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第33話 きのこがくる

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「またあのきのこが出たのです、クレナ様。どうかお逃げください」
 そう言ってグハグハは私たちに避難するよう促してきた。

「いや、これだけの戦力があればあのきのこを撃退することもできるはずでやんす、クレナ様。戦いましょう」
 そう言ってゲラゲラは私たちに戦うよう促してきた。

「イヒイヒ」
 イヒイヒはなんかただヘラヘラしている。

 私はまだしんなりしているルーシーを見る。
 次に少し離れたところで怯え始めたローマと辛うじてローマが暴れ出さないようなだめるスライムさんを見る。
 そして大量の戦利品と空腹を訴えるお腹を鑑みた上でゴブリンたちに言った。

「グハグハ、逃げる元気がない。ゲラゲラ、このメンバーでは勝てない。イヒイヒ、諦めよう」
 えっ、という戸惑いの声をゴブリン3人があげる。

 わかりますよ、勝てそうな感じしますよね。何せ全部で7人もいてそのうち1人が炎を操り、別の1人が巨大でパワーもありそう。でもどっちも役には立たない。

 ルーシーは起きている時は元気だが、しんなりした時が電池切れの合図だ。
 ローマは臆病過ぎてスーパーマーケットでの狩りはできて荷物持ちもしてくれるが戦闘にはならない。何なら大声で泣き喚くから私やゴブリン達は戦闘不能に陥るだろう。そうなれば詰みだ。

「だから諦めて受け入れましょう、大丈夫ですよ。幸いエリクサーはまだまだたくさん持ってきてますから」
 ええ・・・・・・、という引き気味の声をゴブリン3人があげる。

 そんな会話をしているうちにやつが来てしまったようだ。
 ゆっくりと気配のした方向へ振り向く。

 そこには私と同じ背丈くらいの手足のあるきのこが立っていた。
 目はないが、こちらを見ているのがわかる。

 きのこはゆっくりとこちらへ歩いてくる。
 歩きながらきのこは自身の身体に生えた小さなきのこを摘み取ると。
 突然走り出して一気に私たちの方へと向かってきた!
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