上 下
14 / 47

ループ、13

しおりを挟む
 本日、国王主催のお茶会。
 勿論もちろん、国王と私と、当然の様に父様がいる。

「本日は御招き頂き有難う御座います」

「陛下の我儘休憩なのだから、気にする必要はないよ」

フレンお前が言うな」

 二人のやり取りに苦笑いが出る。

「今日の装いも似合っているな」

「有難う御座います。侍従マリウスと今日の為に選びました」

 先日の借りた髪飾りとタイピンは返却不可だった。
 貸したのではなく、お詫びの品だと言われれば強引に返せない。

 しかも、前の日にまた贈り物が届いた。
 サファイアの髪飾りが上質なビロードの布に包まれ、繊細な銀細工の箱に納められて鎮座していた。

 ん?何故に?
 家令から渡された瞬間、疑問の嵐。

 しかも、添えられたカードに、お茶会で使って欲しいという文章と共に国王のサインと何故か御璽ぎょじが押されていた。
 若造相手に使っちゃ駄目なヤツでしょ⁉︎
 蝋封で分かるから‼︎

 だから今日、髪に飾られています。

「髪飾り、有難う御座います。大切に使わせて頂きます」

「フレンの言う通り、私の我儘で来てもらったのだ。これはその礼だ」

「・・・はい。ですが、贈り物はこれ以上辞退申し上げます」

「気に入らなかったか?」

「いえ。そうではありません」

「贈り物がなくても、休憩にお付き合い致します」

「本当か⁉︎」

「リオン⁉︎」

 満面の笑みの国王の横で父様が驚愕の目で見て来た。

「お望みであれば。ですが、父の心配もありますので月一なら・・・どうでしょう?」

 二人を交互に見る。
 父様は月一ならば・・・と苦渋の決断を迫られているかの如く唸っていた。

「私は構わない。フレンは次々仕事を寄越す。故、リオンが私との茶会に参加となれば、当然フレンも休憩となる。二人倒れたら目も当てられん。それに、一番大変なのは毎日来る王子息子達への釣書の対応だ」

「それが国王として、父親としての責務でしょう」

王子達二人共未だに婚約者を選ぶ事を拒否している。王太子となるからには、いつ迄も独り身でいてもらっては困る」

「まぁ、そうですね。こちらからも勧めているのですが・・・カルヴァイス殿下は件の子息に夢中で、最近は話も聞いて頂けておりません」

「リチャードはどうだ?」

「お呼びになりました?」

 新たな声に振り返ると、護衛をその場に留めてこちらにやってた青年。
 第1王子のリチャード殿下が爽やかな笑顔でこちらに来ていた。

 すぐ様席を立つ。
 最上礼をして待つと、よいの許可が出た。

「今日は何処ぞの茶会に呼ばれていたのではなかったか?」

「リーンド侯爵家ですね。行きましたよ」

「もう帰って来たのか?」

「茶会と言うより、見合いでしょう?あれ」

「さぁな。気に入らんかったのか?」

「そうですね。媚を売るばかりで私の妃となった場合の心算こころづもりが全くなかった。あれでは仮に妃となった時、公務で失敗するでしょう」

 大抵の貴族は王族というブランドに目が眩んでいる。
 結婚して子が成されれば、外戚となり、結構色々王家の権力で融通が利く。

「私としては、共にちゃんと公務に携わってくれる者が好ましいです」

 妙に視線を王子から感じるが、知らん。
 他所で探してくださいと言わんばかりに無言の笑みを向けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

もう一度、貴方に出会えたなら。今度こそ、共に生きてもらえませんか。

天海みつき
BL
 何気なく母が買ってきた、安物のペットボトルの紅茶。何故か湧き上がる嫌悪感に疑問を持ちつつもグラスに注がれる琥珀色の液体を眺め、安っぽい香りに違和感を覚えて、それでも抑えきれない好奇心に負けて口に含んで人工的な甘みを感じた瞬間。大量に流れ込んできた、人ひとり分の短くも壮絶な人生の記憶に押しつぶされて意識を失うなんて、思いもしなかった――。  自作「貴方の事を心から愛していました。ありがとう。」のIFストーリー、もしも二人が生まれ変わったらという設定。平和になった世界で、戸惑う僕と、それでも僕を求める彼の出会いから手を取り合うまでの穏やかなお話。

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

涙の悪役令息〜君の涙の理由が知りたい〜

ミクリ21
BL
悪役令息のルミナス・アルベラ。 彼は酷い言葉と行動で、皆を困らせていた。 誰もが嫌う悪役令息………しかし、主人公タナトス・リエリルは思う。 君は、どうしていつも泣いているのと………。 ルミナスは、悪行をする時に笑顔なのに涙を流す。 表情は楽しそうなのに、流れ続ける涙。 タナトスは、ルミナスのことが気になって仕方なかった。 そして………タナトスはみてしまった。 自殺をしようとするルミナスの姿を………。

紹介なんてされたくありません!

mahiro
BL
普通ならば「家族に紹介したい」と言われたら、嬉しいものなのだと思う。 けれど僕は男で目の前で平然と言ってのけたこの人物も男なわけで。 断りの言葉を言いかけた瞬間、来客を知らせるインターフォンが鳴り響き……?

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

処理中です...