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ループ、26

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 母様は、父様が宰相に就いてから代わりに領地を治めていた。
 当然、生活拠点は領地だ。
 広大な領地は各おさ達に任せきりでは運営できないので母様が各地を飛び回っている。

 中々会えず、会えても年に数回が限度。
 本邸に帰ってきて、ゆっくりして貰いたいと思っている。
 けど、今日の様に捕まって撫でくりまわされ夜になるまで離してもらえない。
 御免なさい、反面私も嬉しいです。

「で?私の可愛いリオンに不埒ふらちな真似をしたカルヴァイスバカは勿論去勢するんだろうね?」

 母様の帰宅に合わせて帰ってきていた父様が、その言葉に青褪める。

「去勢・・・」

「旦那様?何を青褪める必要があるのかな?貴方がする訳でもないのに」

「いや。未遂だし自分の意思ではなかった。しかも、王家の血を残せぬ様にするには・・・」

「後継者が1人いれば、血統が残るのでは?」

「母様・・・」

「怖かっただろう?母様が本邸ここにいる間側に居てあげるから、安心なさい」

 心強い味方が側にいるのはいいなぁ。
 ぎゅっと抱き着いて母様の匂いを堪能する。

「リチャード殿下のの後継とはいえ、仮にも王族。言葉を控えなさい」

「おや?こんな時とばかりに宰相職が出るんだね。父親はどこへ行ったのやら」

 私はギュウギュウ抱き締められ、父様には毒舌攻撃。

「リチャード殿下が平穏無事であるなら、要らないでしょう。特にリオンを大事にしない輩は」

「リヴァイ」

「とにかく、私は許さないよ。このまま謹慎だけで済ます王族は勿論、貴方もね・・・旦那様フレン

 父様に厳しい目を向けて母様は私を連れ去る様に自身の部屋へと歩き出した。




 茶会の度、ユーリへの愚痴が酷くなる第1王子。
 将来貴族の茶会や夜会に、何故かユーリがおり、到着と同時に探し出されてまとわり付かれるのだとか。
 仕事関連の事もあるので一緒に行動は出来ないと諭しても、いつの間にか側にいるんだって。

「いっそ、リオンを婚約者だと言っては駄目だろうか」

「駄目です。やめて下さい」

 巻き込み事故、反対‼︎

「本気で婚約者にしたいなぁ・・・」

 聞かなかった事にしよう。

「父上、男爵家に勅命を出してください」

「どうにもならんか・・・」

「なりませんね。私のめいではその場凌ぎです」

「解った。勅命を出そう」

「有難う御座います」

 心からホッとした顔をしている。
 妃でもなければ護衛でも無く、侍従でもないユーリがウロチョロしてたら妙な噂が付き纏うからね。

「ところでリオン」

「はい」

「リヴァイが帰ってきているとか?」

 国王の問いに頷く。
 それを聞いた途端、国王の麗しい顔が苦渋に歪む。

「あ~・・・はい。昨日帰ってきましたね」

「それはマズイ・・・」

 ん?何がマズイ?

「国・・・」

「何がマズイのでしょう?」

 心配になって掛けた声に被せてよく知る美声が届く。
 振り返ると、仁王立ちした母様リヴァイが父様を従えて立っていた。
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