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2019年10月 解剖学発展コース
180 魅力的な女性
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2019年10月13日、日曜日。時刻は朝の10時。
祝日である体育の日を翌日に控えたこの日、剖良は阪急京都河原町駅で出会いの相手を待っていた。
レズビアン専用マッチングアプリ「フェルミオン」で唯一剖良が興味を持てた相手のハンドルネームは「まこっちゃん」といって、京都府内の文系大学に通う女子大生とのことだった。
特に加工していなさそうな写真によれば相手は中々の美人で将来的な社会的地位も低くなく、趣味や特技には知的さが感じられた。
剖良は理子の外見と性格のみならず知的さと将来の社会的地位も含めて愛していたので、マッチングアプリで出会う相手には少なくともそれらの要素のうちいくつかは持っておいて欲しいと思っていた。
ひとまずこちらからフォローリクエストを送ってみると相手もすぐにリクエストを受け入れてくれて、メッセージのやり取りをした限りでは感じの良い女性だった。
彼女は京都府内でも宇治市在住とのことで自分は阪急神戸線の沿線に自宅があると伝えた結果、直近の日曜日に阪急京都線の京都河原町駅で直接会うことになった。
神戸市にある剖良の実家から畿内医大までは電車で1時間近くかかり阪急京都線の皆月市駅を越えて京都河原町駅まで行くとさらに数十分かかるが、魅力的な女性と会いに行くためならばその程度の移動時間は気にならなかった。
特急の電車を降りて駅の改札口を通過し、集合場所となっている看板の前まで行くとそれらしき相手はすぐに見つかった。
文系女子大生らしい洗練されたファッションに身を包んだ彼女は写真と同じショートボブの髪型で小柄な背丈が特徴的だった。
「あの、すみません。私、アプリを見て来たんですけど……」
万が一人違いでも問題がないような台詞で呼びかけると、
「あっ、こんにちは。あなた、さっちゃんさんですか?」
スマホを見ていた女性はすぐに笑顔で振り向き、剖良のハンドルネームを口にした。
相手は紛れもなく「まこっちゃん」というハンドルネームを使っていた女性で、お互いの身元を確認すると2人は適当に話そうと近場の喫茶店に入った。
「まこっちゃん」は普段は京阪本線とそれにつながる路線の駅しか利用しないらしくこの辺りの地理にはあまり詳しくないとのことだった。
「今日はお会いしてくださってありがとうございます。私、立志社女子大学社会学部3回生の上白石真琴っていいます。さっちゃんさんも大学生なんですよね?」
「ええ。私は畿内医科大学医学部3回生の解川剖良です。上白石さんとお呼びしてもいいですか?」
「どうぞどうぞ。私も今からは解川さんって呼びますね」
直接会ってすぐにお互い本名と在籍校を伝え、剖良は出会いの始まりとしては順調な流れだと思った。
「解川さん、年収1000万円以上予定って書かれてましたけど医学生だったんですね。畿内医大の医学生っていうと私の知人にも1人いますよ」
「そうなんですね。ご存知かも知れませんけど医学部医学科って1学年が100人ぐらいしかいないので、本当に出会いが少ないんです。性的指向をオープンにしてる人も全然いないので私ももっと幅広く出会いを探してみることにしたんです」
意中の女性に彼氏ができたという直接のきっかけは隠しつつ、剖良は真琴にそう話した。
「お気持ち分かりますー。女子大っていうと私みたいな人でも出会いを見つけやすいって思われがちなんですけど、実際は共学に比べてそもそも恋愛に奥手な学生が多いのでそんなに相手がいる訳でもないんです。学内で下手に恋愛してトラブルになるのも嫌なので、私も今はアプリで出会いを探すようにしてます」
「なるほど……」
剖良は生まれてこの方総合大学というものに在籍したことがないので学生数が多くても、ましてや女子大でも出会いが見つからないという話には意外さを感じた。
ちなみに京都河原町駅近辺というこの地域は都会に分類されるのでレズビアンが露骨な差別を受けることはないが、会話を聞いてしまった人が驚かないよう剖良と真琴は暗黙の了解で同性愛を直接的に意味する言葉は口にしないようにしていた。
祝日である体育の日を翌日に控えたこの日、剖良は阪急京都河原町駅で出会いの相手を待っていた。
レズビアン専用マッチングアプリ「フェルミオン」で唯一剖良が興味を持てた相手のハンドルネームは「まこっちゃん」といって、京都府内の文系大学に通う女子大生とのことだった。
特に加工していなさそうな写真によれば相手は中々の美人で将来的な社会的地位も低くなく、趣味や特技には知的さが感じられた。
剖良は理子の外見と性格のみならず知的さと将来の社会的地位も含めて愛していたので、マッチングアプリで出会う相手には少なくともそれらの要素のうちいくつかは持っておいて欲しいと思っていた。
ひとまずこちらからフォローリクエストを送ってみると相手もすぐにリクエストを受け入れてくれて、メッセージのやり取りをした限りでは感じの良い女性だった。
彼女は京都府内でも宇治市在住とのことで自分は阪急神戸線の沿線に自宅があると伝えた結果、直近の日曜日に阪急京都線の京都河原町駅で直接会うことになった。
神戸市にある剖良の実家から畿内医大までは電車で1時間近くかかり阪急京都線の皆月市駅を越えて京都河原町駅まで行くとさらに数十分かかるが、魅力的な女性と会いに行くためならばその程度の移動時間は気にならなかった。
特急の電車を降りて駅の改札口を通過し、集合場所となっている看板の前まで行くとそれらしき相手はすぐに見つかった。
文系女子大生らしい洗練されたファッションに身を包んだ彼女は写真と同じショートボブの髪型で小柄な背丈が特徴的だった。
「あの、すみません。私、アプリを見て来たんですけど……」
万が一人違いでも問題がないような台詞で呼びかけると、
「あっ、こんにちは。あなた、さっちゃんさんですか?」
スマホを見ていた女性はすぐに笑顔で振り向き、剖良のハンドルネームを口にした。
相手は紛れもなく「まこっちゃん」というハンドルネームを使っていた女性で、お互いの身元を確認すると2人は適当に話そうと近場の喫茶店に入った。
「まこっちゃん」は普段は京阪本線とそれにつながる路線の駅しか利用しないらしくこの辺りの地理にはあまり詳しくないとのことだった。
「今日はお会いしてくださってありがとうございます。私、立志社女子大学社会学部3回生の上白石真琴っていいます。さっちゃんさんも大学生なんですよね?」
「ええ。私は畿内医科大学医学部3回生の解川剖良です。上白石さんとお呼びしてもいいですか?」
「どうぞどうぞ。私も今からは解川さんって呼びますね」
直接会ってすぐにお互い本名と在籍校を伝え、剖良は出会いの始まりとしては順調な流れだと思った。
「解川さん、年収1000万円以上予定って書かれてましたけど医学生だったんですね。畿内医大の医学生っていうと私の知人にも1人いますよ」
「そうなんですね。ご存知かも知れませんけど医学部医学科って1学年が100人ぐらいしかいないので、本当に出会いが少ないんです。性的指向をオープンにしてる人も全然いないので私ももっと幅広く出会いを探してみることにしたんです」
意中の女性に彼氏ができたという直接のきっかけは隠しつつ、剖良は真琴にそう話した。
「お気持ち分かりますー。女子大っていうと私みたいな人でも出会いを見つけやすいって思われがちなんですけど、実際は共学に比べてそもそも恋愛に奥手な学生が多いのでそんなに相手がいる訳でもないんです。学内で下手に恋愛してトラブルになるのも嫌なので、私も今はアプリで出会いを探すようにしてます」
「なるほど……」
剖良は生まれてこの方総合大学というものに在籍したことがないので学生数が多くても、ましてや女子大でも出会いが見つからないという話には意外さを感じた。
ちなみに京都河原町駅近辺というこの地域は都会に分類されるのでレズビアンが露骨な差別を受けることはないが、会話を聞いてしまった人が驚かないよう剖良と真琴は暗黙の了解で同性愛を直接的に意味する言葉は口にしないようにしていた。
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