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漆黒の龍の背に乗って①
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今日は休日。
冒険者には決められた日に休みが無いので自ら決めた休息の日。
ハクレイは働かない日というのが慣れないせいか戸惑ってはいたが「いつも通り一緒にいればいいんだよ」ということで落ち着いた。
プリツ達は庭に植えた世界樹の世話をし、フランは優雅に日光浴。こいつらは普段とあまり変わっていない。
バジェットの部屋をこちらにも用意はしてあるものの、ダンジョンに潜る予定は立ててないので最近は彼氏の所に入り浸っているらしい。
私はテラスでハクレイが作ってくれた朝食を昼前だというのにのんびりと食べている。
「平和なんだけどねぇ」
「どうしましたか?」
食後のお茶を持ってきてくれたハクレイ。
「ここじゃあまり聞かないけど、他国や他の領土では小競り合いが絶えないっていうじゃない」
「確かにハクレイが知る限りですけど、ここは平和な方だとだと思います。町の治安も良いですね」
町の治安がいいのも、他国との国境に位置するのに小競り合いが起きてないのも全部コピーエーナのおかげなのは知っている。
問題が大きくなる前にもふもふ猫君達を駆使して解決してくれているようだ。
ただ、最初から大きな問題はこちらでどうにかしないといけないらしい。
休日を乱そうとする元凶が脳裏に浮かぶ。
【エンダードラゴン】
の文字。探索スキル範囲内に入ってから物凄いスピードで我が家の方に近づいてくる。
エンダードラゴンは古龍種の一体であり、古い目撃情報が少しだけあるがギルド側で確認はされていなかったはず。
最近では存在すら疑われていたドラゴンだ。もちろん神話級のモンスターで、平和な町が一瞬で火の海になってもおかしくはない。
その侵入をコピーエーナが許すとは思えなかったが、手を出さない理由はエンダードラゴンの背中に乗っているようだった。
ドラゴンは堂々と町の上空を飛び、存在をアピールするかのようだった。
私は分かっていたので冷静だったが、フランが接近に気づき戦い慣れているヴァンパイアの姿に変身。
フランの尋常じゃない殺気を感じたハクレイは慌てて剣を取りに行ったようだ。
妖精達はどこかに隠れている。
我が家の上空までくると、徐々に高度が下がってくる。
「なんじゃ、いきなりあのデカいドラゴンは。ひとの家に招待もなしに乗り込む気かの。ケーナとハクレイは下がっておれ。話が通じるかどうかわからんが余が相手をしてみるのじゃ」
「待ってフラン。妹が乗ってる」
「何?? 妹? ケーナに妹なんていたのか?」
「それがいるのよ。血は繋がってないけど」
改めて見上げてみるとそのエンダードラゴンの巨体に驚かされる。闘技場の広さでも納めることができないぐらいの大きさ。
ある程度の高度まで下がると、背から落ちてくるゴミのようなもの。
「ケーーーーナ姉様ーーーーー!!!」
聞き覚えのある声が降ってきた。テッテだ。
「わたしを受け止めてくださいませーーー!!」
すごい勢いで降ってくる。
ここで両手を広げて受け止めるかどうか。思考加速を使い悩みに悩んだ末。受け止めないと決めた。
テッテは浮遊魔法や風魔法を使えない。このままでは地面に打ちつけられて大怪我をしてしまう。急いで空間収納からポーションを取り出して準備した。
「いつでも(怪我して)いいわよ」
「そんなーーーーー」
私の態度で受け止めてもらえないと察したのか、着地と同時に前回りをして、衝撃を上手く分散させピタッと立ち上がった。
「器用なことやるわね」
「これくらいお遊びですのよ」
といって抱きついてくる。
「お久しぶりですケーナ姉様!」
テッテの突然の訪問。
「ケーナ、そいつが妹なのか?」
「ああそうそう。妹のテッテだよ」
「誰ですかケーナ姉様、この妖魔は?」
「こちらはフラン、ちょっと前に知り合って今は一緒に住んでる」
テッテは私から離れると、フランの前に立つ。
「フランといったかしら、ケーナ姉様とわたしは魂で結ばれた仲!! そこに余所者が入る隙など産毛一本も無い!!!」
相変わらず私の周りにいる初対面の相手への挨拶が最低なテッテ。
だがフランも人族の姿に戻ると口を開く。
「半人半魔がよー吠えるのじゃ。ケーナの妹だからどれほどのものかと思ったが、面倒がかかりそうな小娘よの。姉の苦労が目に映るのじゃ」
簡単な挑発に乗るテッテ。
「根暗のヴァンパイアがよく陽のもとで口を開けたわね。わたしが魔王の娘だと知ってもコウモリのように騒げるかしら」
「魔王の娘という肩書がどこでも通用するとは大間違いだということを知らんとは。無知は罪じゃの。余は魔王の事をどうとも思っておらんし、ましてやその娘など道に落ちてる小石ほどの興味もないのじゃ」
挑発に乗ったはいいが乗りこなせないテッテ。これは年の功というやつなのか。とりあえず助け舟。
「ねぇ、テッテいつまでも挨拶してないで。今日来た用事があるんでしょ。こっちから定期的に会いに行くって言ってたのに来たんだからさ」
「もちろんですわ。大切な用事がございましてよ」
とりあえず家の中にご案内。
エンダードラゴンは色欲スキルと魅了スキルを使って従属させることに成功したのだとか。こっちの方が極楽鳥より速く飛べるというだけで決めたらしい。ただそれだとヨシエが乗れないとのことで今日は1人で来ることになった。
おまけにエンダードラゴンを襲うモンスターなんていないから安全でもあるらしい。
このデカいドラゴンを庭で休ませておくわけにもいかないので空間収納内に入れておいた。
冒険者には決められた日に休みが無いので自ら決めた休息の日。
ハクレイは働かない日というのが慣れないせいか戸惑ってはいたが「いつも通り一緒にいればいいんだよ」ということで落ち着いた。
プリツ達は庭に植えた世界樹の世話をし、フランは優雅に日光浴。こいつらは普段とあまり変わっていない。
バジェットの部屋をこちらにも用意はしてあるものの、ダンジョンに潜る予定は立ててないので最近は彼氏の所に入り浸っているらしい。
私はテラスでハクレイが作ってくれた朝食を昼前だというのにのんびりと食べている。
「平和なんだけどねぇ」
「どうしましたか?」
食後のお茶を持ってきてくれたハクレイ。
「ここじゃあまり聞かないけど、他国や他の領土では小競り合いが絶えないっていうじゃない」
「確かにハクレイが知る限りですけど、ここは平和な方だとだと思います。町の治安も良いですね」
町の治安がいいのも、他国との国境に位置するのに小競り合いが起きてないのも全部コピーエーナのおかげなのは知っている。
問題が大きくなる前にもふもふ猫君達を駆使して解決してくれているようだ。
ただ、最初から大きな問題はこちらでどうにかしないといけないらしい。
休日を乱そうとする元凶が脳裏に浮かぶ。
【エンダードラゴン】
の文字。探索スキル範囲内に入ってから物凄いスピードで我が家の方に近づいてくる。
エンダードラゴンは古龍種の一体であり、古い目撃情報が少しだけあるがギルド側で確認はされていなかったはず。
最近では存在すら疑われていたドラゴンだ。もちろん神話級のモンスターで、平和な町が一瞬で火の海になってもおかしくはない。
その侵入をコピーエーナが許すとは思えなかったが、手を出さない理由はエンダードラゴンの背中に乗っているようだった。
ドラゴンは堂々と町の上空を飛び、存在をアピールするかのようだった。
私は分かっていたので冷静だったが、フランが接近に気づき戦い慣れているヴァンパイアの姿に変身。
フランの尋常じゃない殺気を感じたハクレイは慌てて剣を取りに行ったようだ。
妖精達はどこかに隠れている。
我が家の上空までくると、徐々に高度が下がってくる。
「なんじゃ、いきなりあのデカいドラゴンは。ひとの家に招待もなしに乗り込む気かの。ケーナとハクレイは下がっておれ。話が通じるかどうかわからんが余が相手をしてみるのじゃ」
「待ってフラン。妹が乗ってる」
「何?? 妹? ケーナに妹なんていたのか?」
「それがいるのよ。血は繋がってないけど」
改めて見上げてみるとそのエンダードラゴンの巨体に驚かされる。闘技場の広さでも納めることができないぐらいの大きさ。
ある程度の高度まで下がると、背から落ちてくるゴミのようなもの。
「ケーーーーナ姉様ーーーーー!!!」
聞き覚えのある声が降ってきた。テッテだ。
「わたしを受け止めてくださいませーーー!!」
すごい勢いで降ってくる。
ここで両手を広げて受け止めるかどうか。思考加速を使い悩みに悩んだ末。受け止めないと決めた。
テッテは浮遊魔法や風魔法を使えない。このままでは地面に打ちつけられて大怪我をしてしまう。急いで空間収納からポーションを取り出して準備した。
「いつでも(怪我して)いいわよ」
「そんなーーーーー」
私の態度で受け止めてもらえないと察したのか、着地と同時に前回りをして、衝撃を上手く分散させピタッと立ち上がった。
「器用なことやるわね」
「これくらいお遊びですのよ」
といって抱きついてくる。
「お久しぶりですケーナ姉様!」
テッテの突然の訪問。
「ケーナ、そいつが妹なのか?」
「ああそうそう。妹のテッテだよ」
「誰ですかケーナ姉様、この妖魔は?」
「こちらはフラン、ちょっと前に知り合って今は一緒に住んでる」
テッテは私から離れると、フランの前に立つ。
「フランといったかしら、ケーナ姉様とわたしは魂で結ばれた仲!! そこに余所者が入る隙など産毛一本も無い!!!」
相変わらず私の周りにいる初対面の相手への挨拶が最低なテッテ。
だがフランも人族の姿に戻ると口を開く。
「半人半魔がよー吠えるのじゃ。ケーナの妹だからどれほどのものかと思ったが、面倒がかかりそうな小娘よの。姉の苦労が目に映るのじゃ」
簡単な挑発に乗るテッテ。
「根暗のヴァンパイアがよく陽のもとで口を開けたわね。わたしが魔王の娘だと知ってもコウモリのように騒げるかしら」
「魔王の娘という肩書がどこでも通用するとは大間違いだということを知らんとは。無知は罪じゃの。余は魔王の事をどうとも思っておらんし、ましてやその娘など道に落ちてる小石ほどの興味もないのじゃ」
挑発に乗ったはいいが乗りこなせないテッテ。これは年の功というやつなのか。とりあえず助け舟。
「ねぇ、テッテいつまでも挨拶してないで。今日来た用事があるんでしょ。こっちから定期的に会いに行くって言ってたのに来たんだからさ」
「もちろんですわ。大切な用事がございましてよ」
とりあえず家の中にご案内。
エンダードラゴンは色欲スキルと魅了スキルを使って従属させることに成功したのだとか。こっちの方が極楽鳥より速く飛べるというだけで決めたらしい。ただそれだとヨシエが乗れないとのことで今日は1人で来ることになった。
おまけにエンダードラゴンを襲うモンスターなんていないから安全でもあるらしい。
このデカいドラゴンを庭で休ませておくわけにもいかないので空間収納内に入れておいた。
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