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第13話 へとへと、むしゃむしゃ、ざぶざぶ、すやすや

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「はあ・・・、やっと着きましたね」
「ぷるぷるぷるぷる」

 私とスライムさんは、ギス様の元を後にし、家まで戻ってきた。
 帰りは下り坂だった。
 それでも行きより時間がかかった。
 もう時間は夕暮れ近い。

 朝起きるのは遅かったが、今日はいろいろあったからだろう。
 疲れをいつもより感じる。
 興奮冷めやらぬ、といった気持ちではあるが、早めに休みたい。

 こんな日は夕食を簡単に済ませたい。
 だから料理はしない。
 素材の味を楽しむ。
 決して手抜きではない。
 素材の味を生かすのだ。

 堅焼きパン、トマト、ハム、チーズ、りんご、それに牛乳と水。
 切り分けたりはしない。
 そのままかぶりつくからこそ、素材の味が生きる。

「スライムさん、夕食にしましょう。ごめんなさい、ちょっと疲れちゃったので今日はそのまま食べられるものに・・・」
「ぷるぷるぷるぷる」

 皿の上に並べただけの堅焼きパンにスライムさんはすぐさま手(?)を伸ばした。
 スライムさんもお腹がすいていたらしい。

 私もお腹ペコペコだ。

「いただきます」

 牛乳を一口含み、堅焼きパンをかじる。
 強い歯ごたえが楽しい。
 香ばしい香りが感じられる。

 よく噛んで、もう一口牛乳を飲む。

 美味しい。

「お腹がすいてるから美味しいですね」
「ぷるぷるぷるぷる」

 ハムを噛みちぎり、チーズに噛みつく。
 トマトはみずみずしい。溢れる中身が口からこぼれてしまうが気にしない。

 りんごだって皮ごといっちゃう。

 私とスライムさんは、しばらくがつがつと食事に没頭するのだった。



 ざぶん、と湯船に飛び込むとお湯が滝のように溢れ、波が生まれた。

「はふう・・・」
「ぷるう・・・」

 お湯の中へ身体を沈めると、疲れが溶け出していくような心地がする。

「気持ちいいですね・・・」
「ぷるうぷるうぷるうぷるう」

 お湯の中だからか、スライムさんの返事もゆっくり感じられる。
     
 今日は良い1日だったと思う。

 努力の成果が出たからだろうか。
 黙っているとつい笑い出してしまいそうな嬉しさがずっと胸の中にある。

「ふふふ」
「ぷるう?」
「いえ、今日は良い1日だったな、と思って」
「ぷるうぷるうぷるうぷるう」
「スライムさんもそう思う?」
「ぷるうぷるうぷるうぷるう」
「・・・良かった」

    

 湯上がり、髪を乾かすのもそこそこにして私とスライムさんは、寝床へと潜った。
 そしてすぐに眠りに落ちた。
 疲労感と達成感から、その日の眠りは今までになく深いものになった。
 眠りに落ちる寸前、私はスライムさんが先に眠りにつくのを感じながら考えていた。

 明日はお祝いをしよう。
 とびきりのごちそうで・・・。
 何が・・・。いいかな・・・。
 スライムさんはお肉が好きだから・・・、あれにしようっと・・・。

 明日が楽しみでしかたない。こんな気持ちで眠るのは久しぶりだったように思う。
     
 夜はあっという間に終わり、朝がきた。
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