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第3部 天然女子高生のための超そーかつ
第87話 レッドデータアニマルズ
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東京都千代田区にある私立マルクス高等学校は(後略)
「地球の未来にご奉仕するにゃん! にょんたか~」
「真希先輩、そのポーズ最高ですよ! どんどん撮りましょうね~」
「金原先輩、それに宝来さん、こんな所で何やってるの……」
ある日の放課後、同じクラスの漫研部員である宝来遵さんに借りていた漫画を返しに漫研部室を訪れた私は彼女がデジタルカメラを手に猫耳のメイドさんを撮影している姿を目にした。
「あら、野掘さん。今度の文化祭で2年生はSDGsをテーマにした写真を展示することになったんだけど、せっかくだからオリジナリティを出そうと思って。これはよく見るとただのコスプレじゃなくてイリオモテヤマネコの仮装なのよ」
「その猫耳とかメイド服どっかで見たことありますよ!? そもそもパッと見で分からないと意味がないのでは……」
コスプレしてポーズを取っていたのは2年生の金原真希先輩で、彼女の発想は理解できるにしてもこれではオタクの人しか喜ばないと思った。
「そうねえ。レッドデータアニマルは他にもいるけど、流石にウミガメとかトキの仮装は難しいし……」
「真希先輩、それなら何も動物に限定しなくていいんじゃないですか? 絶滅危惧種という概念は動物に限られませんから、コスプレのしやすさも考えて別の題材を探しませんか?」
「一理あるわね。撮影会はまた別の機会にできるから、今度はもっとテーマが分かりやすい衣装にしましょう。良かったら野掘さんも見にきてくれない?」
「わ、分かりました……」
例によって嫌な予感しかしないが、翌週水曜日の放課後に改めて撮影会を開催することになったと聞いた私は当日再び漫研部室を訪れた。
「キューチのライミーにホシーゴするじゃーん、チョベリグ~」
「真希先輩、素晴らしい日焼け具合です! ルーズソックスもいい感じですよ~」
全身を真っ黒に日焼けさせ、古典的なセーラー服にルーズソックスを履きフロッピーディスク片手に死語を呟いている金原先輩を見て、私は即座に部室のドアを閉めたのだった。
(続く)
「地球の未来にご奉仕するにゃん! にょんたか~」
「真希先輩、そのポーズ最高ですよ! どんどん撮りましょうね~」
「金原先輩、それに宝来さん、こんな所で何やってるの……」
ある日の放課後、同じクラスの漫研部員である宝来遵さんに借りていた漫画を返しに漫研部室を訪れた私は彼女がデジタルカメラを手に猫耳のメイドさんを撮影している姿を目にした。
「あら、野掘さん。今度の文化祭で2年生はSDGsをテーマにした写真を展示することになったんだけど、せっかくだからオリジナリティを出そうと思って。これはよく見るとただのコスプレじゃなくてイリオモテヤマネコの仮装なのよ」
「その猫耳とかメイド服どっかで見たことありますよ!? そもそもパッと見で分からないと意味がないのでは……」
コスプレしてポーズを取っていたのは2年生の金原真希先輩で、彼女の発想は理解できるにしてもこれではオタクの人しか喜ばないと思った。
「そうねえ。レッドデータアニマルは他にもいるけど、流石にウミガメとかトキの仮装は難しいし……」
「真希先輩、それなら何も動物に限定しなくていいんじゃないですか? 絶滅危惧種という概念は動物に限られませんから、コスプレのしやすさも考えて別の題材を探しませんか?」
「一理あるわね。撮影会はまた別の機会にできるから、今度はもっとテーマが分かりやすい衣装にしましょう。良かったら野掘さんも見にきてくれない?」
「わ、分かりました……」
例によって嫌な予感しかしないが、翌週水曜日の放課後に改めて撮影会を開催することになったと聞いた私は当日再び漫研部室を訪れた。
「キューチのライミーにホシーゴするじゃーん、チョベリグ~」
「真希先輩、素晴らしい日焼け具合です! ルーズソックスもいい感じですよ~」
全身を真っ黒に日焼けさせ、古典的なセーラー服にルーズソックスを履きフロッピーディスク片手に死語を呟いている金原先輩を見て、私は即座に部室のドアを閉めたのだった。
(続く)
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