ちっ」
それでも全員着地姿勢をとる。
数10メートル落下…まずリルファナがすとんっと着地。続いてギンダルとキルアもすとんっと-いや、べちゃっと潰れた。
「ふう。いい下敷きがありました。ね、ティルナ?」
「ほんと!汚れなくてよかったー!」
セシルとティルナはそれぞれキルアとギンダルを踏み潰し、着地したのだ。
顔面から打ち付けられた2人はだらだら鼻血を垂らしながら起き上がった。
「おいセシル。お前、わざとだよな?」
「そんなことありません。私が着地使用としたところにいるのが悪いのです。それよりその鼻血をどうにかしなさい。見苦しい」
「………」
「ティルナ、てめぇ羽あんだろ、羽!!なんのためにある、飾りかそれは、え?」
「てへぺろっ☆」
「しねええええぇ!!」
「わかった、わかったから。みんな落ち着こう?さっきの子の近くだよ?」
幸運にもさっきの戦ってる子が見える所だった。
戦っているのは、小柄な少女だった。長い黒髪をポニーテールにして、揺らしている。
彼女は得物を特に構えることなく、バーンスネークに向かっていく。
「え、あの子ばり初心者じゃね?防具つけてねぇよ?」
「私以外の誰も付けていませんけどね、このダンパも」
「リルファナ、どうするー?助けるー?私は防具重いから付けない派なの」
「いや、このまま、様子を見てみよう。得物が、初心者の物じゃない。あ、俺もティルナと同じ」
彼女の得物は初心者が持てたもんではない鋭い輝きを放っている双剣。
バーンスネークの尾での攻撃をひらりひらりとかわしていく。
「【……よ燃…よ燃えよ…】」
風に乗って耳に届く微かな声。
「並行詠唱?!」
ティルナが思わず叫ぶ。
メンバーに見つめられ、はにかむように苦笑いする。
「…並行詠唱って凄い難しいの。私でもせいぜい簡単な初期魔法だけ。あ、セシルはエンチャントの並行詠唱できて凄いんだよ?」
セシル軽く破顔。
「けど、あの子、とてつもない高度魔法を並行詠唱してる気がする…」
ちらっと彼女の方を見やる。今も攻撃を華麗にかわしている。
「【不死鳥よ、君の力を私に貸してほしい。燃え盛る業火、美しい翼、輝く魂を。君と共にある者、我が名はローゼトーテ-】」
今度こそはっきりと詠唱が聞こえた。セシルとティルナが使う、願う魔法ではなく、問いかける魔法。
「…聞いたことがありません。こんな魔法…」
セシルの顔に珍しく驚愕の表情が浮かんでいる。
攻撃をかわしていた少女は、たんっと地を蹴り、バーンスネークと距離をとった。
「【響き渡れ-不死鳥の賛美歌】」
ズバアッ!と少女の足下から紅蓮の火柱が立ち上った。そして響く微かな鳥の鳴き声。
火柱が消え去ると、リルファナたちは目を見張った。
少女の黒髪は先程の火柱と同じ紅蓮に。背中からは赤を基調とした7色の翼。彼女を取り巻くオーラが一変する。
と、バーンスネークが頭をもたげた。爆発の予兆だ。
「おいっ?!逃げろっ!」
ギンダルが焦って声を上げる。
あれを食らえば最強な冒険者でもひとたまりもないのだ。
だが、少女はまっすぐバーンスネークへと走っていく。
バーンスネークが吐き出した玉は少女へとぶつかり、爆発した。黒煙が立ち上る。
「…ッ」
ギンダルがぎりっと歯を噛み締める。悔しさが横顔に滲む。リルファナはギンダルの肩に手をおこうとした-が、
「ブレイズ・エレメント!」
「?!」
突如響く少女の声。ざっ、と黒煙を払い除けるのは少女の翼。翼を盾にして爆発を凌いだのだ。しかし、その翼には傷一つ付いていない。
さらに、少女の横に浮かぶの紅蓮の炎。
「詠唱なしで作った?!」
ティルナが悲鳴のような声でいう。
普通、魔法は詠唱しなくては出来ないもの…のはずだ。
少女はさらに言葉を紡ぐ。
「ソード・チャージ!」
炎が双剣に取り込まれ、紅蓮の輝きを纏う。
少女は翼を広げ、はためかせた。軽々と宙に浮かぶ。
「せやあッ!!」
素早くバーンスネークの真上に来た少女は落下しながら鋭い斬撃を放つ。
「シャアアアッ!!!!」
バーンスネークは次々に自分の身体を切り裂いていく人間を捕まえようとするも、少女は器用に飛び回り、致命的な傷跡を刻んでいく。
「ーッ?!」
バーンスネークは身を強張らせ、次にはその身を影と散らした。
きんっと音を立て得物を玉に戻した少女の髪はいつの間にか黒髪に戻っていた。傍らには揺らめく陽炎の様なものが。
リルファナ・ダンパは絶句して少女を見つめるのだった。
「やはり強くなったのう!我も嬉しいぞ!」
「あはは、ありがとう。けど、やっぱ婆様のお陰だって…今度あったら言っておいてよ~」
「そういう事は直接言うものだぞ!我が叱られるわ!」
「ご、ごめん…」
「うむ。それより、随分前からお主を見てる輩がおるぞ?ほれ、あそこじゃ。多分、お主の望みの、ほら、“だんぱ”なるものじゃ」
「えっ?」
少女は突然くるりとこっちを向いた。驚いたように目を見開く。
と、にまあっと満面の笑みを浮かべる。
あっと思った頃には少女はポニーテールを振り回し、全速力で走ってきた。
僕は銀髪の美しい狼人に、向かって走った。ほとんど突進するような勢いで突っ込んでしまったから押し倒してしまったようになったが。
少女は俺を押し倒しながら、それでも目をきらきらと輝かせている。あ、何とか受身は取れた。無事着地。
少女は-
叫んだ。
僕は-
「ダンパのメンバーにして下さいッ!!!!」
「うわあ…めんどくさいなあ…まっ私には関係ないけど!」
「自慢になんねーぞ、ティルナ~冒険者はこれぐらい余裕だぞー身体強化だぞー風妖精だけの特権じゃねーぞー竜人でも行けるぞー」
「わかってる!ちねちねうるさあなぁ」
などいいながら軽々と飛び越えていく。余裕で。そこらの小川を飛び越えるかのように。
橋があるのだからもちろんそこは地面からかなり離れている。地面にいる人なぞまるで米粒のようだ。
だが、目のいい亜人たちは地面にいる人影を目敏く見つけた。
「誰かいますね…それに戦っている様です。」
「あー相手はあれだ、えーと…」
「うわ、馬鹿だ。さすが脳筋…」
「黙れ!」
「あれはレアモンスターじゃなかったっけ…?それも馬鹿みたいに強い。」
「俺は馬鹿じゃねえ?!」
「別に、ギンダルの事言ったんじゃない」
「あ、はい」
「あれはバーンスネークだ。口から爆発する玉を吐きやがる。」
キルアご名答。
「ねえ、誰ー?!誰が戦ってるのー?」
「おい、押すな?!俺が落ちるっ?!」
「キルア、支えなさい。女子に怪我をさせるつもりですか」
「黙れ、セシル!力が強いのは認めるが-」
「「「「「あっ」」」」」
見事にバランスが崩れ、全員もろとも落ちる。
「ほらぁー!キルアが支えなさいからーっ!」
「ちっ」
それでも全員着地姿勢をとる。
数10メートル落下…まずリルファナがすとんっと着地。続いてギンダルとキルアもすとんっと-いや、べちゃっと潰れた。
「ふう。いい下敷きがありました。ね、ティルナ?」
「ほんと!汚れなくてよかったー!」
セシルとティルナはそれぞれキルアとギンダルを踏み潰し、着地したのだ。
顔面から打ち付けられた2人はだらだら鼻血を垂らしながら起き上がった。
「おいセシル。お前、わざとだよな?」
「そんなことありません。私が着地使用としたところにいるのが悪いのです。それよりその鼻血をどうにかしなさい。見苦しい」
「………」
「ティルナ、てめぇ羽あんだろ、羽!!なんのためにある、飾りかそれは、え?」
「てへぺろっ☆」
「しねええええぇ!!」
「わかった、わかったから。みんな落ち着こう?さっきの子の近くだよ?」
幸運にもさっきの戦ってる子が見える所だった。
戦っているのは、小柄な少女だった。長い黒髪をポニーテールにして、揺らしている。
彼女は得物を特に構えることなく、バーンスネークに向かっていく。
「え、あの子ばり初心者じゃね?防具つけてねぇよ?」
「私以外の誰も付けていませんけどね、このダンパも」
「リルファナ、どうするー?助けるー?私は防具重いから付けない派なの」
「いや、このまま、様子を見てみよう。得物が、初心者の物じゃない。あ、俺もティルナと同じ」
彼女の得物は初心者が持てたもんではない鋭い輝きを放っている双剣。
バーンスネークの尾での攻撃をひらりひらりとかわしていく。
「【……よ燃…よ燃えよ…】」
風に乗って耳に届く微かな声。
「並行詠唱?!」
ティルナが思わず叫ぶ。
メンバーに見つめられ、はにかむように苦笑いする。
「…並行詠唱って凄い難しいの。私でもせいぜい簡単な初期魔法だけ。あ、セシルはエンチャントの並行詠唱できて凄いんだよ?」
セシル軽く破顔。
「けど、あの子、とてつもない高度魔法を並行詠唱してる気がする…」
ちらっと彼女の方を見やる。今も攻撃を華麗にかわしている。
「【不死鳥よ、君の力を私に貸してほしい。燃え盛る業火、美しい翼、輝く魂を。君と共にある者、我が名はローゼトーテ-】」
今度こそはっきりと詠唱が聞こえた。セシルとティルナが使う、願う魔法ではなく、問いかける魔法。
「…聞いたことがありません。こんな魔法…」
セシルの顔に珍しく驚愕の表情が浮かんでいる。
攻撃をかわしていた少女は、たんっと地を蹴り、バーンスネークと距離をとった。
「【響き渡れ-不死鳥の賛美歌】」
ズバアッ!と少女の足下から紅蓮の火柱が立ち上った。そして響く微かな鳥の鳴き声。
火柱が消え去ると、リルファナたちは目を見張った。
少女の黒髪は先程の火柱と同じ紅蓮に。背中からは赤を基調とした7色の翼。彼女を取り巻くオーラが一変する。
と、バーンスネークが頭をもたげた。爆発の予兆だ。
「おいっ?!逃げろっ!」
ギンダルが焦って声を上げる。
あれを食らえば最強な冒険者でもひとたまりもないのだ。
だが、少女はまっすぐバーンスネークへと走っていく。
バーンスネークが吐き出した玉は少女へとぶつかり、爆発した。黒煙が立ち上る。
「…ッ」
ギンダルがぎりっと歯を噛み締める。悔しさが横顔に滲む。リルファナはギンダルの肩に手をおこうとした-が、
「ブレイズ・エレメント!」
「?!」
突如響く少女の声。ざっ、と黒煙を払い除けるのは少女の翼。翼を盾にして爆発を凌いだのだ。しかし、その翼には傷一つ付いていない。
さらに、少女の横に浮かぶの紅蓮の炎。
「詠唱なしで作った?!」
ティルナが悲鳴のような声でいう。
普通、魔法は詠唱しなくては出来ないもの…のはずだ。
少女はさらに言葉を紡ぐ。
「ソード・チャージ!」
炎が双剣に取り込まれ、紅蓮の輝きを纏う。
少女は翼を広げ、はためかせた。軽々と宙に浮かぶ。
「せやあッ!!」
素早くバーンスネークの真上に来た少女は落下しながら鋭い斬撃を放つ。
「シャアアアッ!!!!」
バーンスネークは次々に自分の身体を切り裂いていく人間を捕まえようとするも、少女は器用に飛び回り、致命的な傷跡を刻んでいく。
「ーッ?!」
バーンスネークは身を強張らせ、次にはその身を影と散らした。
きんっと音を立て得物を玉に戻した少女の髪はいつの間にか黒髪に戻っていた。傍らには揺らめく陽炎の様なものが。
リルファナ・ダンパは絶句して少女を見つめるのだった。
「やはり強くなったのう!我も嬉しいぞ!」
「あはは、ありがとう。けど、やっぱ婆様のお陰だって…今度あったら言っておいてよ~」
「そういう事は直接言うものだぞ!我が叱られるわ!」
「ご、ごめん…」
「うむ。それより、随分前からお主を見てる輩がおるぞ?ほれ、あそこじゃ。多分、お主の望みの、ほら、“だんぱ”なるものじゃ」
「えっ?」
少女は突然くるりとこっちを向いた。驚いたように目を見開く。
と、にまあっと満面の笑みを浮かべる。
あっと思った頃には少女はポニーテールを振り回し、全速力で走ってきた。
僕は銀髪の美しい狼人に、向かって走った。ほとんど突進するような勢いで突っ込んでしまったから押し倒してしまったようになったが。
少女は俺を押し倒しながら、それでも目をきらきらと輝かせている。あ、何とか受身は取れた。無事着地。
少女は-
叫んだ。
僕は-
「ダンパのメンバーにして下さいッ!!!!」
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