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その5
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耳の長い怪獣たちから、ある程度の距離を取り。私が安全と判断したところまで後退した。
ここら辺でいいだろうと足を止め、後ろをついてきていた駆け出したちの方を振り返ると、もれなく全員が息を切らし、全力疾走でもしたような有様だった。
いくら装備があるとはいえ情けない。
こっちはカゴを背負っての移動だが、息切れすらないというのに、まったくもって情けない。
「……はぁ……はぁ……余計なことしやがって……」
情けなく息を切らして言うのは大剣の男。
その剣が重いなら大剣など持つべきではない。
「余計なことか。なら聞くが、後衛の残弾は? あと何分もった。その時間で怪獣を全滅させられたか? その重そうな剣で」
「何を……」
「見たところお前がリーダーだな。仲間の命すら考えず、好き勝手するのがリーダーなら、リーダーなどやめてしまえ」
私は本当のことしか言ってないが、カッとなったらしい大剣男は掴みかかろうとしてくる。
無論、息切れしているような奴に掴まれる私ではない。大剣男を採取用の道具で軽くあしらってやる。
「どうした? これ、採取用の道具だぞ」
「くそ、変な格好のくせに」
「変な格好だと? 私のどこが変だと言うんだ」
「自覚ねーのか! ガスマスクに全身防護服。背中にはどこにいても目立つバカでかいカゴ。なんなんだ、冷蔵庫かそれ!? これで何をもって変じゃないって言うつもりだ!」
確かに、私はこの男の言う通りの装いだが、これはあらゆる環境に適応するための装備。
カゴも含め少し重いのが欠点だが、性能を考えると当然だ。何も恥ずべきことなどない。
「でも、指示も弓の腕前もすごかったです!」
ガンナーの女の子は分かっている。「でも」という部分が引っかかるが、この際よしとしよう。
あと、この子も武器が重そうだ。重いならやはり持つべきではない。
「あのままだったら1分としないで弾切れでした。助けられたんだよ? お礼言わないと」
「礼はいい。たまたまだからな。次からは気をつけて仕事をするように。金はかかるが協会に言って、サポートを付けてもらうことをオススメするよ。では失礼」
目的は達成しているし、あまり馴れ合うつもりもないので、話を切り帰ることにする。
駆け出しの面倒を見るつもりもないし、そんな時間もない。採取は終わったのだから次は調理だ。
ここら辺でいいだろうと足を止め、後ろをついてきていた駆け出したちの方を振り返ると、もれなく全員が息を切らし、全力疾走でもしたような有様だった。
いくら装備があるとはいえ情けない。
こっちはカゴを背負っての移動だが、息切れすらないというのに、まったくもって情けない。
「……はぁ……はぁ……余計なことしやがって……」
情けなく息を切らして言うのは大剣の男。
その剣が重いなら大剣など持つべきではない。
「余計なことか。なら聞くが、後衛の残弾は? あと何分もった。その時間で怪獣を全滅させられたか? その重そうな剣で」
「何を……」
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私は本当のことしか言ってないが、カッとなったらしい大剣男は掴みかかろうとしてくる。
無論、息切れしているような奴に掴まれる私ではない。大剣男を採取用の道具で軽くあしらってやる。
「どうした? これ、採取用の道具だぞ」
「くそ、変な格好のくせに」
「変な格好だと? 私のどこが変だと言うんだ」
「自覚ねーのか! ガスマスクに全身防護服。背中にはどこにいても目立つバカでかいカゴ。なんなんだ、冷蔵庫かそれ!? これで何をもって変じゃないって言うつもりだ!」
確かに、私はこの男の言う通りの装いだが、これはあらゆる環境に適応するための装備。
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「でも、指示も弓の腕前もすごかったです!」
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あと、この子も武器が重そうだ。重いならやはり持つべきではない。
「あのままだったら1分としないで弾切れでした。助けられたんだよ? お礼言わないと」
「礼はいい。たまたまだからな。次からは気をつけて仕事をするように。金はかかるが協会に言って、サポートを付けてもらうことをオススメするよ。では失礼」
目的は達成しているし、あまり馴れ合うつもりもないので、話を切り帰ることにする。
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