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番外編
ループ、? ⑦
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無事、婚約は成された。断る理由は勿論ないからだ。
元々義母のループでは、私達は仲の良い婚約者で夫婦だったのだから、問題はない。
一度国に帰って婚約の報告をした後、今度は婚約者としてこちらに居を移す準備をしてくるのだとか。
私も離宮を私達用に変更する手続き等しなくてはならない。
「やはり、ノヴァ王子に決めたな」
「当たり前です。愛し合っておられたお二人なのですから」
本人目の前にして、言うのやめてもらっていいですかね?
「知っててニマニマ笑っていたのは、どこの夫婦です?」
拗ねて文句を言ってやる。
「気まずくなっては駄目だと思ったので・・・。ごめんなさい」
素直に謝るのは、やはり義母だけ。
「元の鞘に戻ったのだから、よかったじゃないか」
「それは結果が上手くいったからですよね?」
悪びれもせず、隣の義母にイチャつき、諫められる父をザマァミロと心の中で罵りながら部屋を後にする。
公務と離宮の改装で暇はない。
ノヴァが来るまでに離宮の方は完璧に終わらせておきたい。
ランスロットを連れて、最近慣れた道を早足で駆け抜けた。
「お久しぶりでこざいます」
ノヴァが正式な婚約者としてやってきた。
前回の見合いの日とは違い、美しい笑顔で挨拶をこなす。
「急な往復の長旅は大変だったろう。挨拶はこれくらいにして、リチャードと離宮でゆっくりするといい」
父上、あからさまです。
証拠に、義母に足を抓られて、いい気味だ。
「では、お言葉に甘えます。ノヴァ、行こう」
「はい。両陛下、失礼致します」
丁寧に頭を下げたノヴァを連れ、離宮へと戻る。
数日前から私の居室もこちらへと移してある。
「私の部屋はここ。ノヴァは隣だ」
「綺麗な内装ですね。好みです」
「気に入ってもらえて良かった。ここの内装だけは、私が考えた」
「え?そうなのですか?ありがとうございます」
あれ?惚れた弱みか?嬉しそうな笑顔のノヴァがかなり可愛いく見えるぞ?
「ノヴァ」
「はい」
「すまない、今まで不安だっただろう?」
「正直、不安でした。今回は好かれるどころか、嫌われたと思ったら・・・怖くて・・・」
震える声に、思わず抱き締める。
「少しでも可能性があるなら、縋りたくて・・・でも、もし貴方にす・・・好きな人が居たら・・・って・・・」
それ以上言わせたくなくて、キスで唇を塞ぐ。
「んっ・・・」
「前の私が愛したのはノヴァだけなのだろ?」
「でも・・・」
「ノヴァ?」
「あ、愛してくださってました」
「なら、今回も愛さないとな」
ヒョイと抱き上げると、丁度よく寝室までの扉が何故か開いていた。
気の利く侍従兼近衛騎士だ。
元々義母のループでは、私達は仲の良い婚約者で夫婦だったのだから、問題はない。
一度国に帰って婚約の報告をした後、今度は婚約者としてこちらに居を移す準備をしてくるのだとか。
私も離宮を私達用に変更する手続き等しなくてはならない。
「やはり、ノヴァ王子に決めたな」
「当たり前です。愛し合っておられたお二人なのですから」
本人目の前にして、言うのやめてもらっていいですかね?
「知っててニマニマ笑っていたのは、どこの夫婦です?」
拗ねて文句を言ってやる。
「気まずくなっては駄目だと思ったので・・・。ごめんなさい」
素直に謝るのは、やはり義母だけ。
「元の鞘に戻ったのだから、よかったじゃないか」
「それは結果が上手くいったからですよね?」
悪びれもせず、隣の義母にイチャつき、諫められる父をザマァミロと心の中で罵りながら部屋を後にする。
公務と離宮の改装で暇はない。
ノヴァが来るまでに離宮の方は完璧に終わらせておきたい。
ランスロットを連れて、最近慣れた道を早足で駆け抜けた。
「お久しぶりでこざいます」
ノヴァが正式な婚約者としてやってきた。
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「急な往復の長旅は大変だったろう。挨拶はこれくらいにして、リチャードと離宮でゆっくりするといい」
父上、あからさまです。
証拠に、義母に足を抓られて、いい気味だ。
「では、お言葉に甘えます。ノヴァ、行こう」
「はい。両陛下、失礼致します」
丁寧に頭を下げたノヴァを連れ、離宮へと戻る。
数日前から私の居室もこちらへと移してある。
「私の部屋はここ。ノヴァは隣だ」
「綺麗な内装ですね。好みです」
「気に入ってもらえて良かった。ここの内装だけは、私が考えた」
「え?そうなのですか?ありがとうございます」
あれ?惚れた弱みか?嬉しそうな笑顔のノヴァがかなり可愛いく見えるぞ?
「ノヴァ」
「はい」
「すまない、今まで不安だっただろう?」
「正直、不安でした。今回は好かれるどころか、嫌われたと思ったら・・・怖くて・・・」
震える声に、思わず抱き締める。
「少しでも可能性があるなら、縋りたくて・・・でも、もし貴方にす・・・好きな人が居たら・・・って・・・」
それ以上言わせたくなくて、キスで唇を塞ぐ。
「んっ・・・」
「前の私が愛したのはノヴァだけなのだろ?」
「でも・・・」
「ノヴァ?」
「あ、愛してくださってました」
「なら、今回も愛さないとな」
ヒョイと抱き上げると、丁度よく寝室までの扉が何故か開いていた。
気の利く侍従兼近衛騎士だ。
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