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ループ、8
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学園に入学してから彼らと極力関わりを避けていた反動なのか、他の貴族が寄ってきた。
主に恋愛的な意味合いで。
私を嫁に貰いたいらしい。
馬鹿なの?
王家でない限り、公爵家の跡取りの私は嫁に行けない。
婿を迎えるなら別だけど・・・父様が許可しないだろうな。
昼休み、ボッチ宜しく一人で歩いていると、中庭で可愛らしい笑い声が聞こえてきた。
見ると、第2王子を筆頭に側近候補達数名に混ざって因縁の男がいた。
もう出会っていたのかと溜息が無意識に出てしまう。
実は、王子とユーリがいつ出会うのか毎回知らない。
いつの間にか王子の隣にいるから。
入学の時に感動の邂逅でも演出したのだろうと当たりをつけている。
「ここからが本番だ」
ループを抜け出して、長生きをして、穏やかに死んで逝きたい。
それが望み。
欲を言えば、誰かと恋・・・はしたいかも。
誰にも言えない寂しさもあるけれど、断罪より生き残る為に頑張ろう。
更に半年経ったある日。
とうとう王家からお茶会の招待状が届いた。
主催は王弟オズワルド殿下。
きっと可愛がっている第2王子の婚約者選別だろう。
「断れませんか?」
「無理だよ。一応、渡されたその場で申し入れはしたけど」
私への招待状は父様に直接手渡されたもの。
当然、やんわり突き返したらしいけど、王弟殿下相手ではあまり強く出れなかったみたい。
本気の深い溜息を吐く父様同様、溜息が出る。
「側近候補の次は婚約者候補ですか」
「どうしても公爵家を第2王子の後ろ盾にしたいのだろうね」
ほぼ決まっていた側近候補を辞退したから、今度はまさかの婚約者候補。
関わりたくないって言ってるの、理解できないのかな?
「国王様は何と?」
「第2王子の教育は王弟殿下に任せているのだから、口を挟むなと言われたらしい」
「は?」
呆れた。
曲がりなりにも国王に対して口を挟むな・・・。
実子の事なのに?
「第1王子のリチャード殿下ではなく第2王子を王太子へと担ごうとしているらしい」
「何でまた・・・」
「傀儡の王にするにはもってこいの無能者だからだね」
結構、王弟と第2殿下に対して父様は毒付く。
嫌っているのかな?
多分、そうだろうね。
「公爵家はどちら側にも付く気はない。愛想笑いなんてしてやる必要もない。だから、気軽に参加しなさい」
「参加は決定なんですね」
「すまない」
「父様が謝罪する必要はありません。会場の隅の方で美味しい物を食べ尽くしてきます」
憂鬱な気持ちを押し隠して、父様に笑顔で答えた。
主に恋愛的な意味合いで。
私を嫁に貰いたいらしい。
馬鹿なの?
王家でない限り、公爵家の跡取りの私は嫁に行けない。
婿を迎えるなら別だけど・・・父様が許可しないだろうな。
昼休み、ボッチ宜しく一人で歩いていると、中庭で可愛らしい笑い声が聞こえてきた。
見ると、第2王子を筆頭に側近候補達数名に混ざって因縁の男がいた。
もう出会っていたのかと溜息が無意識に出てしまう。
実は、王子とユーリがいつ出会うのか毎回知らない。
いつの間にか王子の隣にいるから。
入学の時に感動の邂逅でも演出したのだろうと当たりをつけている。
「ここからが本番だ」
ループを抜け出して、長生きをして、穏やかに死んで逝きたい。
それが望み。
欲を言えば、誰かと恋・・・はしたいかも。
誰にも言えない寂しさもあるけれど、断罪より生き残る為に頑張ろう。
更に半年経ったある日。
とうとう王家からお茶会の招待状が届いた。
主催は王弟オズワルド殿下。
きっと可愛がっている第2王子の婚約者選別だろう。
「断れませんか?」
「無理だよ。一応、渡されたその場で申し入れはしたけど」
私への招待状は父様に直接手渡されたもの。
当然、やんわり突き返したらしいけど、王弟殿下相手ではあまり強く出れなかったみたい。
本気の深い溜息を吐く父様同様、溜息が出る。
「側近候補の次は婚約者候補ですか」
「どうしても公爵家を第2王子の後ろ盾にしたいのだろうね」
ほぼ決まっていた側近候補を辞退したから、今度はまさかの婚約者候補。
関わりたくないって言ってるの、理解できないのかな?
「国王様は何と?」
「第2王子の教育は王弟殿下に任せているのだから、口を挟むなと言われたらしい」
「は?」
呆れた。
曲がりなりにも国王に対して口を挟むな・・・。
実子の事なのに?
「第1王子のリチャード殿下ではなく第2王子を王太子へと担ごうとしているらしい」
「何でまた・・・」
「傀儡の王にするにはもってこいの無能者だからだね」
結構、王弟と第2殿下に対して父様は毒付く。
嫌っているのかな?
多分、そうだろうね。
「公爵家はどちら側にも付く気はない。愛想笑いなんてしてやる必要もない。だから、気軽に参加しなさい」
「参加は決定なんですね」
「すまない」
「父様が謝罪する必要はありません。会場の隅の方で美味しい物を食べ尽くしてきます」
憂鬱な気持ちを押し隠して、父様に笑顔で答えた。
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