そこのオタク止まりなさい! ~お嬢様の激突カラオケ論~

輪島ライ

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【コラム3】DAMオリジナル特撮ヒーロー「守護戦士ミコト」の登場頻度を調べてみた

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 「LIVEライブ DAMダム」「LIVE DAM STADIUMスタジアム」「LIVE DAM Aiアイ」といったDAM系列の機種のカラオケで昔の特撮ヒーローの主題歌を歌うと、かなりの高頻度でオリジナルの特撮ヒーローの映像が流れます。


 本格的すぎる造形のスーツを身にまとったそのヒーローは炎に包まれて登場するとポーズを決め、そのまま映像は高い山の上にある不気味な建物に切り替わります。建物の中では指揮官的立場にあるらしい一つ目の怪人(緑色の肌で杖を持っている)と金属の仮面を被った2人の戦闘員(戦闘員らしさに溢れる全身黒タイツ姿)が悪事を企んでおり、戦闘員の1人は怪人の命令を受けて大きなビルを構えた研究施設「近藤研究所」に忍び込みます。

 その時、「近藤研究所」第二科学研究室の主任研究員を務める妙齢の美女、戸塚マリ(以下ヒロイン)は『縄文人の生活・文化』などの複数の文献を持って研究施設の廊下を歩いていました。戦闘員はその背後に忍び寄ると、こっそりと後を付けます。ヒロインが目的地らしい部屋のドアを開けると、そこから突然恐ろしい人型の怪物が現れました。

 驚き絶叫するヒロインですが、人型の怪物は笑いながら仮面を外します。人型の怪物はヒロインと以前から知り合いであるらしい若い男性で、ただ単に彼女を驚かせようとドッキリを仕掛けていたのでした。ヒロインに叱られてしまう男性ですが、彼はちょうどヒロインを尾行していた怪しい戦闘員に気づいて追いかけます。


 男性は研究施設から飛び出して逃げる戦闘員に追いついて大ジャンプし、空中で前転しつつ戦闘員の前に回り込むと右腕で一撃を加えます。当たり前のように書いていますが驚くべきアクションです。男性はそのまま変身ポーズを決め、炎に包まれると冒頭でも登場したヒーローに変身しました。そう、彼の正体は変身ヒーローだったのです。

 ヒーローが戦闘員を追い詰めていた時、戦闘員に尾行されていたことに気づいていないヒロインは一人で業務を続けていました。しかし、そんなヒロインの前に戦闘員の指揮官である一つ目の怪人が現れます。ヒロインは全く抵抗できずに一つ目の怪人に拉致されてしまい、(ヒーローからどうにか逃げられたのか)先ほどの戦闘員も含めた2人の戦闘員と共に気絶しているヒロインを抱えてどこかに連れ去ろうとします。

 そこに現れたのは先ほどの変身ヒーロー。ヒーローは華麗なアクションで戦闘員を叩きのめし、怪人がその圧倒的な強さに驚いていると目を覚ましたヒロインは怪人の左腕に噛みつきます。痛みに悲鳴を上げる怪人は右腕で抱えていたヒロインを地面に落としてしまい、そこにヒーローの飛び蹴りが炸裂! 怪人は地面に転がって吹き飛ばされ、ヒーローはヒロインにここから逃げるよう促します。


 映像には複数のパターンがあり、上記のような流れの他に変身前のヒーローと怪人が死闘を繰り広げてヒロインがひたすら2人の戦闘員から逃げるといった流れの場合もありますが、いずれも登場人物は毎回同じです。

 上記のような王道的ストーリーがカラオケの画面上で繰り広げられ、本格的すぎるヒーロースーツや怪人・戦闘員の造形、実際の特撮ヒーローに匹敵するダイナミックなアクションには一度見たら絶対に忘れないほどの強い印象を受けます。


 明らかにDAMオリジナルであるこのヒーローの映像は私が記憶している限り「LIVE DAM」が最新機種であった頃から現在に至るまで継続してDAM機種に搭載され続けており、このヒーローには何か名前があるのだろうかとかなり前から疑問に思っていました。

 この疑問を解決すべく2022年になって初めて「DAM オリジナル ヒーロー」といったワードでGoogle検索をかけた所、このヒーローは「ウルトラマン80」「ゴジラ2000 ミレニアム」「ヤッターマン(実写映画版)」など数々の有名特撮ドラマで怪獣造形や特殊メイクを務めた彫刻家の若狭新一さんが手がけたDAMオリジナル特撮ヒーローであり、名前は「守護戦士ミコト」であることが明らかになりました。

 変身前のヒーローを務める俳優は「牙狼〈GARO〉」「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」などの有名作品で活躍したスーツアクターの大西雅樹さんであるという情報も得られ、有名スーツアクターが直接演じていると考えれば変身前のヒーローのダイナミックなアクションも納得です。


 私は以前からこのヒーロー「守護戦士ミコト」を気に入っており、原作映像が設定されていないアニメや特撮で彼の映像が流れるとテンションが上がります。原作を知らない人の前で「スーパーロボット レッドバロン」の主題歌を歌った際に「このヒーローがレッドバロン?」などと聞かれてしまう欠点もありますが、JOYと比べて使い回しの背景映像に力を入れているDAMのこだわりの極致が「守護戦士ミコト」であると言えるでしょう。

 ところで、本稿の冒頭で「昔の特撮ヒーローの主題歌を歌うとかなりの高頻度でオリジナルのヒーロー映像が流れる」と書きましたが、実際の登場頻度を定量的に確かめていない状態では「高頻度」と主張することはできません。

 そこで、本稿では「守護戦士ミコト」について紹介した上で、このヒーローがどの程度の頻度でDAM機種の画面上に現れるのかを調査した結果を発表したいと思います。


 まず大前提として、日本国内のカラオケに収録されている「昔の特撮ヒーローの主題歌」の曲数は膨大であり、全てを調査するのは労力的に難しいです。「西遊記」「スケバン刑事(実写ドラマ版)」「コメットさん」といった「特撮ヒーロー」として扱ってよいかどうか微妙な作品もあるため、今回は日本コロムビアのアルバムCD『特撮ソングヒストリー』に収録されている作品に限定して調査を行うことにしました。

 『特撮ソング史』に収録されている楽曲のうち、一つの作品にオープニング主題歌とエンディング主題歌の両方が収録されている場合はオープニング主題歌のみを対象としました。また、収録楽曲の多数を占めるウルトラシリーズ、仮面ライダーシリーズ、スーパー戦隊シリーズに関してはDAM機種に原作映像が設定されている(=「守護戦士ミコト」が絶対に登場しない)作品が非常に多いため除外しました。

 DAM機種では「宇宙刑事ギャバン」「宇宙刑事シャリバン」しか原作映像が設定されていないメタルヒーローシリーズは調査対象とするかどうか迷いましたが、年代が新しい作品も多いことと『特撮ソング史』には「重甲ビーファイター」以降の4作品が収録されていないことから同様に除外しました。


 以上の結果、今回の調査対象となったのは以下の楽曲です。

 ※楽曲名(歌手名、「原作」)のように記載

・マグマ大使(コール東京、「マグマ大使」)
・忍者マーチ(ヤング・フレッシュ、「仮面の忍者 赤影」)
・ジャイアントロボ(マイスタージンガー、「ジャイアントロボ」)
・マイティジャック(フールサンズ合唱団、「マイティジャック」)
・スペクトルマン・ゴーゴー(みすず児童合唱団&ハニー・ナイツ、「スペクトルマン」)
・ミラーマンの歌(植木浩史&ハニー・ナイツ、「ミラーマン」)
・風よ光よ(ヒデ夕樹&ヤング・フレッシュ、「怪傑ライオン丸」)
・ぼくらのバロム1(水木一郎&コロムビアゆりかご会、「超人バロム・1」)
・嵐よ叫べ(水木一郎、「変身忍者 嵐」)
・トリプルファイターのうた(谷あきら&杉並児童合唱団&コールフェニックス、「トリプルファイター」)
・行け友よ ライオン丸よ(浜ジョージ&ブルーエンジェルス、「風雲ライオン丸」)
・キカイダー01(子門真人、「キカイダー01」)
・レッドバロン(朝コータロー、「スーパーロボット レッドバロン」)
・戦えイナズマン(子門真人&コロムビアゆりかご会、「イナズマン」)
・戦え! 電人ザボーガー(子門真人、「電人ザボーガー」)
・フラッシュ! イナズマン(ヒデ夕樹、「イナズマンFフラッシュ」)
・マッハバロン(すぎうらよしひろ、「スーパーロボット マッハバロン」)
・勝利だ! アクマイザー3(水木一郎&こおろぎ'73、「アクマイザー3」)
・宇宙鉄人キョーダイン(ささきいさお&こおろぎ'73、「宇宙鉄人キョーダイン」)
・輝く太陽カゲスター(水木一郎、「ザ・カゲスター」)
・斗え忍者キャプター(水木一郎&堀江美都子&こおろぎ'73、「忍者キャプター」)
・斗え!! 超神ビビューン(ささきいさお&こおろぎ'73、「超神ビビューン」)
・カモン! アステカイザー(子門真人&コロムビアゆりかご会、「プロレスの星 アステカイザー」)
・地獄のズバット(水木一郎、「怪傑ズバット」)
・オー!! 大鉄人ワンセブン(水木一郎&こおろぎ'73&ザ・チャープス、「大鉄人17」)
・駆けろ! スパイダーマン(ヒデ夕樹、「スパイダーマン」)
・星雲仮面マシンマン(MoJo&コロムビアゆりかご会、「星雲仮面マシンマン」)

※ゴーゴー・キカイダー(秀夕木&コロムビアゆりかご会、「人造人間キカイダー」)は原作映像が設定されているため除外


 この全27曲について、それぞれ背景映像が「守護戦士ミコト」であったかそうでないか(そうでない場合は映像の簡単な説明)を記し、ちゃんと私自身がフルサイズで歌って調査した証拠として採点結果も記します。

 それでは調査結果を発表します。「守護戦士ミコト」はどの程度の頻度で登場していたのでしょうか。


・マグマ大使
 →非ミコト・スペースオペラ的なSFロボットアニメを意識した3DCGアニメ映像、86.740点

・忍者マーチ
 →非ミコト・日本の城や竹林を映した風景映像、88.093点

・ジャイアントロボ
 →非ミコト・スペースオペラ的なSFロボットアニメを意識した3DCGアニメ映像、87.169点

・マイティジャック ※原作はヒーロー物ではない
 →守護戦士ミコト、84.953点

・スペクトルマン・ゴーゴー
 →非ミコト・有名なカメラマンを目指して頑張る青年の日常を描いたドラマ映像、86.729点

・ミラーマンの歌
 →非ミコト・宇宙空間や惑星を映したCGアニメ映像、86.483点

・風よ光よ
 →非ミコト・吸血鬼のような服装の青年が洞窟で死神のような仮面の人物に追跡されるドラマ映像、85.726点

・ぼくらのバロム1
 →非ミコト・特殊効果のCGアニメ映像、86.649点

・嵐よ叫べ
 →守護戦士ミコト、86.923点

・トリプルファイターのうた
 →非ミコト・特殊効果のCGアニメ映像、83.833点

・行け友よ ライオン丸よ
 →非ミコト・プロボクサーとして頑張る青年の日常を描いたドラマ映像、83.916点

・キカイダー01
 →守護戦士ミコト、85.134点

・レッドバロン ※原作はヒーロー物ではない
 →守護戦士ミコト、91.124点

・戦えイナズマン
 →守護戦士ミコト、84.524点

・戦え! 電人ザボーガー
 →守護戦士ミコト、87.690点

・フラッシュ! イナズマン
 →守護戦士ミコト、86.483点

・マッハバロン
 →非ミコト・有名なカメラマンを目指して頑張る青年の日常を描いたドラマ映像、84.842点

・勝利だ! アクマイザー3
 →非ミコト・西洋風の城に住む黒いドレスを着た女性のドラマ映像、88.717点

・宇宙鉄人キョーダイン
 →非ミコト・宇宙空間や惑星を映したCGアニメ映像、86.326点

・輝く太陽カゲスター
 →守護戦士ミコト、87.107点

・斗え忍者キャプター
 →守護戦士ミコト、89.346点

・斗え!! 超神ビビューン
 →非ミコト・スペースオペラ的なSFロボットアニメを意識した3DCGアニメ映像、84.257点

・カモン! アステカイザー
 →非ミコト・プロボクサーとして頑張る青年の日常を描いたドラマ映像、83.106点

・地獄のズバット
 →守護戦士ミコト、85.736点

・オー!! 大鉄人ワンセブン
 →非ミコト・特殊効果のCGアニメ映像、84.516点

・駆けろ! スパイダーマン
 →非ミコト・街並みや群衆を映した無機質なアニメ映像、84.849点

・星雲仮面マシンマン
 →非ミコト・バックパッカーの青年の旅を描いたドラマ映像、86.600点


 結果は以上となります。調査した27曲中、背景映像として「守護戦士ミコト」が設定されていたのは10曲となり、思ったよりもかなり少ないというのがデータをまとめた感想でした。

 とはいえ同一の背景映像が27曲中10曲も使われているのは特筆すべき割合ですし、有名カメラマンを目指す青年のドラマ映像(27曲中2曲)やSFロボットアニメを意識した3DCGアニメ映像(27曲中3曲)と比べても高頻度であることは明らかです。


 結論としては「原作映像が設定されていない特撮ヒーロー主題歌の背景映像として『守護戦士ミコト』は高頻度に登場する」と言えますし、「昔の特撮ヒーローの主題歌を歌うとかなりの高頻度で登場する」という当初の印象は「守護戦士ミコト」という特撮変身ヒーローが見せつけるかっこよさ、ダイナミックさの表れであると感じます。

 「守護戦士ミコト」を造形された若狭新一さん、ミコトを演じる大西雅樹さん、そしてヒロインの戸塚マリや一つ目の怪人、2人の戦闘員を演じた役者の方々をはじめとする関係者の皆様に敬意を表すると共に、今後もDAM機種のカラオケで「守護戦士ミコト」が登場する特撮やアニメの主題歌を歌って参りたいと思います。
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