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第2章
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次の週。とある噂を耳にしました。
ウィリアムが登校している、と。
かなりお休みしていた様ですが、大丈夫なのでしょうか?
幼馴染としては、多少心配する部分はありますが・・・先日の件あって様子を伺いに行く事はしませんでした。
次の授業の為に教室の移動をしていると、曲がり角からフラリと誰かが出てきました。
咄嗟にマリオが庇ってくれていなかったら、ぶつかる所でした。
「リリアローズ様、お怪我は?」
「大丈夫、ありがとう・・・って、ウィリアム?」
相手はウィリアムだった様で、力尽きてペタリとその場に座り込んでいました。
「ウィリアム?大丈夫ですか?」
「・・・リリアローズか」
私の顔を見てガッカリされました。
その態度に少しだけマリオの気配がピリっとしますが、気にせず声を掛けます。
「どうしました?気分がすぐれないのですか?暫く休まれていた様ですが、無理をされたのでは?」
「いや・・・問題ない・・・すまない」
億劫そうに立ち上がりながらも力なく笑い、手を上げて歩いて行ってしまいました。
一体彼に何があったのでしょう?
「体調の問題ではなさそうですね」
「そうなのですか?私には悪そうに見えたのですけれど」
「精神に引きずられての体調不良みたいです」
精神?悩みでもあるのでしょうか?
私との婚約は無かったこととなり、ターミアと恋愛を楽しんでいるのかと思いましたが・・・。
「あの二人は、今や犯罪者扱いですからね。呑気に恋愛ごっこしている筈がないでしょう?」
「・・・私の思考を読むのはやめなさい」
「顔に出ていますよ」
本気でポーカーフェイスのレベルを上げた方がいいのかしら?
今日の授業を終え、帰り支度を始めていると廊下側から喧騒の声が聞こえてきました。
皆にも聞こえていたらしく廊下に出ると、原因はもっと外で、どうやら中庭からでした。
窓から覗き込むと、小さな人集りが出来ており、何名かが一人の生徒を止めている風でした。
「行ってみましょう」
「危ないと判断したら、そこから引き離しましからね」
お父様に言われた事を覚えていたらしいマリオは心配顔をしながらも後をついて来ます。
異変があったら、知らせないといけませんけらね。
行儀が悪いとわかっていますが、走って中庭に辿り着きます。
肩で息を整える私の隣には平然と立つマリオ。
無言で脇腹をパンチをしておきました。
歩いて近づき、聞こえてくる声は男子生徒。
怒鳴ると言うより必死に懇願している様に大きな声で叫んでいます。
その声に聞き覚えが。
「また、ウィリアム様ですね」
溜息と共に溢したマリオの呟きを耳に広い、私も二回目の邂逅に目を見張ってウィリアムを見つめてしまいました。
ウィリアムが登校している、と。
かなりお休みしていた様ですが、大丈夫なのでしょうか?
幼馴染としては、多少心配する部分はありますが・・・先日の件あって様子を伺いに行く事はしませんでした。
次の授業の為に教室の移動をしていると、曲がり角からフラリと誰かが出てきました。
咄嗟にマリオが庇ってくれていなかったら、ぶつかる所でした。
「リリアローズ様、お怪我は?」
「大丈夫、ありがとう・・・って、ウィリアム?」
相手はウィリアムだった様で、力尽きてペタリとその場に座り込んでいました。
「ウィリアム?大丈夫ですか?」
「・・・リリアローズか」
私の顔を見てガッカリされました。
その態度に少しだけマリオの気配がピリっとしますが、気にせず声を掛けます。
「どうしました?気分がすぐれないのですか?暫く休まれていた様ですが、無理をされたのでは?」
「いや・・・問題ない・・・すまない」
億劫そうに立ち上がりながらも力なく笑い、手を上げて歩いて行ってしまいました。
一体彼に何があったのでしょう?
「体調の問題ではなさそうですね」
「そうなのですか?私には悪そうに見えたのですけれど」
「精神に引きずられての体調不良みたいです」
精神?悩みでもあるのでしょうか?
私との婚約は無かったこととなり、ターミアと恋愛を楽しんでいるのかと思いましたが・・・。
「あの二人は、今や犯罪者扱いですからね。呑気に恋愛ごっこしている筈がないでしょう?」
「・・・私の思考を読むのはやめなさい」
「顔に出ていますよ」
本気でポーカーフェイスのレベルを上げた方がいいのかしら?
今日の授業を終え、帰り支度を始めていると廊下側から喧騒の声が聞こえてきました。
皆にも聞こえていたらしく廊下に出ると、原因はもっと外で、どうやら中庭からでした。
窓から覗き込むと、小さな人集りが出来ており、何名かが一人の生徒を止めている風でした。
「行ってみましょう」
「危ないと判断したら、そこから引き離しましからね」
お父様に言われた事を覚えていたらしいマリオは心配顔をしながらも後をついて来ます。
異変があったら、知らせないといけませんけらね。
行儀が悪いとわかっていますが、走って中庭に辿り着きます。
肩で息を整える私の隣には平然と立つマリオ。
無言で脇腹をパンチをしておきました。
歩いて近づき、聞こえてくる声は男子生徒。
怒鳴ると言うより必死に懇願している様に大きな声で叫んでいます。
その声に聞き覚えが。
「また、ウィリアム様ですね」
溜息と共に溢したマリオの呟きを耳に広い、私も二回目の邂逅に目を見張ってウィリアムを見つめてしまいました。
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