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出逢い

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後ろを振り向くと男性が私を支ていた…。
えっ!?誰。見知らぬ男性に支えられていた
事と今までの自分の姿を見られていたのかと思うと色んな意味で恥ずかしくなってきた。

「支えてくださってありがとうございます。
もしかして…全部見てました?」

感謝の気持ちを伝えたものの相手の顔を見るのは気まずいので視線を逸らしながら言った。

「結論から言うと全部見てた。
俺も咄嗟に支えたから急にごめんね。」

あまりにも紳士すぎる発言に、そんなことないです!と言いかけた時に男性の持つ本が私の興味を好奇心を動かした。

「改めて有難うございます。
本が中々届かなくて…大丈夫だと思っていたんですけど次からは従業員さん呼びますね。
あの…貴方も天音凌が好きなんですか?」

今度は真っ直ぐ前を向いて言えた。
180センチはありそうな高身長な人で黒髪の
好青年という言葉が合いそうな人だった。

「えっ、うん。
俺も天音凌が好きなんだ。
書いている本のジャンルも多いから本当に
同じ作者で作り上げているのかと疑ってしまうくらい繊細だったり時には乱雑な言葉…
ここまで飽きない作家も中々いないと思うよ。
あ、ごめん。俺の名前は立花颯斗。
駅近くの大学に通ってて楽明堂にも結構通っているんだ。」

「私は香坂慈雨です。
同じ作者が好きな人には逢える確率も
滅多にないから嬉しいです。
改めて先程はありがとうございました。」

「いやいや、そんな畏まらなくてもいいよ。
俺が手助けしたくてしただけだから。」

「あの、また見かけたら声をかけても
いいですか?」

なぜか、自分でも驚くほど素直に出てしまった。
返事が来ずにいる状態が居た堪れなくなってきて若干の後悔を抱え始めた時に話しかけられた

「香坂さんがよければ俺からも
話しかけていいかな?」

本来なら質問返しは好きではないけど
この時ばかりは「ぜひ!」と応えていた。

あの後、本を求めに立花さんは別の場所に行き
私は手に持っていた天音凌様の本を購入した。
同じ作者が好きな同志に面と向かって逢えることはそんなに多くないと思う。
己の行動を見られていたことは恥ずかしいけど
それ以上に今日は良い出逢いに巡り会えた。と
購入した本を大事に抱えて帰路に着いた

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